あしあとのメタファを用いたアンビエントナビゲーションシステムの研究
山崎 俊作
慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 修士課程2年
位置情報取得技術の発展と携帯端末の普及により、人間の移動支援を目的としたパーソナルナビゲーションシステムが注目されている。近年では、自動車用ナビゲーションシステムを応用した屋外用のパーソナルナビゲーションシステムが実用化されている。また、センサデバイスの発達と位置情報取得システムの高精度化と細粒度化をうけ、より細やかなパーソナルナビゲーションシステムも盛んに研究開発されている。
パーソナルナビゲーションシステムが持つ機能のなかでも、利用者に経路を提示し誘導する機能は、利用者がパーソナルナビゲーションシステムを利用する際の作業負荷に大きく影響を及ぼす。現在、普及しているパーソナルナビゲーションシステムでは、携帯端末を利用した経路指示が一般的である。しかし、携帯端末による経路指示手法では、携帯端末に表示された地図と実世界とを直感的に対応づけることができない。このため、利用者が進行方向を認識する時間の増大、進行方向の誤認識などの問題がある。また、頻繁な携帯端末の確認による心理的負担、携帯端末の経路指示への集中による周囲の状況不確認などの問題がある。
携帯端末による経路指示手法
本研究では、パーソナルナビゲーションシステムの経路指示手法として、あしあとのメタファを用いた経路指示手法を提案する。本手法では、あしあとを利用者が実際に歩く床に表示することで利用者に足を踏み出す方向を直感的に指示する。また、常に利用者の前にあしあとを表示するため、利用者が経路指示を確認する負担を軽減できる。これにくわえ、利用者は足を踏み出す方向を直感的に認識できるため、経路指示に集中する時間を短縮できる。あしあとのメタファを用いた経路指示手法の評価としては、あしあとのメタファを用いた経路指示手法を利用したパーソナルナビゲーションシステムであるあしナビを実装し、NASA-TLXを用いて利用者の主観的作業負荷を評価した。
あしナビのソフトウェア構成図
あしナビのプロトタイプ実装
NASA-TLXを用いた主観的作業付加の評価結果
研究成果の一部を論文にまとめ、"AshiNavi: A Footprint-based Ambient Navigation System"という題名で、The 4th International Conference on Pervasive Computing (Pervasive 2006)の併設ワークショップであるWorkshop on Pervasive Display Infrastructures, Interfaces and Applicationsへ投稿し、口頭で発表した。
@inproceedings{ yamazaki2006ashinavi3, author = "S. Yamazaki and T. Ito and K. Kawata and N. Namatame and E. Ogahara and G. Takahashi and J. Nakazawa and H. Tokuda", title = "AshiNavi: A Footprint-based Ambient Navigation System", booktitle = "Workshop on Pervasive Display Infrastructures, Interfaces and Applications in conjunction with The 4th International Conference on Pervasive Computing (Pervasive 2006)", year = "2006", month = "5", pages = "415-420" }
研究成果がBS Asahiののワンダーナイト2(12月13日放送)で紹介された。
研究成果を修士論文にまとめた。
@masterthesis{ yamazaki2007ashinavi1, author = "山崎 俊作", title = "あしあとのメタファを用いた経路指示手法の研究", school = "慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科", year = "2007", month = "2", }