2005年度森泰吉郎記念研究振興資金 研究者育成費 成果報告書

 

慶應義塾大学 政策・メディア研究科 修士1年 重藤 彩

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1.          研究課題名

本研究は五感で楽しめるエンターテイメントコンテンツ「映画の花」から触覚で楽しむ直感的なコミュニケーションツール「ぬくもり君」へと研究内容を発展させた。

 

 

2.          研究概要

「映画の花」はネット上で映画を見ている人が実際、風を口で吹かせたり、水をコップに入れたりすることによって、実際映画の中で風を吹かせたり、雨を降らせ、映画の結末を変えることが出来るインテラクティブな映画。

又、アクセス者一人一人が花の栄養分(水)となり、水の水滴として表される。

その為、人が多い程、種は早く花へと成長し、ストーリーも花の成長と同時に成長

する。

一人一人の「人間」の力が花と映画を育てる新しいエンターテイメントである。

「映画の花」の一つの目的は、このコンテンツを通し、人間と人間の間に入り込み距離をつくり出しているメディアを人間同士の絆を作り上げる道具として 共存させること。

しかし春学期後半から、人間と人間のコミュニケーションへと興味が増し、映像よりもより直感的に伝わることが出来る触覚を使ったコミュニケーションツール「ぬくもり君」が生まれた。

テクノロジーの発展と共に、コミュニケーションは日に人間の温かみの感じられない冷たいものに変化していっている。

本研究において提案する「ぬくもり君」はテクノロジーの技術を使って、人間であるからこそ可能な「暖かいコミュニケーション」を実現する。

今学期、ぬくもり君の温まる部分、色が変化する部分を製作。来学期始まるまで素材を見つけ、プロトタイプを製作する予定。

 

                                  

 

 

 

 

3.ぬくもり君 概要

ぬくもり君は遠く離れた恋人同士に使われる事を前提にしている新しい双方コミュニケーション方だ。

コミュニケーションツールとしては、視覚、聴覚を使用したものが現在存在するが、「ぬくもり君」は触覚を使った、言葉のいらないコミュニケーションツールである。

触覚は人間の感覚の中で最も、直感的なものだと考えている。柔らかいものを触って「気持ち良い」と思ったり、とがったものを触って「痛い」と感じるのは、論理ではない、体の一種の反応と考えることができる。

そのため、「ぬくもり君」は主に、

−  柔らかさ

−  暖かさ

 

そして表示のため、

−  色

が変化する。

 

文字は表示されないため、ぬくもり君は 

「あなたの事を思っている。」

「考えている。」

と言う素直な気持ちを直感的に伝える。

作動構造:

ぬくもり君1を暖めようと手に取ると、ぬくもりTouch sensor (温度センサー、cds) A/D Converterを通してぬくもり君を暖めた情報をPCに送る。PCNetworkを通し、又A/D Converter に通り、柔らかsystemに情報を渡す。

柔らかsystem は作動し、ぬくもり君2が温まり、柔らかくなる。

                              

 

使用例:

遠く離れた相手へ自分の気持ちを一番伝えたいと思う寝る前のひと時に、自分のぬくもり君を手に持ち、なでる。すると相手のぬくもり君が暖かく、ホワホワに柔らくなり、なでられ感も伝わる。

注意すべきことは、自分のぬくもり君を暖めても、暖まってやわらくなるのは相手のぬくもり君だけ。

しかし、柔らかくなったぬくもり君に気付いた相手が、それを手に持ち、なでてくれたら、自分のぬくもり君もホカホカに暖かく、ホワホワに柔らかくなります。

言葉や文字が伝える情報量は多い。しかし、愛情の気持ちは単に文字や言葉では表現する事が出来ない。

ぬくもり君の場合、文字は伝わらないが、触覚を通して、論理ではなく、正に本能と情動へ働きかける新しいコミュニケーション方が可能になる。

 

            

                        

 

 

展望:                                                           

相手と繋がるために心拍数を使用する。又、心拍数を使用した新しいコミュニケーション方を検討中。

 

                           Aya Shigefuji

                                                     web.sfc.keio.ac.jp/~ayabimba/sara