2004年度森泰吉郎記念研究振興基金「研究助成金」成果報告書
政策・メディア研究科 修士課程1年 南智佳子
学籍番号:80435598
研究課題「厚木基地の騒音被害を巡る政府・自治体の対応の研究」
1、 研究概要
本研究は、神奈川県・厚木基地の騒音被害を解消するために行われた二つの政策(@東京都小笠原村・硫黄島におけるNLP(夜間連続着陸訓練)施設の建設、A広島県沖美町・大黒島におけるNLP施設の建設案)を分析し、日米政府および自治体の意識や行動を明らかにするとともに、これらアクター間の関係性を明らかにするものである。
2、問題への関心と研究動機
私は日米の安全保障関係に関心を抱いており、慶應義塾大学総合政策学部在学中は草野厚教授の研究会に所属し、安全保障政策を含め、米国政治について研究した。また講義では、外交や安全保障に関するもの(「リージョナルアナトミー論E(金田秀昭客員教授)」「政策デザイン論A(佐道明弘講師)」などを受講し、日米安保についての理解を深めた。さらに小熊英二助教授の研究会にも属し、1960年の安保闘争について社会学的視点において研究した。このように日米安保について学ぶ過程で、私は在日米軍の基地問題に次第に関心を抱くようになった。また私が所属していた慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスが厚木基地の近くに位置していたことも、基地問題への興味をかき立てた。
在日米軍の基地問題は、日米間係においてアキレス腱とも言える存在である。日米安全保障条約が締結されてから半世紀が経ち、日米安全保障共同宣言やガイドライン関連法案の成立を経て、安全保障面における日米両政府の結びつきはより強固なものになりつつある。しかしその影で基地問題は今だ日米関係の桎梏となっている。日米安保条約の必要性は国民に広く認知されているものの、米兵による犯罪、騒音被害、環境汚染などといった基地問題の頻発で、基地周辺の自治体および住民は基地の撤去や縮小を求めている。現在の日米関係を維持しつつ、基地問題の解決を図っていくことが必要であると私は考えている。
このような問題関心から、私は慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科グローバルガバナンス・プログラムにおいて、基地問題に関する研究を行うことを決定した。
3、研究の背景
本研究の対象である厚木基地は大和市、綾瀬市、海老名市にまたがる約507 万平方メートルの広大な敷地を有する基地である。また厚木基地の飛行区域には大和市、綾瀬市、海老名市のほかに、横浜市、藤沢市、相模原市、座間市や東京都町田市などが含まれている[i]。厚木基地の歴史は、1938(昭和13)年に旧日本軍が航空基地として定めたことから始まり、太平洋戦争の終戦により米軍に接収された。1949(昭和25)年には米陸軍から米海軍に移管されて以来、米第7艦隊の後方支援基地となった。そして1971(昭和46)年には、基地の一部が海上自衛隊に移管され、基地が共同使用されることになった[ii]。
以上のような歴史を持つ厚木基地であるが、昭和30年代から基地周辺では騒音被害が問題化した。横須賀を母港とする米空母の艦載機であるジェット機は、空母の入港中、厚木基地を拠点として訓練飛行を行う。そのため基地周辺では飛行騒音が激しくなり、周辺住民の生活環境は極度に悪化する。特に夜間連続離着陸訓練(NLP)[iii]から発する騒音被害は苛烈なものであった[iv]。さらに軍用機による通常の飛行やヘリコプターの飛行、エンジンテストなど、ジェット機以外からの騒音も非常に多い[v]。
