2008年度 森泰吉郎記念研究振興基金
研究者育成費(博士課程)
「若年無業者の自己排除の概念構築に向けた分析」
研究報告書
伊藤裕一(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程)
1.はじめに
本研究は、若年層が求職意欲を喪失し自ら無業者化してしまう問題について、個人の内面で行われる精神的メカニズムと、社会、コミュニティにおける社会規範との関係性について「自己排除」という概念によって説明することを目的としている。その際にベンチマーキング作成・データベース化・GISによる可視化という3段階によって、従来とは違った手法を用いて分析を行なう。地域経済というメゾな労働市場の中で、ミクロ的な若年者それぞれのマッチングプロセスに関わる要因をベンチマーク化することで、従来の若年労働問題の分析とは違う分析が可能である。
本研究においては、地域経済分析とその国際比較という研究成果とともに、労働経済学分野ではまだほとんど用いられていないGISの手法を用いることで、学問的に新しい手法の確立を目指す。
2.研究の背景
日本においては、90年代以降、失業率の上昇がみられるが、2000年に入ってからの失業の急増は、若年層の非自発的失業の増加が大きく寄与している。従来の知見では、若年層は自発的な離職が多く、産業構造の転換に伴う摩擦的な失業であったので、失業期間も短くあまり大きな問題ではないと考えられてきた。それに対し現実に観察された事象は、仕事とのつながりをなくした若年層は、その結果コミュニティとのつながりを失い、結果として非労働力化(=ニート)や引きこもりなどという現象であった。重要な点は、本人たちの勤務意欲いかんに関わらず、本人のコントロールできない要因(家庭環境や景気環境)によって新卒採用の機会を逸した層は、企業内教育訓練を中心としてきた日本型キャリアパスの中では、取り残された層となり失業の長期化とそれに伴う多様な問題の深刻化を生み出してしまう。しかし報道などで取り上げられるのは、ミクロ的な個人の就労意識の未熟さであったり、生涯賃金の減少が総消費を減らすといったマクロ的アプローチであったりと、「問題」そのものの理解もまちまちであり、政策的に混乱が見られるのが現状である。
本研究で注目するのは、自信の喪失といった個人化された排除のプロセスと、それに与える社会規範やモラル、勤労意識といったコミュニティの持つ「規範」との関係性である。それは、「誰かが誰かを排除している」という欧米型の「社会的排除」と違い、明確な排除主体を人種などの属性によって特徴づけることの難しい日本の状況を説明する重要なポイントである。本研究では、そのような日本の状況を表す上で「自己排除(self exclusion from
society)」というキーワードを用いて、社会の中の個人がどのようなプロセスで労働市場における求職活動を辞めてしまうのか、について分析を行う。その際に重要になってくるのが、地域経済といういわば、メゾ(中間)の視点である。グローバルな経済動向の影響を、最も大きく受けているのはこのメゾの単位であり、政策を分析、立案していく上で最も重要になると考えた。そしてその際にマッチングを行う個人の生活を、ヒューマンセキュリティという観点から安定させていく、という視点を取り入れたい。
3.研究の内容
本研究は、若年無業者の就労支援について問題点と望ましいあり方について検討をしたものである。若年無業者の多くは、就労したいと思いつつも、求職活動を続けることができずに、非労働力化している。そのプロセスは、従来の求職意欲喪失効果や、家族社会学、社会階層論といった説明では当てはまらない点が多い。それは、社会環境や経済状況といった要因に加え、個人による内省的な認知という個別性の高い領域があるためである。本研究では、若年無業者が就労に関するつまずきをきかっけに社会とのつながりを失い、さらに就業に至る経路が閉ざされていく悪循環のプロセスを、基本的には社会的排除の問題としつつも、日本に特有の現象として、自己排除という考え方を提案する。
従来の若年者に関する政策は、正社員以外の働き方について自己責任論や自発的な選択によるものであるといった理解が先行し、効果的な支援施策とならなかった。それに対して望ましい就労支援のあり方は、積極的労働市場政策の流れをくみつつ、労働を通じて社会参加を可能にする、という考え方で支援を行う、社会的包摂を意識した支援であるほうが従来の求職支援では対象とされなかった層を含むことができるため、望ましいといえる。自己排除のプロセスを考慮した場合、包括性、個別性、強制性という3点が重要なキーワードとして挙げられる。
