2008年度森泰吉郎記念研究振興基金

研究成果報告書

 

ワヤン・クリとは何か ― 一人の上演者を通して ―

政策・メディア研究科修士課程2年 鮫島沙織

 

 

 

研究課題

 

本研究は、インドネシア共和国においてみられる人形芝居の一種である影絵芝居ワヤン・クリ(Wayang Kulit)が現在インドネシア共和国ジャワ島ジョグジャカルタ特別地域の社会においてどのような役割を果たし、どのような位置づけにあるのかを、一人の影絵芝居上演者の観察を通して考察するものである。現在インドネシアでは、衰退しつつあると言われていた影絵芝居が政府の文化保護政策の影響もあり復興の兆しを見せている。インドネシアにおいて数百年あるいは千年以上の歴史を持つと言われる影絵芝居は、現代社会の人々にとってどのようなものか。影絵芝居の考察を通して、文化は人間にとって一体どのようなものかを明らかにすることを目指す。

 

 

研究成果報告

 

1.フィールドワーク

期間:2008年7月23日〜2008年9月13日

 

於:インドネシア共和国ジャワ島ジョグジャカルタ特別地域および中部ジャワ州

 

活動:

・文献調査(国立芸術大学ジョグジャカルタ校図書館)

・インタビュー(文化観光省、ジョグジャカルタ王宮内影絵芝居学校校長、国立ガジャマダ大学教授、公演を鑑賞している一般市民など)

・公演の観察(ジョグジャカルタ王宮の定期公演、ウォノサリ・Tombi・バントゥル県・スレマン県での公演など)

・文化保護イベントへの参加等

 

2.文献購読

本年度主に取り組んだ文献は以下の通り。

Geertz,CliffordTheReligionofJava”TheUniversityofChicagoPress,1960

KoentjaraningratJavaneseCulture”OxfordUniversityPress,1985

PranoedjoePoespaningratNontonWayang-DariBerbagaiPakeliranKedaulatanRakyat,2005

SriMulyonoWayangAsalusul, FilasafatdanMasaDepannyaGunungAgung,1975

・セノ・サストロアミジョヨ『ワヤンの基礎』松本亮・竹内弘道・疋田弘子訳,めこん, 1982

・松本亮『ジャワ影絵芝居考』濤書房, 1975

 

3.研究会およびプロジェクト活動

堀茂樹研究会およびトランスカルチャー論プロジェクトにおいて研究発表を複数回行った。

堀茂樹研究会における発表の概要は以下のウェブページより参照することができる。

http://hori.sfc.keio.ac.jp/blog/

 

 

以上