こういった厚木基地から発生する騒音に対し、1960(昭和35)年、県及び地元市町は国などに対し、騒音軽減の要請を行い、1963(昭和38)年には日米合同委員会で「厚木飛行場周辺の航空機の騒音軽減措置」が合意された。「軽減措置」の中では「厚木基地の活動は午前6時から午後10時までとする」であるなどの規定があるものの、全てに「軍の運用上やむを得ない場合はこの限りではない」という例外規定があるために、必要であれば米軍は何時でも飛行できる状況にある。そのため神奈川県、厚木基地周辺の基地関係市では、厚木基地における訓練飛行の禁止や、「騒音軽減措置」の改正などを国および米軍に対し働きかけている。また1988(昭和63)年には、神奈川県県及び周辺市の行政・議会、地元選出の国会議員で構成する「厚木基地騒音対策協議会」(厚協)が設立され、夜間連続離着陸訓練(NLP)の代替訓練施設の実現やデモンストレーションフライトの廃止を求めるなど、騒音問題の解決に向けての要請活動を行った[vi]。その結果、夜間連続離着陸訓練(NLP)は硫黄島で実施されるようになり、デモンストレーションフライトも廃止された。現在では夜間連続離着陸訓練(NLP)の90%以上が硫黄島で実施されている。周辺自治体は硫黄島での夜間連続離着陸訓練(NLP)の100%実施を求めているが、米軍は硫黄島の遠さや天候の変化を理由に全ての訓練を硫黄島では行えないとして、依然として厚木基地や他の基地で夜間連続離着陸訓練(NLP)を実施している。そのため2003(平成15)年に、日本政府は厚木基地以外で夜間連続離着陸訓練(NLP)が実施可能なように、広島県沖美町の大黒神島を移転候補地として検討した。しかし住民や周辺自治体、町議会の反発で、移転計画は白紙になった[vii]。
以上のように夜間連続離着陸訓練(NLP)の騒音被害は減少したものの、通常の騒音被害は現在も周辺住民を悩ませている。周辺住民は厚木基地の騒音被害に対し、合計三回の訴訟を行っている。第一次騒音訴訟(1976(昭和51)年〜)および第二次騒音訴訟(1984(昭和59)年〜)では、周辺住民で結成された原告団は、飛行差し止めと損害賠償を求めた。判決では第一次および第二次騒音訴訟においては過去の損害賠償については認められたが、飛行差し止めは認められなかった[viii]。二回の訴訟に加え、1997(平成9)年には第三次騒音訴訟がはじまった。第三次訴訟の原告団には約5000人の住民が参加し、2002(平成14)年には一審・横浜地裁は、国による基地の設置・管理の違法性を認め、計約27億円の支払いを命じた。この判決に対して国は控訴し、現在控訴審が進められている[ix]。
年表 厚木基地の騒音被害を巡る動き
1945(昭和20)年 |
終戦 |
1950(昭和25)年 |
米海軍厚木飛行場発足(12.1) |
1952(昭和27)年 |
日米行政協定調印(2.28)、日米旧安保条約発効(9.8) |
1960(昭和35)年 |
日米新安保条約、発効(6.23) 厚木基地爆音防止期成同盟結成(7.23) 日米合同委員会、騒音対策特別分科委員会を設置(10.19) 基地周辺民家の集団移転開始(12月〜) |
1963(昭和38)年 |
日米合同委員会、厚木飛行場の航空機騒音軽減措置に合意(9.19) |
1964(昭和39)年 |
神奈川県基地関係県市町連絡協議会、結成(5.21) |
1971(昭和46)年 |
自衛隊との厚木基地共同使用が開始される(7.1)。 |
1973(昭和48)年 |
在日米海軍、ミッドウェー艦載機の厚木基地使用開始(騒音激化(9.27)) |
1976(昭和51)年 |
第一次厚木基地騒音訴訟、提起(9.8) |
1983(昭和57)年 |
第一次厚木基地騒音訴訟、横浜地裁判決 (9.8) |
1985(昭和59)年 |
第二次厚木基地騒音訴訟、提起(10.22) |
1986(昭和61)年 |
第一次厚木基地騒音訴訟、控訴審判決 (4.9) |
1988(昭和63)年 |
厚木基地騒音対策協議会設立(8.16) |
1989(平成元)年 |
NLPの硫黄島使用で基本的了解(1.18) |
1992(平成4)年 |
第二次厚木基地騒音訴訟、横浜地裁判決(12.25控訴) |
1993(平成5)年 |
