次世代型コモンズによる地域再生アクション

慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科修士課程1年 石川幹子研究室所属 浅田理恵

 

 

【研究概要】                                                                    

各都市で中心市街地の衰退化が深刻化し、都市再生への取り組みが活発化している中で、地方の小都市では、地域資産の発掘や新たに地域固有な魅力や活力源を培っていく必要がある。小都市の中心市街地は、商業機能や業務機能が集中する地域に近接して、もしくは内部に入り込んで、住宅地が共存していることが多い。中心市街地とはいっても生活や居住といった面が色濃く存在している。しかし、中心市街地の衰退化を背景として、生活環境を豊かにする環境インフラという視点で研究されているものは非常に少ない。更に、行政管轄外のまちなかの環境インフラに焦点を当てたものは尚更である。本研究では、近年特に緑地戦略に熱心に取組んでいる岐阜県各務原市を取り上げ、その中心市街地である那加地域で、民有地緑化の活用という視点から地域再生の手法を探る。

まず、都市形成の歴史や都市構造を分析することで、地域の内部に眠る、地域の年輪を読み直した。且つ詳細な民有地緑化の実態を調査分析することで、民有地緑化を個性あるまちづくりに活用する手法を探る。そして、まちを構成する住民や生活者が既に自身で取組む緑化の実態・特徴をより具体的に把握するために、緑化の量・形態・質に指標を提示することを試みた。その結果、異なる基盤整備を背景に、地域を8つに区分することができ、且つそれぞれのゾーンによって、緑化実態に違いがあることが分かった。

衰退化が進む中心市街地で、少し異なる視点から問題を捉えると、空洞化は窮屈なまちなかにおいては贅沢とも言える。まちなかでの暮らしを更に豊かにするために、緑化戦略の視点から、地域の特性に基づいたまちなか再生プログラムを提案した。

 

キーワード

1)民有地緑化 2)中心市街地活性化 3)緑化指標 4)地域再生 5)環境マネジメント

 

 

【研究の流れ】

 

 

 

【研究の主な成果】

     地域の特性の把握と、それに基づいた地域の区分わけ

     民有地緑化に取組む市民の活動意識把握

     民有地緑化の分布(緑化形態別の緑化分布図の作成)

     緑化指標の提示

[接道緑化率(既存)/民有地接道緑化率/民有地接道緑化実施率/緑化形態多様度]

     緑化指標の活用した緑化実態把握手法と、対象地の民有地緑化の特徴と課題の提示

 

 

 

【活動成果報告補足資料<一部>】

■通り別の緑化指標値

[接道緑化率]

接道緑化率 = 接道緑化延長 / 道路延長

 

[民有地接道緑化率]

民有地接道緑化率 = 民有地の接道緑化延長 / 道路延長

                                             

[民有地接道緑化実施率]

民有地接道緑化率 = 接道緑化実施敷地数 / 接道敷地数

 

[緑化形態多様度]

7

 

n=1

 

 

 

■緑化指標の活用

[民有地接道緑化率と民有地接道緑化実施率の比較]