2005年度 森泰吉郎記念研究振興基金「研究育成費」研究成果報告書

 

慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 修士課程1年 

80524392 小川裕貴子

yukikoo@sfc.keio.ac.jp

 

研究科題名:「帝政ロシア期の都市・建築における民族性に関する考察」

 

【研究概要】

本研究では、歴史的・民族的要素を保つ都市空間形成へ政策面で提案することを最終目的とし、ロシア連邦内における2つの対照的な都市を比較対照することでその歴史的民族性を浮き彫りにする。一方は帝政ロシアによって建設されたロシア正教を中心にすえるスヴィヤスク島、他方はイスラム教徒であるタタール人が歴史的に居住し都市空間を形成してきたカザン市とし、宗教施設の分布、民族建築そして都市変遷史など両都市を多角的に見ていく。両都市の保存・活性化の面でそれを最重要視し、世界的にも例に見ない稀有な歴史都市として、今後の都市建設政策へ提案を行うことが可能となる。

 

【活動報告】

2005年度内は、ロシア連邦国内に限らず、歴史的イスラム都市として、観光事業などで一定の成功を収めているウズベキスタン諸都市や、今後課題のあるアゼルバイジャン共和国なども訪れ、イスラム都市の変遷やその現状把握に努めた。また、ルーマニア・スチャーヴァで行われた修道院修復に関する国際ワークショップに参加し、正教文化とその都市変遷への理解も深めた。

 

200541日〜4日 ウズベキスタン共和国・サマルカンド市にて東アジア中央アジア歴史都市会議参加

 

2005527日〜30日 ロシア連邦・ハバロフスク市にてアジアメガシティ会議参加、論文発表―「ロシア・スヴィヤスク島とカザン市における帝政ロシア都市構造と木造住宅考察」

 

2005819日〜831日 ウズベキスタン共和国主要各都市訪問、各地の研究者と懇談、資料収集、イスラム都市研究

 

200592日 日本建築学会(開催地:大阪府・近畿大学)にて論文発表―「帝政ロシア期の都市・建築における民族性の考察その1−カザン市の都市形成史における宗教空間の展開について」

 

2005920日〜28日 ウクライナ・キエフ、ルーマニア・スチャーヴァにおいてワークショップ参加。正教圏の都市や建築に関する情報収集、研究者と交流。

 

2005103日〜6日 アゼルバイジャン共和国・バクーにて、東アジア中央アジア歴史都市会議参加、論文発表―「ロシア連邦・スヴィヤスク島における規格化木造住宅とその構造分析」