2006年度森泰吉郎記念研究振興基金 研究成果報告書

俺デスク:ユーザ操作履歴に基づく履歴情報想起支援ツール
〜 あのとき見ていたあれを検索 〜


 概要

PCユーザは、文書や画像、映像、音楽などの様々なドキュメントを参照します。 ユーザは日々の作業において、過去に見たドキュメントを再閲覧しようと思う場合がしばしばあります。 しかし、ユーザは普段無意識にこれらのドキュメントを見ているため、探し出すのは思ったより困難です。 とはいえ逐一Web ページをブックマークしたり、ファイルを整理したりするのは大変です。

この問題を解決するために過去の履歴情報を効率よく探し出せるツール「俺デスク」を実装しました。 俺デスクを使うことでユーザは過去に見たローカルディスクまたはWeb上のドキュメントをを簡単に見つけ出すことができます。

 アルゴリズム

俺デスクはユーザが日常作業を行っているときの様子をメタ情報としてドキュメントを付加していきます。 メタ情報にはPC上の操作(OSイベント、ネットワークイベント、アプリケーションイベント)とユーザ周囲の情報(ユビキタスイベント)があります。

俺デスクは上記のメタ情報を基にさらに着目度、操作度、関連度といった独自の指標を算出します。

[ 着目度 ]

着目度とはユーザがあるドキュメントをどの程度しっかりみていたかを示します。 この指標はドキュメント参照時間や参照回数、選択文字列の反転回数などの結果から算出されます。 この指標を用いることでユーザは着目した(しなかった)と感じるドキュメントのみの検索ができます。

[ 操作度 ]

操作度とはユーザがあるドキュメントにどの程度入力を行ったかを示します。 この指標はドキュメントキーの入力回数やクリップボードの利用回数などの結果から算出されます。 操作した(しなかった)と感じるドキュメントのみの検索ができます。

[ 関連度 ]

関連度とはドキュメント同士がどの程度関連があるのか示します。 この指標は、ドキュメント参照時刻、テキスト内検索、クリップボードの利用履歴などから算出されます ドキュメント間の連想からドキュメントの検索ができます。

 ユーザーインターフェース

俺デスクは関連検索ツール、タイムラインビューアといったユーザインターフェースを提供します。

[ 関連検索ツール ]



関連検索ツールとはあるドキュメントに対して関連のあるドキュメントを探すツールです。 ユーザは関連検索ツールに対して「Wordを使って企画書を作成していたときに 参照していたWebページを検索」といった要求ができます。

[ タイムラインビューア ]



タイムラインビューアは横軸に時間をとり、ドキュメント参照時間をラインで表示します。ラインの中央にユーザが実際に参照したWebページやドキュメントのサムネイルを表示します。 縦軸はドキュメント着目度を表しており、ユーザのドキュメントへの注目度合いを示したドキュメント着目度が高いドキュメントほど上位に表示されます。

 成果

[ 学会発表 ]

OreDesk: A Tool for Retrieving History Data Based on User's Operations
Ryo Ohsawa, Kazunori Takashio and Hideyuki Tokuda
ISM '06: The 8th IEEE International Symposium on Multimedia, San Diego, California, December, 2006

[ デモンストレーション発表 ]

第58回ビジネスショウTOKYO 2006.5

[ メディア掲載 ]

Web記事「Impress INTERNET Watch」2006.5
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/event/2006/05/18/12010.html


慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科
大澤 亮

http://oredesk.net/