研究成果報告書

研究課題名:女の子がきれいになるための化粧支援システム「CHICORY」の実装

政策・メディア研究科 奥出研究室 畑山裕貴
hatayan@sfc.keio.ac.jp

■概要

CHICORYは日々の生活の中で、自分の持っている化粧道具や化粧方法、自分の興味をガジェットに貯め、
そのガジェットに貯められた情報を自分の友達や憧れている人と情報を交換していく事によって
化粧の方法を高めていくことができるユビキタス環境におけるユーザー同士のparticipation型化粧支援システムである

■研究の課題

現在のノンカウンセリングコスメにとって化粧品購入時に口コミは大きな指針となっている。
しかし、基礎化粧品には肌質やバイオリズムなど、またメイクアップ商品には人のイメージや顔の造作などの個人差があり、
膨大な数の口コミから自分に適した口コミを探すのは困難な作業である。

例えば、口コミサイトには身体性のメタデータが記入されているがそれは個人が記入した物で、
具体的な指針はなくユーザーの主観的判断に基づいた物になっている。一方でそのことが口コミの信頼度を下げる結果につながっていることも事実である。
この問題を解決するために私は普段のメイクの手順をセンシングしそしてその上で現実のダイナミックなインタラクションに基づいた情報を
OWLというWEBオントロジー言語を用いて保存していくことによって、各個人間の持っている語彙の違いがうめられ情報の信頼度をあげるというアプローチをとってきた。

研究の実施として今回は仮説としてたてた「WEBオントロジーを用いた化粧ドレッサー」から動作をセンシングし自動的にメタデータを抽出する実装をおこなった。

■進捗状況

化粧ドレッサーのプロトタイプの製作を行ない、実際にメタデータを生成する仕組みの検証を行った。

システムの概要(シングルアンテナの場合)

インターフェースのプロトタイピング(複数アンテナ)

RFIDによる位置検出のためのアンテナ切り替え部の実装

撮影した映像の一コマ

実験の結果

WEBオントロジーを日々の化粧行動の記録から構築するには、テキストの入力が不可欠となってしまうが、
かなり負担になることがわかり、そのような行動をどう一連の化粧をするという行動に盛り込めばいいかという課題がのこった。
また実際データを分析した結果、負担となるあまりに、得られるデータが単調になり、あまり有効な値の収束が得られなかった。
語彙の重み付けを、ユーザーが化粧をして生活していくなかにおいてどこでおこなえばよいかというデザインのアイデアを練ることがこれからの課題となる。

 WEBカメラで撮った化粧の映像を、RFIDでセンシングした行動のデータにより編集する機能は有効なアプローチだったが、
撮影した画像からもわかるようにカメラのアングルがとても重要でこのアングルを制御するのにオントロジーを使用するのも
かなり有効な手段となりそうであった。

■現在

 化粧の行動の中だけで語彙を構築するには限界があり、それを人間が一から入力していくにも問題があった。
現在、他の生活行動や、他の目的でとられた語彙情報(予定表)などから重み付けができないか検討中であるとともに、
日々の自動的にとられた記録を組み合わせるプロトタイプを制作中である。