第一次厚木基地騒音訴訟、最高裁判決(2.25) 硫黄島代替訓練施設全面提供(4.23) |
1996(平成9)年 |
第三次厚木基地騒音訴訟、提起(12.8) |
1998(平成11)年 |
第二次厚木基地騒音訴訟、控訴審判決7.23) |
2002(平成15)年 |
第三次厚木基地騒音訴訟、横浜地裁判決(1.23) 在日米海軍、デモンストレーションフライトの廃止(5.22) |
2003(平成16)年 |
広島・沖見町町長、NLP大体訓練施設の受け入れ表明(1.30)するも、撤回(2.5) 第三次厚木基地騒音訴訟控訴審開始、(7.17) |
(出典:神奈川県企画部基地対策課『神奈川県の米軍基地』)
4、研究の目的
本研究の目的は、在日米軍の厚木基地における騒音被害を巡る日米両政府、自治体、周辺住民の意識および対応を分析し、騒音被害を解消するために行われた政策を研究することによって、日米両政府と自治体による合意形成過程の特徴を明らかにすることである。本研究では、騒音被害対策として行われた二つの政策を分析、比較することによって、日米両政府と自治体の騒音被害に対する意識や動向などの特徴を明らかにしたい。さらに基地周辺の住民運動にも注目し、住民運動が上記の二つの政策決定に及ぼした影響などについても研究したいと考える。
5、研究対象
本研究の対象は日本政府(外務省、防衛施設庁、防衛庁等)、米国政府(国防総省、駐日米国大使)、在日米軍(在日米軍司令部、在日米海軍司令部等)、神奈川県・大和市・綾瀬市・藤沢市などの自治体、神奈川県基地関係市連絡協議会(県市協)、県及び周辺市の行政・議会、地元選出の国会議員で構成する「厚木基地騒音対策協議会」(厚協)、住民団体(厚木基地爆音防止期成同盟、NEPAの会等)である。
6、研究方法
本研究では厚木基地の騒音被害に関する二つの政策を分析し、比較するとともに、日米両政府および自治体の合意形成過程における特徴を探りたい。さらに1960年代から現在に至るまでに発動された三つの政策の決定過程を分析することによって、戦後、米国政府や在日米軍司令部、日本政府、自治体、住民の意識や行動様式がどう変化してきたのかも明らかにしたい。
政策分析の際には、三つの分析枠組みを設定する予定である。一つの枠組みは日米政府間関係、一つは日本政府と神奈川県下の市町[x]との関係、もう一つは神奈川県内での関係(市町および住民団体)である。ただしこの分析枠組みには、米政府と神奈川県との関係や日本政府と住民団体との関係などの例外的関係も発生することをあらかじめ明記しておく[xi]。
7、先行研究の検討
在日米軍基地に関する研究のなかでは、沖縄基地に着目したものが多い。一方で本州の基地、特に厚木基地に焦点を当てた研究は少ない。また厚木基地の騒音被害の状況について記述したものはいくつか存在するものの[xii]、騒音被害に関する日米両政府や自治体の政策を扱った研究はさらに少ない。そのなかでも市政と厚木基地の関係を論じたものとして、土屋侯保氏の「厚木基地を抱える大和市と住民[xiii]」が挙げられる。大和市長である土屋氏によるこの論文は、厚木基地の騒音被害や環境破壊について詳しく書かれているものの、体系的とは言いがたく、また日米両政府の対応については詳しく触れられていない。
また前出の論文と併せて、上杉勇治・昇亜美子両氏による「『沖縄問題』の構造[xiv]」を挙げたい。この研究は沖縄における基地問題の構造を分析したもので、ここで提示されている構造は本州の基地問題にも適用できると考えている。
8、研究の意義
前述した通り、在日米軍基地に関する研究は多く存在するものの、その大部分が沖縄県における米軍基地に関するものであり、本州の米軍基地に関するものは少ない。しかし本州においても厚木基地、横田基地、三沢基地など多くの米軍基地が存在し、基地周辺では様々な問題が累積している。本州と在日米軍基地問題と沖縄県のそれとは違いが見られるため[xv]、本州の米軍基地問題に着目した研究が必要であると考える。本州の厚木基地を研究対象とした本研究はこの点に意義がある。
