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研究背景2008年度半ばより、輸出志向経済や国際市場に頼っているアジアにおける貧困地域がグローバルな金融危機の悪影響を感じ始めた。「ショック」である経済的な不況を直面する資源の乏しい貧困地域は市場が崩壊した、金融的な資源が蒸気した度に生活の継続を確保するために伝統的なヒューマン・ネットワークと基本的な情報ネットワークの同時利用をより活性化しようとしている。その実態について調査して来た。具体的には、生活基盤を喪うリスクの最も高い住民がヒューマン・ネットワークや情報技術又はネットワークを使いながらいかに生活を持続しているか、その方法について調査して来た。そのために本研究は生活を支える新たな工夫を求める住民が地域レベルの代表的なマイクロデータを収集して来た。 研究目的近年「ネットワーク」の概念は、たとえばインターネットに代表されるような、異なる技術を相互連関させる概念として定義されており、それが社会経済の急速な発展をもたらす可能性に焦点があてられた議論が多い。一方で、人間開発の分野においては、資源の調達や、市場へのアクセス、そしてほかの経済的・社会的な機会の提供などをもたらす、一つの既存の「技術」とも言えるヒューマン・ネットワーク(Human Network)への注目と、その維持/強化が必須の課題として浮かび上がっている。この、2つの異質な「ネットワーク」の関連性については、すなわち技術の可能性とヒューマン・ネットワークの相互連関(interconnected technologies)は、少なくとも人間開発(Human Development)の分野においては、概念的にも実践的にも、まだ十分に定義されていない。それらの定義の欠如を最終的にうめるのが本研究のマクロ的な目的である。 農村地域は経済的なショック(shocks)を直面する際、ヒューマン・ネットワークを基盤とした伝統的な工夫と、最近浸透してき情報ネットワークは生活基盤を取り戻すためにどのように利用しているかについて現地調査を行った。具体的には、以下の4つの経済的なショックと、利用できる「ネットワーク」に注目した現地評価型調査を行った。具体的には、これまで資源の乏しいアジア地域の農村部・遠隔地域で生活するアジア諸国の国民の過半数である村民が新たに抱えている以下の問題や地域での現行の対策を対象とした。
参加研究者
研究内容調査は、おもにタイ・ミャンマー ・カンボジア(比較するためにラオス)、東南アジアのメコン河流域(GMS)で行われてきた。それぞれの地域で取り組んだ課題と調査内容は以下のとおりであった。取り分け世界不況がおこした、圧倒的な国境を越える移住労働の急増を可能にするないしは必要にさせる状況やそれの当事者にとっての有利・不利を調査してきた。
研究の実行日程(完了)
対象地域は、東南アジアでの多く議論されている大都市部のみならず、人口や環境資源が集中している農村地域にまで及んだ。研究成果として、上記の該当地域で以下の結果を確保して来た。 調査結果・研究成果
本研究は、以上の緊急性のある問題点を指摘したのみならず、農村伝統社会における経済的なショックなどの災害を耐えるための現地での工夫に基づいた方法の評価を探検して来た。その結果、①既存の地域でのヒューマン・ネットワーク(伝統的なソーシャル・キャピタル)の動因の大切さや ②情報ネットワークや変わりつつある情報へのアクセスを可能にする手段について、①と②が同時に利用できる発展途上地域のショックへの忍耐力度の比較的な高さ、明らかになった。さらに、これらのネットワークが可能にする新たな流動や(自営業も含める)就業の形態やパターンを明示した。 開発の効果に評価を付けるには、開発の当事者の視点から質的に評価することが、本研究の変わらない基盤的な命題であった「経済的なショックへの対応という文脈における、当事者による解決策としてのヒューマン・ネットワークと情報ネットワークの利用を調査したことは、「ネットワーク概念」のみならず、従来の議論は、技術移転との関連の中で、その技術や融資自体の有効性のみに焦点があてられていた。だが、開発政策の有効性は、当事者の生活環境の中で把握され、定義されることである。本研究の意義は、現地調査から得られた経験的なデータを通じて、不況のもっとも恐ろしい影響を受けている人は、もっとも資源や援助が乏しくなった時期にどのように自ら生活を確保できるかについて、有用な知識を得た。 |