最後にそれら点から現在行われている若年無業者の就労支援である地域若者サポートステーションについて検討を行った。求職活動支援型と基礎能力育成型の施設に分類することができ、包括性という観点からすると、支援の全体像を把握しつつ、他の支援施設と連携して包括性を確保しつつ、サポートステーションは求職活動の一歩手前である施設外での職業体験に支援の目標を定めるべきであるとした。また、個別性という観点では、キャリアカウンセラーや臨床心理士が個別相談を実施しており確保できている。一方でキャリアカウンセラーはその職務において困難を抱えることも多く、より一層の改善が必要である。具体的に直面する困難としては支援領域の幅の広さと時間の長さ、そしてメンタル的な問題への対処であると考えられる。最後に強制性という観点では、現在の政策には一切の強制性が付与されておらず、来所者の自由な意思に任されている。若年無業者が増加することは、本人も苦しんでいるとともに、社会全体としても損失が大きいため、早期介入の手段を確立することが必要不可欠である。
4.研究手法
まずは、来所者の特徴について把握するため、報告書のまとめを行った。その後各地域のサポートステーションに訪問し、以下のようにインタビュー調査を行った。
表 1 若者サポートステーション訪問調査日程
日程 |
場所 |
名称 |
運営母体 | |
9月4日 |
山口県防府市 |
防府市若者SS |
特定非営利活動法人 コミュニティ友志会 | |
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9月6日 |
岡山県岡山市 |
おかやま若者SS |
特定非営利活動法人 リスタート |
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9月17日 |
長崎県長崎市 |
長崎若者SS |
若者自立支援長崎ネットワーク株式会社 |
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9月19日 |
福岡県福岡市 |
福岡県若者SS |
NPO法人 九州キャリア・コンサルタント協会 |
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9月19日 |
佐賀県佐賀市 |
さが若者SS |
NPO法人 NPOスチューデント・サポート・フェイス |
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9月21日 |
大分県大分市 |
おおいた地域若者SS |
株式会社ベンチャーラボ |
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11月7日 |
岩手県盛岡市 |
盛岡地域若者就業SS |
NPO法人 いわてNPOセンター |
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11月8日 |
宮城県仙台市 |
せんだい若者SS |
特定非営利活動法人 わたげの会 |
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11月8日 |
宮城県大崎市 |
みやぎ北若者SS |
企業組合労協センター事業団 |
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11月9日 |
青森県青森市 |
青森県若者SS |
財団法人 21あおもり産業総合支援センター |
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11月12日 |
山形県酒田市 |
庄内地域若者SS |
山形県中小企業団体中央会 |
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11月19日 |
香川県高松市 |
かがわ若者SS |
株式会社 穴吹カレッジサービス |
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11月20日 |
愛媛県松山市 |
えひめ若者SS |
イヨテツケーターサービス株式会社 |
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11月22日 |