また本研究で特に厚木基地を取り上げたのは、騒音被害は横田基地や岩国基地、三沢基地、沖縄基地など厚木基地以外の基地でも発生していることや、厚木基地の騒音被害が住民運動や訴訟を引き起こしている大きな問題であること等からである。そのため本研究において明らかにする予定である厚木基地の騒音被害に対する政府及び自治体による合意形成過程の特徴や、政府・自治体の意識および行動様式は、騒音被害を抱える他の米軍基地の事例に適用可能性があり、また厚木基地の騒音被害を解消するための有用な資料になり得ると考えている。
9、今年度の研究活動
4月〜8月 資料収集および分析
外務省および防衛庁の政府文書や、朝日新聞、読売新聞、神奈川新聞などの新聞資料、書籍などを収集するとともに分析を行った。また米国の国立公文書館に厚木基地に関する文書の照会をした(しかし当館には厚木基地に関する文書は存在しなかった)。
資料収集および分析をした結果、硫黄島におけるNLP代替施設建設に尽力したのは、前大和市長の故井上氏であることが分かった。また現在、厚木基地の騒音問題解決に向けてけん引役を務めているのも大和市であることが分かった。また住民組織としては厚木基地爆音防止期成同盟が騒音訴訟の取りまとめをしていることが分かった。
9月 横須賀米軍基地見学および朝日新聞記者へのインタビュー
9月には金田秀明客員教授の紹介により横須賀米軍基地を見学し、空母キティホークに乗船することができた。そこではまた、海上自衛隊の自衛官の方からNLP訓練についてお話を聞いた。自衛官の方から東京都三宅島のNLP代替施設建設の可能性などについて伺うことができた。
また9月後半には朝日新聞記者であり、元厚木支局(現在は名古屋支局配属)に在籍された井石氏にインタビューをすることができた。井石氏からは、外務省と防衛施設庁との間で騒音問題に関する思惑に違いがあることや、厚木基地の基地問題解決に向けてのリーダーシップを現大和市長である土屋氏が取っていることについてお話を伺うことができた。また私が本研究で取り上げる予定の政策の一つ、広島県沖美町のNLP代替施設建設案については、当事者である前町長(NLP移転問題でリコールされた)が詳細について口を閉ざしているため、学生の研究で取り上げることの難しさについて示唆いただけた。
10月〜2月 研究計画の修正、資料収集および分析
井石氏へのインタビューを元に、研究対象を、大和市の基地対策に限定することにし、研究計画を若干、修正した。
また朝日新聞(厚木版)および神奈川新聞の資料収集を続けた。さらに防衛庁の「飛行場周辺における環境整備のあり方に関する懇談会」に着目し、ここの懇談会で取り扱われている「公平補償」運動について分析した。「公平補償」運動とは騒音訴訟判決で請求が認められた過去分の損害賠償に相当する金銭補償やこのような補償の制度化などを求める運動であり、騒音に不満を持ちつつも訴訟を起こさない住民の中から、1999年ごろに生起したものである。
3月 研究計画の修正、資料収集および分析
10月に研究対象を大和市に限定して、研究を進めていたものの、指導教授より、「厚木基地周辺自治体と岩国基地周辺自治体の比較について調べてみてはどうか」との示唆を受け、研究対象として、岩国基地周辺自治体を加え、新聞、書籍、雑誌などの資料収集を行った。
10、今後の研究計画
修士2年の春学期には、資料収集および大和市長、大和市役所基地対策課、海老名市長、海老名市基地対策課など、厚木基地周辺の自治体にインタビューするとともに、住民団体「厚木基地爆音防止期成同盟」にお話を伺う予定である。夏期休暇には、岩国基地周辺を訪れ、周辺自治体および住民団体にインタビューを行う予定である。また修士2年の秋学期には修士論文を執筆する予定である。
11、参考文献および参考ウェブサイト
・参考文献
上杉勇治・昇亜美子「『沖縄問題』の構造」『国際政治120号』、国際政治学会、1999年。
