研究成果報告書

「シリコンバレー拠点設立を通じたアントレプレナー育成モデルの拡充に関する調査研究」

研究代表者: 國領二郎 (総合政策学部教授)

文責: 牧兼充 (政策・メディア研究科博士課程3年)


1. 研究課題

SIVアントレプレナー・ラボラトリー(SIVラボ)では、2002年4月より、SFCを中心とした産学官連携のインキュベーション・ネットワークを構築し、独自のアントレプレナー育成モデルをSFCにおいて構築してきた。今後のSFCにおけるアントレプレナー育成の質の向上のためには、シリコンバレーやスタンフォード大学との連携による、教育手法やプログラムの開発が有益である。シリコンバレーには、九州大学、鹿児島大学、東北大学など多数の大学が既に拠点を設立している。

本研究では、他大学のシリコンバレー拠点の先進事例の調査と評価を行い、また現地でのフィールドワークを通じて、連携相手の探索を行う。このプロセスを通じて、今後のSFCにおけるアントレプレナー育成モデルの検討を行う。

 

2. 研究メンバー

國領 二郎 総合政策学部教授
牧 兼充 政策・メディア研究科博士課程3年
森 靖孝 SFC研究所上席所員
宮地 恵美 SFC研究所上席所員
武石 訓尚 総合政策学部3年
守屋 英義 環境情報学部2年

 

3. 具体的な活動・成果

研究計画に基づいて、 以下の活動を推進した。

1) 東北大学シリコンバレーオフィス開所式への参加・見学 (担当: 牧)
  2007年4月26日、27日に開催された東北大学シリコンバレーオフィスの開所式に参加。活動概要を把握すると同時に、今後の調査に必要となるネットワーク構築を行った。また、開所式及びイベントに参加することにより、シリコンバレーの拠点がいかにして現地とのネットワークを構築することが可能なのかを調査した。
2) 九州大学、鹿児島大学、東北大学によるシリコンバレーオフィス責任者へのヒアリング調査 (担当: 牧)
 

シリコンバレーオフィスの先進事例である九州大学、鹿児島大学、東北大学の担当者へのヒアリング調査を行った。調査項目は以下の通り。

  • 設立目的
  • 主な活動
  • 大学における位置づけ
  • 予算案と資金源
  • 同窓会ネットワークとの関係

なお、調査結果は先方の了解を得られていないため、非公開資料とする。

(2007年4月24日~4月30日)

3) REE ASIA 2007への参加 (担当: 國領、牧、森、樺澤、守屋)
 

Stanford Technology Ventures Program (STVP)が主催するアジアを中心とした大学におけるアントレプレナー育成担当者が集まり、Best Practiceを共有するためのカンファレンス。SIVラボから多数のメンバーが参加し、セッションコーディネータ等を勤め、Best Practiceの共有及びネットワークの構築を行った。

(2007年6月20日~6月22日)

4) REE USA 2007への参加 (担当: 牧、武石)
 

Stanford Technology Ventures Program (STVP)が主催する米国を中心とした大学におけるアントレプレナー育成担当者が集まり、Best Practiceを共有するためのカンファレンス。Best Practiceの共有及びネットワークの構築を行った。

(2007年10月24日~10月26日)

5) REE USA 2007 Fellows Programへの参加 (担当: 牧、武石)
 

Stanford Technology Ventures Program (STVP)が主催する世界の大学の学生を集めたアントレプレナー育成プログラム。スタンフォード大学における教育セッション+シリコンバレー視察ツアーにより構成されており、今後のSIVのアントレプレナー育成モデルを構築するための知見を多数得た。

(2007年10月19日~10月26日)

6) 5th Annual Global CONNECT Conferenceへの参加 (担当: 宮地)
 

UC San Diegoが主催する世界中のインキュベーションネットワークを相互にネットワークすることを目的としたGloba CONNECTの年次総会。複数拠点間の連携手法のbest practiceの共有及びネットワークの構築を行った。

(2007年12月12日~12月13日)

 

4. 成果とまとめ

この1年間の活動により、SIVラボとして必要な、グローバルネットワークを拡充し、シリコンバレーの各組織との連携体制の準備を整えることができた。今後は、後継組織である慶應SFC Innovation & Entrepreneurship Platoform研究コンソーシアムが、このネットワークを活用しながら、次のインキュベーションモデルを模索・実践する見込みである。