2007年度森基金研究成果報告

研究課題名:SNSにおけるコミュニティを対象とする文化事象の構造

所属プログラム:インターリアリティ
政策・メディア研究科 修士課程一年
80725647 yuca@sfc.keio.ac.jp
山崎由佳 / Yuka Yamazaki


概要

2007年度森基金研究成果報告を行う。
1.研究背景
2.研究テーマ
3.分析のアプローチ
4.2007年度の研究成果
5.今後の計画


1. 研究背景

本研究は、ウェブ上で多くの人々の相互作用によって構築される集合知の構造を明らかにすることにある。 研究を始めるにあたって、当初は、SNSを分析対象に想定していた。人々がSNSという場において文化事象にどのように意味づけを行うかということを、 全体の構造として明らかにしようと考えていたのである。
しかし、研究を進めるにつれ、SNSにおける文化事象よりも、集合知そのものの生成に興味を持つようになった。 そのため、本研究は、分析対象をWikipedia(http://ja.wikipedia.org/)とし、研究を行う。


2.研究テーマ

本研究は、Wikipedia(http://ja.wikipedia.org/)はどのように成長しているかという点における、法則性の発見をテーマとしている。 その際、「どのように成長しているか」ということに関して、同カテゴリ内の記事間の関係性に着目し、カテゴリ内で発生する、 記事の記述に関するローカルルールの差異を明確にし、それらを抽象化することによって、集合知の成長過程の法則性の発見を最終的な目的とする。


3. 分析のアプローチ

カテゴリ内のリンク語の分布、記事間の同リンク語の有無をデータとし、
・カテゴリ内のリンク語の分布の分析(べき乗へ向かう過程)
・記事間の関係のネットワーク分析
・(自己組織化マップを用いた解釈)
というアプローチで分析を行う。


4. 2007年度の研究成果

4-1. 「Wikipediaにおけるリンク構造の分析と解釈」[pdf]
情報処理学会ネットワーク生態学研究会
第3回サマースクールにて発表

4-2. 「Wikipediaの経年変化に関するカテゴリ間の比較分析」[pdf]
情報処理学会
第67回 数理モデル化と問題解決(MPS)研究会にて発表


5. 今後の計画

主要カテゴリとされる10カテゴリの直下にあるサブカテゴリ(約400)の分析を行う。そして、そこに、成長における多様性を見ると共に、 法則性の発見を目指す