梅林宏道『在日米軍』岩波書店、2002年。
神奈川県企画部基地対策課『神奈川の米軍基地』、神奈川県、2001年。
神奈川県企画部基地対策課「厚木基地生活環境調査報告書」、神奈川県、2001年。
島川雅史『アメリカの戦争と日米安保体制』社会評論社、2003年。
田中明彦『安全保障』読売新聞社、1997年。
土屋侯保「厚木基地を抱える大和市と住民」『都市問題 1999年10月号』43〜59頁、東京市政調査会、1999年。
長島昭久『日米同盟の新しい設計図』日本評論社、2002年。
西原正、土屋實男『日米同盟Q&A100』亜紀書房、1998年。
日本弁護士連合会『日本の安全保障と基地問題』明石書店、1998年。
広瀬善男『21世紀日本の安全保障』明石書店、2000年。
メイキン、H・ジョン、ヘルマン、C・ドナルド『日米同盟の再構築』中央公論社、1989年。
山田浩『現代アメリカの軍事戦略と日本』法律文化社、2002年。
・参考ウェブサイト
外務省<http://www.mofa.go.jp/mofaj/index.html>(2003/09/24)
防衛施設庁<http://www.dfaa.go.jp/>(2003/09/24)
神奈川県企画基地対策課<http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/kiti/hometop/index.htm (2003/09/10)>
在日米軍司令部 <http://usfj.mil/>(2003/09/24)
米国国防総省<http://www.defenselink.mil/>(2003/09/24)
厚木基地爆音防止期成同盟<http://www.asahi-net.or.jp/~uj7m-my/>(2003/09/24)
[i]大和市の厚木基地に関するHPを参照。
<http://www.city.yamato.kanagawa.jp/kichi/kiti-0.htm(2003/09/10)>
[ii]
神奈川県の米軍基地の歴史については『神奈川の米軍基地』(神奈川県、375頁〜)を参照。
[iii]
夜間連続離着陸訓練(NLP)は1982(昭和57)年から開始されている。
[iv] 夜間連続離着陸訓練(NLP)から発する騒音は120デシベルに上ることもある(『神奈川県の米軍基地』138頁より)。110デシベルは自動車の警笛(前方2m)程度の音、100デシベルは電車内程度の音であるとされる。
[v] 大和市の厚木基地に関するHPを参照。
[vi]
『神奈川の米軍基地』神奈川県企画部基地対策課、134頁を参照。
[vii]
『朝日新聞』2003年2月5日を参照。
[viii]
『神奈川の米軍基地』神奈川県企画部基地対策課、131頁を参照。
[ix]
『朝日新聞』2003年7月18日を参照。
[x] 神奈川県に属してはいないが騒音被害を受けている東京都町田市も含む。
[xi] 米政府と神奈川県との関係の例で言えば、大和市や綾瀬市の市長が訪米して、米海軍長官や太平洋艦隊司令長官、同艦隊航空司令官らと会見していることなどが挙げられる(『朝日新聞』1993年10月29日、1996年12月18日を参照)。また住民団体と米政府との関係もある。例えば「NEPAの会」を中心とする周辺住民は、米海軍横須賀基地への空母の配備について、米国防総省を相手取り、米国家環境政策法(NEPA)に基づく環境影響説明書の作成を求める訴訟を起こしている(梅林宏道『在日米軍』岩波文庫、194頁)。
[xii]
騒音被害の状況については、神奈川県企画部基地対策課がまとめた『厚木基地周辺生活環境調査報告書』(神奈川県)が詳しい。
[xiii] 『都市問題 1999年10月号』東京市政調査会、43〜59頁。
[xiv] 『国際政治120号』日本国際政治学界、170〜194頁。
[xv] 例えば沖縄県では米兵の犯罪が大きな問題になっているのに対し、本州では騒音問題が論じられることが多い。