Inakage Studio, Medeia Design
Makoto Katsura

livePic - Expand drawing experience in a “new way” -

 描いた絵に対するユーザーの身体性のある直接的なインタラションが可能なインタラクティブ描画システム、
"livePic"を提案する。

TUI(Tangible User Interface)が提唱されて以来、Computing に身体感覚を回復する試みが多く見られるように
なった。特に物理的なモノにデジタル情報を与え、モノとのインタラクションを行う研究が盛んになっている。この
流れは、描画システムの研究でも顕著であるが、一連の絵を描くという行為の中で、自身が描いた絵に対して身
体性を利用してインタラクトすることが可能な研究は限りなく少ない。

 そこで、本研究では、ユーザーの描いた絵に対して、自分自身の身体性を利用した直接的なインタラクションを
行えるシステムを作ることが描画経験を拡張する新しい方法の一つであると考え、従来の描画行為とその経験を
拡張させることを目的に、描いた絵との身体的な直接的インタラクションを実現するインタラクティブ描画システム
livePic の開発を行った。livePic のインターフェース、システム、インタラクションのデザインは、直接的および直感
的な操作が行えることを踏まえた上で、私たちの今までの経験の延長線上にあるデザインとなっている。また、こ
れらの特長は、シンプルな操作性、没入感を与えるインターフェース、インタラクションの単純化、絵のオブジェク
ト認識、Creation の過程におけるCommunication 及びCollaboration が可能であることが挙げられる。

 livePic では、インタラクションの方法として息を採用している。livePic は、ブラシを利用して自由に絵を描くこと
ができる一見普通のキャンバスであるが、ユーザーは描いた絵に対して自身の息を直接吹きかけると、息を吹い
た方向に絵をアニメーションさせることが可能である。ユーザーは、自分の描いた絵と自身の息を介して直接イン
タラクトできるようになり、自身が描いた絵に息を吹きかけることによってインタラクションができるコンテンツは前
例がなく新しい試みとなった。

また、2006 年に開催されたSiggraph 2006 の展示会場に行った評価実験では、自身の描いた絵に対する直接
的なインタラクションの魅力の有効性、本研究で開発した息の技術的な有効性、子供への展開の有効性、エンタ
テイメントコンテンツとしての有効性を確認することができた。
livePic は、息だけでなく様々な身体的な直接的なインタラクト機能を追加していくことによって
さらなる描画経験の拡張につながると考えており幼少期の子供向けのコンテンツとして応用や、熱感知を利用し
た障害者向けインターフェースのためのユニバーサルデザインへの応用が期待される。

キーワード
1.描画システム 2.インタラクティブディスプレイ 3.TUI 4.ユビキタスコンテンツ 5.お絵描き

デモ映像