歴史的水環境を生かした都市再生手法の研究
慶應義塾大学大学院 政策メディア研究科1年 石川幹子研究室所属 浅田理恵
■研究課題
近年、各都市で中心市街地の衰退化が深刻化し、都市再生への取り組みが活発化している。本研究は、地方都市の有する歴史
的水環境システムに着目し、その保全・活用により、有効で着実な都市再生への戦略と手法の開発を行うことを目的とする。歴
史的水環境システムは、長い歴史の中で市民により継承されてきたものであり、都市固有の文化そのものである。各都市の個別
性が求められる今、歴史的水環境は重要な都市再生への課題である。具体的な研究は、
を踏んで行う。@水辺環境の歴史的変遷の調査。A歴史的水辺環境システムの分類と評価。B都市再生における歴史的水辺環境
システム保全・活用への提案。
■研究対象地の変更
研究を進めるにあたって、これまでの研究を担保とし、更に市民・行政を巻き込んだ実践的な研究を行うため、自治体のニー
ズと機会を活用し、主となる研究対象地を変更した。対象地を
地域)へと変更する。変更地も、地域の中心に地域の発展を支えた水環境が位置する。また、変更地は、
も歴史的な遺産が集積しているわけではなく、より一般的な地方都市といえ、研究に汎用性があると考えられる。地域の課題か
ら、水環境のみに焦点を絞るのではなく、水環境も含めた環境インフラ全体を踏まえることとし、都市再生、地域活性化の手法
を探求する。
■研究目的・課題の調整
対象地である
のある地域である。高齢化・少子化といった社会的問題も踏まえた上で、
む)と市民による環境マネジメントという視点から、まちの将来像と新たな地域活性化手法を探る。ここでいう地域活性化とは、
@美しい街並、生活空間(将来世代に繋がる環境インフラがある)A住民の生き生きとした生活B地域コミュニティの回復(自
分たちでまちを営んでいく)C他地域の人々との交流、といった面に焦点を当てている。
■研究の流れ・項目
研究の目的・位置づけの明確化
対象地の決定
既往研究
都市構造分析
(人口動態/歴史的変遷/土地利用/法規・事業動向/環境インフラ/景観/コミュニティ/空地/街路 etc)
民有地緑化分析
(市民ヒアリング/緑被分布/良好な事例調査/景観分析/法規・支援/コミュニティ etc)
市民による環境マネジメントづくり向けて
(那加まちなかWS/WS後の市民活動調査(官民協働の動向調査)
/市民団体(パークレンジャー・学びの森の会等)の活動の実態とその効果/事例研究(ex恵庭・小布施) etc)
菜園住宅
(川崎重工の社宅調査/
問題点とポテンシャルの抽出(課題の抽出)
提案(ヴィジョン・ストラテジー・マスタープラン・ルール(仕組み)・設計提案)
■主な成果
a) 都市構造分析(人口動態、歴史的変遷、土地利用)
b) 民有地緑化分析(緑被分布調査と緑被分布図作成、市民ヒアリング調査)
c) 市民による環境マネジメントづくりに向けて(那加まちなかWSの開催)
d) 菜園住宅(資料収集)
<活動成果報告補足資料(作成資料等一部)>
a)土地利用変遷図
b) 左:緑被分布図、右:市民ヒアリング調査アンケートとデータシート例
c)那加まちなかワークショップの様子と内容
実施期間:2006年10月〜2007年1月
参加者:市民 / スタッフ(市役所職員・研究員・学生)/ 応援者(市長・教授・須磨佳津江氏)
プログラム:
−第1回−
@まちの魅力発見ウォークラリー
A須磨佳津江講師ミニ講演会1(花と緑の美しいまちづくりにおける市民の役割)
Bワークショップ
「ウォークラリー」で見つけた魅力と課題を整理し、「魅力と課題の発掘図」を作成
−第2回−
@須磨佳津江講師ミニ講演会2(市民と行政の協働の仕組みによるまちづくり)
Aワークショップ
第1回ワークショップの成果をもとに、「安全に楽しく歩くことのできる美しいまち
なか」の実現に向けた「まちなか計画」の作成
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−第3回− @那加まちなか研究発表(参加学生) Aワークショップ 第2回ワークショップの議論を深め「まちなか計画」を作成 まちの将来像を実現するために、市民や企業・行政はどのような取り組みをし、協力をしていけばよいかを考える。また各班のアイデアについて全体で議論を実施 ●目標:アイデアを地図に画き、最終的な「まちなかアクションプラン」を作成する。 |