高知県高知市 |
こうち若者SS |
社会福祉法人 高知県社会福祉協議会 |
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11月22日 |
徳島県徳島市 |
徳島県若者SS |
社団法人 徳島県労働者福祉協議会 |
2月21日 |
広島県広島市 |
広島地域若者SS |
特定非営利活動法人 中国キャリアコンサルタント研究会 |
インタビューの対象者は、各サポートステーションの代表者や責任者の方で、実際に来所者にも対応されている方たちであった。また多くの場合そのサポートステーションでキャリアカウンセラーとして来所者の支援を行っている方からも話を伺った。臨床心理士については、非常勤で勤務をしているというサポートステーションが多く、実際に話が伺えたのは限られたサポートステーションのみであった。
インタビューは各施設内で行われた。ほぼ1時間から2時間の間かけて質問項目を事前に定めた半構造化面接を実施した。内容は、サポートステーションを受託するに至った経緯、来所者の状況や支援の具体的な内容、地域内のネットワークについて、スタッフの勤務状況、運営や若年者支援について困難を感じている点である。また、サポートステーションの立地や設備の状況については、それぞれのサポートステーションにおいて大きな差異があったので、適宜質問を行った。
5.研究成果
本基金に基づいて行われた研究成果は、博士論文の草稿としてまとめられ、公聴会において発表を行い、その成果を公表した。
第1章では、研究対象である若年層の現状について把握するとともに、どうして若年無業者の増加が問題なのかという論点を明確にすることを目的としている。
若年層の就労に関する研究は近年非常に増加してきているため、それぞれの研究において扱っている問題が近似していたり、問題意識がそれぞれ異なっていたりすることが多い。そこで本章では、本研究で扱う若年無業者という層がが、いわゆるフリーターやニート、ひきこもりといった層とどのように重なっており、どのようにずれているのか、という点について定義を整理する。
いわゆるフリーターは不安定就労の代表とされ、それ自体は検討すべき課題である。しかし、雇用についている、また短期離職後に再度求職活動を行うことができているという点において若年無業者の定義からはずれる。
それに対しいわゆるニート、ひきこもりの層は若年無業者層と極めて重なりが多く、求職意欲があるかどうか、という問題により着目するかどうか、また実際に求職活動をしているかどうかという点において異なる。本研究で対象とするのは、就業意欲を持っているが、求職活動を行うことができていない層である。
若年無業者の増加は、複数のレベルから社会的に解決すべき問題であることが指摘できる。まず個人的な就業への希望に社会が応じることができないという問題が挙げられる。そのことは個人レベルでみた場合、不安や絶望といった負の精神的問題をもたらすとともに、個人間における所得格差という具体的な問題をもたらす。これらは少子化の一因ともなるとともに、低所得者層への社会福祉費の増大、社会保障への寄与の低下という問題をもたらし、財政面での問題を増加させる。最終的には少子高齢化社会の中で、さらなる労働供給の減少と相まって潜在的な日本の経済成長を押し下げることになってしまう。
このような点から、若年無業者層への就労支援が今後より重要となってくるのである。
第2章においては、若年無業者を説明する既存の枠組みについて批判的に検討を行う。
まず扱うのは労働経済学的な枠組みである、求職意欲喪失効果についてである。これは、求職活動によって得られる職の賃金が低下した場合、あるいは求職活動そのものの費用が増加した場合などに、求職活動を辞めるという合理的な理由があるという説明を行うものである。この求職意欲喪失効果は、国際比較可能な統計的な把握が可能である点が利点である。これは労働供給のフローとして計測されてきた。
しかし、この視点においては、統計上事前に準備された項目にそって求職意欲喪失について理解されるため、なぜ求職活動をしていないのかという経緯やプロセスを正確に把握することができない。また、統計上では多い女性の離職者に比べ、絶対量では少ないが近年増加している男性の無業化を看過されてしまっていた。結婚や家事を契機に家庭に入るという意味で無業者化するという合理的な説明のつく女性の無業化に比べて、自己の意思とは反して無業者かする男性の状況については、労働経済学的な枠組みのみでは説明ができない。
