森基金報告書:フランス語の自学自習を支援する情報サイトの開設
中嶋洋平(修士課程二年/yohei)、中里修作(修士課程一年/cu39)

1. 課題
今日、メディアを通してフランス語圏に関する情報に触れることができる。 しかし、フランス語圏に対して興味を持つ人はたくさんいるが、フランス語の能力が障壁になって、十分に情報を得ることができない人もまた多い。このようなフランス語初習者や未経験者に対し「日本語で」フランスの情報や、または必要とする情報が得られるサイトを紹介するという、「フランス語へのさらなる学習意欲を駆り立てるようなサイト」を作ることが本研究の目的である。
そのために、フランス語初習者や未経験者が、フランス語圏の“何に”対し“いつ”興味を持つのかを知る必要がある。日本のフランス語学習者の関心分野を探り、フランス語教育界に貢献したい。

2. 成果
(1)コンセプト
研究参加者は以前より以下二つのサイトを用意していた。これは、各自の研究成果をまとめるために作ったサイトである。
サイトにアクセスしてきた人に適切な情報を「日本語で」提供する。サイトにアクセスきた人が、事実関係を知ることで、日本のフランス報道を批判的に検討することもあり得る。こちらが必要以上の情報を提供することで、フランスへの興味を深め、さらには当初とは異なる話題に興味をもつようになるということもある。これがフランス語 学習への強い意欲になればよい。ここに「興味を持つ→調べる→再び学習する」=「自学自習」を支援するという、本研究の目的が存在する。


※ サイトの例
[フランス政治/経済系]


[BD(仏語の漫画)サイト]

(2) サイトの運用実績
フランス政治サイト/アクセス数の変化

1(2004) 2 3 4 5
165
117 195 217 93
6 7 8 9 10
78
102 65 78 81
11 12 1    
80
84 (閉鎖)    

2003年1月-2004年12月(2005年1月3日をもっていったん閉鎖)


検索語句の上位3つ
[2004年4月]
1.ルモンド 2.サルコジ 3.人質
:2004年4月、人質事件に関する日本社会の動向を、ルモンド紙が批評した。

[2004年7月]
1.EU憲法(欧州憲法、憲法条約) 2.EU 3.ヨーロッパ(欧州)
:欧州憲法条約が6月18日に決議された。

研究計画書(申請書)に記載したように、欧州において何か重大な出来事があり、日本で大々的に報道されるとアクセス数が増えるという傾向は、その後においても変わらない。なお、検索語句でサイトへアクセスしてくれる人が減り、ブックマークなどから直接アクセスしてくれる人が増えていった。


→ 2004年7月にアップしたEU憲法条約に関する情報(一部)


(3) 今後の計画
日々行っている研究を通して見えるものを掲載するサイトを運営することで、研究を進める上で必要な「ノート」を作ることができた。必要な情報を逐一ネットワーク上から取り出せるわけだから、論文、レポートの執筆時に大変役に立った。
ただし、自分たちにとって役に立ったものではあっても、見てくれた人がどのように思ったかは全く不明である。2通、質問メールを受け取ったことがあり、そこにはこのサイトを「リンク集」として役立ててくれていると書かれていた。もちろん、一方的に研究を進めていく中で発見したものを掲載したり、ただただリンクを充実させるだけではなく、意識調査の類を行ってどのようにサイトを充実させていくかを考えるべきだ。つまり「双方向」にすべきだという考え方もあろう。ここをどのようにするかが、今後このサイトをどのようにするかということに関わってくると思われる。

3.さいごに
本サイトの作成は、堀研究プロジェクト(現代フランス論)に参加する学生の活動と連動している。このプロジェクトには他に欧州の難民庇護の問題、フランスおよびドイツのメディアを研究している学生が所属しているので、今後は彼らにも積極的に参加してもらいより多くのフランス(ヨーロッパ)の情報を提供していきたいと考えている。