2005年度森基金報告書

        

中国の環境ガバナンスにおけるNGOの役割

               

                                               政策・メディア研究科

修士2年  陶信元

学籍番号  80426066

 

研究概要

中国では、改革開放後の飛躍な経済発展は深刻な環境問題をもたらしてきた。1970年代以降、環境保護の行政制度は整備されてきたが、環境問題は悪化しつつある。複雑な環境問題に対して、政府主導の環境保護のみでは十分ではない。90年代、とりわけ半ば以降、市場経済化に伴い市民社会が形成されてきた。中国では、民意の受け皿として環境NGOも現れた。さらに21世紀になって、環境NGOの活躍は注目されている。本研究は、中国における主な環境NGOを対象として、フィールドワークを通じて、中国の環境ガバナンスにおけるNGOの役割と環境NGOのマネジメントを明らかにする。

 

主な研究活動

研究計画に基づき、二回に分けて、環境NGOについての現地調査を行うがあった。

2005年8月―9月:北京にある「自然の友」、「地球村」、「WWF中国」など環境NGOを対象として調査を実施した。

  2006年1月―2月:貴州省黔西県古勝村にある「農民生態産業発展協会」を対象として調査を実施した。

 

「自然の友」               「地球村」            「WWF中国」

「農民生態産業発展協会」            「農民生態産業発展会」の会長          協会が受賞した「田野奨」

 

調査結果

二回調査を通じて、中国における影響力がある環境NGOの組織構成、そして環境NGOと政府の関係に関する一次資料を得た。

中国で環境NGOの発展はただ10年であり、まだ成熟ではない。資源の不足、専門性の欠きという問題は殆どの環境NGOに存在している。もちろん、それぞれの問題は環境NGOの自身の能力と関わっている一方で、中国社会の発展段階とも関係がある。たとえば、NGOにかんする法律まだ整えてないとか中国の市民社会はまだ未成熟であるなど実情がある。

環境NGOと政府の関係について、一概に対立か共生かといえない。政府のレベルによって、あるいは政府の部門によって、関係が全く違うである。環境NGOは中央レベルの国家保護総局とうまく協力できるが、国家発展と改革委員会と関係はなかなかうまく進んでない。失敗しながら、中国の環境NGOは成長しつつある。政府と関係はどう調整すれば自身の目標を遂げられるに模索している。今までの調査からみると、三つ戦術があると思う。一つは、メディアとつながり。そうすると、市民の注目を集まることができる。市民の支持をあるため、政府からの圧力がそんなに重くない。二つは、法律の利用。いま既存な法律や法規を利用し、政府に反発するのは有効である。三つは、自身の組織の能力の向上。優秀な人材を組織に吸収することは組織の戦闘力の向上に一番大事である。

環境NGOの役割について、「自然の保護者」という役だけじゃなくて、「政府の監督者」という役も担ってきている。これから、環境NGOは政府の「政策決定過程」への関与はおおくなると考えられる。

さらに、中国の環境NGOは本土の資源を積極的に動員する一方で、国際的な資源も重視しないといけない。本土と国際の両方の資源をうまく利用したら、NGOの役割をより多く果たすべきである。