そのような限界がある中で、より日本社会や個人の状況に即した枠組みが必要となってくるのである。
労働経済学を離れて無業化するメカニズムを説明する枠組みとして代表的なものは、家族社会学や社会階層論による説明、そして日本型雇用システムとの関係で説明するもの、個人の労働意欲に基づいて説明するものである。
これらの説明は、相互補完的な部分もあるが、明確にすべての状況を説明できるものではなく、それぞれに限界点がある。本章では、これらの枠組みについて批判的検討を行う。
説明 |
限界・批判点 | |
労働経済学 |
求職意欲喪失効果 留保賃金との関係性、求職活動にかかるコストとの関係性 |
現在一定の仕事についていて転職することを想定しており、無業状態が継続することの説明としては限界。非合理的な部分や社会的文脈を含めていない。 |
家族社会学 |
「ポスト青年期」の拡大 経済的に不安定な若年者を保護する 最後のセーフティネット |
個別性のある家族間の関係性が説明できない。 家族の支援が適切な保護なのか、過保護になるのかの差がわからないと、政策的対応ができない |
日本型雇用制度・慣行 |
新卒採用制度の厳格適用 はえぬき登用の重視 結果としてやり直しがきかない制度に |
環境要因の説明はできても、全員が求職意欲を喪失するわけではない。 個別的なプロセスを説明できていない |
社会階層論 |
親の学歴・所得が子の職業選択に影響する |
研究によって影響自体に賛否ある。 単純化された指標がそのまま就労に結びつくかは、就職プロセスが多次元的になっている現代では検討が必要。 |
個人の意欲 |
不安定な時代に若年者が希望を持ちにくい。 やりたいこと願望が強い |
個別性のある意欲喪失のプロセスに踏み込む点が他の研究よりも説明能力がある。 しかし若者批判に陥りやすく、社会環境の変化がうまく接合しなくなる可能性が高い。 他の研究に依存する部分も多い |
第3章では、前章でみた既存の枠組みとは異なる、新しい若年無業者の説明枠組みとして、自己排除という概念を提示する。その上で、基盤となる社会的排除の考え方を外観した上で、自己排除のメカニズムとその有効性について述べる。
自己排除とは、社会的な要因によって排除されているのではなく、自己の認知を経て社会との接触を失っていくという、日本型の社会的排除に至るプロセスであるといえる。
このような形での排除は、自己の認知が大きく作用しているため、一定の属性を持ったグループに対する社会的排除とは現象としては非常に類似がみられるが、より個別化されたプロセスである点で大きく異なっている。
社会的排除は元来フランスやイギリスを中心とする欧州で、移民やその2世3世といった層が、都市部において貧困化している、という社会問題を、従来の貧困問題とは異なる形で示すために用いられた概念であるといえる。しかし、単に特殊なグループの貧困を表すために用いられたという概念にとどまらず、いくつかの点において、従来の貧困や失業といった概念を超える便宜性が認められる。
それらは、静的な状態を示すのではなく、なんらかのきっかけを通じて悪循環を発生するというプロセスに着目している点と、単に所得の貧困を示すのみではなく、社会関係や労働、教育といった生活に関わる諸側面に着目している点である。
日本においても、いわゆる人種や言語、市民権といった理由からの社会的排除はあてはまらないとしても、このような連続性をもった貧困化のプロセスとして理解する上では、非常に親和性があると考えられる。なぜならば、日本における若年無業者は、特に社会関係を失い、コミュニケーション能力に不全をきたすことで、再就職をより困難にしているからである。より若年層においては、不登校などを通じて教育上の問題もきたしており、やはりその後の就業における負の要因となっている。
その上で、決定的に欧米の議論とはそぐわない点が、社会的排除は地域やグループといった集団を対象に議論することが通常であるのに対し、日本においてはより世帯別、個人別というように個別化したプロセスが確認できることである。そのため、ある地域や人種マイノリティに対する施策という形で対策を講じることができず、より家庭に隠匿された問題として深刻化してしまう構図がみられるのである。
また、排除されたグループ内では一定の社会関係を維持できる欧米の状況と異なり、日本においては地域や学歴によるコミュニティとはそれほど関係なく無業化する状況が観察される。従って個別化したプロセスは同時に孤立化を生む傾向が強いのである。
