2005年度 森泰吉郎記念振興基金研究育成費: 報告書

政策・メディア研究科博士課程
牧 兼充


 

1. 研究課題名

「インキュベーション・プラットフォームにおける誘因と貢献のメカニズムに関する研究」

2. 研究課題

本研究の目的は、大学におけるインキュベーション・プラットフォームにおける「誘因と貢献のメカニズム」を明らかにし、より有効なデザインを行うことである。インキュベーション・プラットフォームでは、大学等の複数の運営母体がリソースを投入し、ベンチャー企業としてhigh potential firm、foundation firm、lifestyle firmの3通りが創出される。このモデル化が不十分なため、ミスマッチが多数発生していると考えられる。本研究では、このミスマッチの解消を目的とし、個別の特性分析に基づいた誘因と貢献のメカニズムを明らかにする。

3. 具体的な活動

本研究では、前項のミスマッチの改善のために、インキュベーション・プラットフォームのためのネットワークをグローバル型とローカル型に分類し、慶應義塾大学SIVアントレプレナー・ラボラトリー(SIVラボ、http://www.siv.ne.jp/)を基盤に施策の・企画・運営を行った。具体的には、グローバル型ネットワークの事例蓄積のために「SIV Networking Seminar」の企画・運営、ローカル型ネットワークの事例の蓄積のために、新たに「藤沢鳳雛塾」の立ち上げを行った。

4. 研究成果

活動を遂行すると同時に、グローバル型とローカル型の特性比較を行うために、個別施策について、ケース・スタディ法による分析を行った。その研究成果の中間報告として、ワーキングペーパー「インキュベーション・プラットフォームにおけるグローバル型とローカル型のネットワークに関する考察 〜慶應義塾大学SIVアントレプレナー・ラボラトリーの活動を事例に〜」の形にまとめた。今後も、学会論文の投稿を目指し、研究を進める予定である。
 ワーキングペーパーの概要は以下の通りである。

    本研究の目的は、インキュベーション・プラットフォームのデザインを行うためのネットワーク構築におけるグローバル型とローカル型を比較検証することである。
    近年日本全国においてインキュベーション活動が盛んであるが、「地元でパン屋を開業する人のビジネスプランの審査をベンチャーキャピタルが行う」などのミスマッチが多数発生している。
    このミスマッチは、プラットフォームのモデル化が不十分なため発生していると考えられる。その解決のためには、インキュベーション・プラットフォームにおけるネットワークのグローバル型とローカル型の特性の分類が有効である。
    本研究では、慶應義塾大学SIVアントレプレナー・ラボラトリーの活動をベースに、グローバル型として「SIV Networking Seminar」、ローカル型として「藤沢鳳雛塾」の二つのケース・スタディを取り上げて、その特性の差を検証する。

    キーワード:インキュベーション、プラットフォーム、ネットワーク、グローバル、ローカル

ワーキングペーパーは、以下からダウンロード可能。