学籍番号:80824859
所属:政策・メディア研究科
ログイン名:regulus
氏名:田中 豪
従来のモーションキャプチャシステムには,マーカやセンサ装着による認識対象者への動作制約や,機具を取り扱う熟練を要する,実地的で簡便なモーションキャプチャシステムがないといったような問題点がある.
われわれはこのような問題意識を元に新たなモーションキャプチャシステムの研究開発を目指す.
Motion Analysisの研究フィールドを重点的に調査を行った.その図を以下に示す.
図1 Human Motion Analysisの研究フィールド
Motion Analysisのフィールドには大きく分けて3つがある.Body AnalysisとTrackingとRecognitionである.今回の問題意識に対して有効と考えられるのがBody Analysisの分野である.その中でもModel BasedとNon-model Basedと分けられる.今回目指したのはModel Basedの中でもStick Figureをモデルとしたアプローチである.
また上記のMotion Analysisの研究フィールドの分野をさらに絞込み,我々の研究でキーワードとなるMarkerlessとSingle Cameraを含むフィールドに対し調査を行った.結果を下記の表に示す.
Markerless | Single Camera | ||
---|---|---|---|
関連研究A | × | × | ⇒従来のモーションキャプチャ |
関連研究B | ○ | × | ⇒計測精度を重視し屋外などで使用可能なモーションキャプチャなど |
関連研究C | × | ○ | ⇒研究例少数 |
関連研究D | ○ | ○ | ⇒近年研究例が増え始める |
表1 MarkerlessとSingle Cameraに特化した研究フィールド
Motion Analysisの分野で今回は特にMarkerlessとSingle Cameraという部分に着目し調査をおこなった.両ワードとも実現されていないものを従来のモーションキャプチャとして据え,以下それぞれの組み合わせで関連研究を分類し,近年の傾向を示した.
傾向としてMarkerlessのみを実現している研究例は多数見つかった.これらにはマーカーを取り付けるコストは下げることはできたものの,認識を行うカメラを初めとする大規模なシステムを縮小するにはいたっていないものが多く,我々の問題意識を完全に解決するものではない.また,Single Cameraのみを実現するものとしてはシステムの有効性や応用性の説得に乏しいために研究例自体が少ないということがわかった.
また我々が目指す両ワードを含むものであるが研究例が多く,近年盛んな研究といえる.各研究例とも特徴が存在しているため,我々の動画でありかつ3D対応のシステム構築を助けるものとして今後も調査を続けていく.
調査の結果下記のような課題を見出すことができた。
現状のモーションキャプチャの課題として下記のように分類される.
複数カメラの3次元座標をマッチングさせるための各カメラの調整.
ユーザへのマーカを取り付ける作業.動作の自由度を制限したり,拘束感をあたえることにつながる.
取得したデータが人体のどの関節点なのかを人が手作業により,教化させる必要がある.極端には1フレームずつの教化・修正が必要となるため,計測コストを大きく高めるものとなっている.
上記に挙げた課題を我々の研究では大きくコストを下げられるものであると考えている。入力画像としてのカメラを1台とすることでカメラキャリブレーション行う手間が大きく省ける。また現状あるモーションキャプチャシステムでは認識データをどの関節点なのかを判定する簡易機能が存在しているものもあるが精度が乏しくほぼ実用性がないのが実情である。これらコストを低減させることはモーションキャプチャの日常利用の可能性をさらに広げるものであり、モーションキャプチャの持つ魅力を広げ、社会にサイバー空間との新たなインタフェースとエクスペリエンスを提供できると信じている。
今後は下記を計画している.