第4章からは、自己排除という視点の有効性を検討すべく、日本における実際の政策について検討を行う。
そもそも日本においては若年層への施策は乏しかった。それは日本の社会福祉が、家庭に依存した部分が大きく、教育段階においては家庭にその大部分が委ねられ、私的な領域として国家の干渉は抑制されていたことが挙げられる。また、先述したとおり日本型雇用システムにおいては、初職を得た場所において「社会人教育」を受けるという、会社が全人格的な教育システムの一端を担っていた。従って家庭を基盤として、学校と会社が段階を経て重要な役割を果たしていたのである。
とはいえ90年代からの景気後退期における若年層の就業を取り巻く諸問題に対応する形で、徐々に施策が充実してきている。90年代後半からは、いわゆるフリーター対策として「若者・自立挑戦プラン」が中心的な役割を担ってきた。しかし、このフリーター対策は、若年者の就業意識の未熟さを問題視したものであり、就業環境の問題という労働需要側の要因を鑑みることのない施策であった。
それに対し2003年に内閣府は「若者の包括的な自立支援方策に関わる検討会報告書」を提示し、従来の経済的自立のみに着目した支援に加え、社会的自立を加えた包括的な自立支援が必要であるという考え方を示した。その結果、より幅広い支援が必要な無業者層への支援策が広い認知を得るようになったのである。
しかし現在の施策においても問題がないわけではない。本章では、前章で述べたように自己排除という考え方に基づいた場合、包括性、個別性、強制性という側面から今後の整備が必要であることを指摘する。
第5章では、2006年度より開設された地域若者サポートステーションを事例として検討し、どのような支援が行われているかをまとめるとともに、自己排除のプロセスにあると考えられる利用者への効果的な支援を行うための政策提言を行う。
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求職活動支援型 |
基礎能力育成型 |
目標と支援のイメージ |
求職活動の開始と成功 プル型 |
求職活動に必要なコミュニケーション能力の育成と自信の回復。プッシュ型 |
主な対象者 |
求職活動に具体的なイメージを持っていないが意欲はある |
仕事をする必要性は自覚しているが、具体的な行動は起こしていない |
活動 |
個別キャリアカウンセリング、職業体験、履歴書作成支援、模擬面接 |
心理相談、グループコミュニケーション、体験学習プログラム |
施設 |
清潔感のある静かなカウンセリング環境 |
常に音のある雑談しやすい環境、来訪しやすい雰囲気 |
各サポートステーションでは、母体となる組織の性質や行動規範、有しているネットワークといったものによって、支援の内容や考え方が大きく異なることが分かった。本論文においては、それらを「求職活動支援型」「基礎能力育成型」に分類した。
また、各施設では一見すると就労支援とは関係のない支援を行っているところが多く、全体としては就労支援につながる効果が測定しにくいという問題点を抱えている。しかし、自己排除というプロセスを重視すると、単に職業紹介やエンプロイアビリティの向上を行えばよいのではなく、求職活動に向かえるようになるためのエンカレッジメントが重要であることが分かる。そのような視点にたつと、福祉政策としての発達障害者支援と、ハローワーク等による就労支援との中間的な支援策として地域若者サポートステーションを位置づけることができる。
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ハローワーク、ジョブカフェ |
若者サポートステーション |
対象 |
求職者(失業者) |
非求職型無業者 |
問題 |
仕事を探してもみつからない |
仕事に応募しても合格できない 就きたい仕事がわからない |
解決策 |
職業能力の向上 求人情報の提供 |
対人関係能力の向上 不安やトラウマの解消 |
目標 |
仕事を通じた所得の確保 |
仕事を通じた社会・人とのつながり |
6.今後の課題
本年度の研究において、日本における若年無業者の問題が、欧米諸国で問題視される社会的排除の問題と無関係ではないことと、日本における一定の特殊性から自己排除と呼ぶことが適切であることを示すことができた。
ただし、そのような説明が実際若年者の状況を説明する上で、どの程度の説明能力があるのか、アンケート調査や参与観察等のプロセスを行うことは本年度はできなかった。これらは今後の課題としたい。
以上