2004年度森泰吉郎記念研究振興資金 研究者育成費 成果報告書

慶應義塾大学 政策・メディア研究科 修士1年 勝本雄一朗
80424418


1.研究課題名

香りを聞いて想像を楽しむエンターテイメント"Nozoki-Hana"の提案
(嗅覚・触覚刺激型コンテンツの制作と再生システム開発)

 

2.研究概要

本研究は、五感表現への注目を背景に、"香りを聞く"というコンセプトのもと、想像を楽しむエンターテイメント"Nozoki-Hana"を提案し、Nozoki-Hanaを支えるシステムとして"Transmission"を開発した。

 

3.Nozoki-Hana概要

◇本研究において提案するNozoki-Hanaは、ロケーション・ベース型のエンターテイメントであり、日本の伝統芸能"香道"の"香りを聞く"という比喩に着想を得て作られた。Nozoki-Hanaは香りを受動的に嗅ぐのではなく、能動的に嗅ぐエンターテイメントである。これにより先行事例では困難とされていた表現的・技術的な問題を克服している。

◇Nozoki-Hanaは香りの持つ記憶を想起させる力(プルースト効果)に準拠している。思い出の香りを嗅ぎ、さらに香りの鳴き声(香りと関連する音)を聞くことで、より豊かな想像を楽しむことができる。

◇Nozoki-Hanaは、"カレーの匂い+小学校の給食の音"といった組み合わせを4つ用意している。香りに音を組み合わせた理由は、香りのみでは抽象的過ぎて、観客に一定のイメージ・メッセージを与えることができないためだ。

Transmission:
Nozoki-Hanaには、HANARという測距センサーが埋め込まれている。HANARはユーザーの鼻を感知して、その情報をTransmissionに送る。TransmissionはHANARから得た情報をもとに2つの働きする。1つは音をミキシングしEARへ出力する仕事、もう1つはソレノイドに信号を送り香り弁を開閉する仕事だ。

◇Nozoki-Hanaは以下のケースでの使用が考えられる。
・エンターテイメントとして
・飲食店や化粧品の広告塔として

 

4.成果と展望

・稲蔭研究室最終発表会"Rising"(2005/02/15)に出展
・現在、国内外の学会・コンペに出展中
・今後Nozoki-Hanaは、Hanaを増やしHana-Batakeへ進化。

 

Yuichiro Katsumoto
http://katsumoto.org/


fig1: Nozoki-Hana外観

 


fig2: Nozoki-Hanaを楽しむ様子

 


fig3: Nozoki-HanaとTransmission