2008年度 森基金研究報告
楽曲の時系列内容分析・相関量計量・可視化機構を実現する音楽データベースシステム
- 政策・メディア研究科 修士課程2年
- 学籍番号:80724207
- 今井小帆里
研究の概要
音楽データに代表される時系列メディアデータを対象とした検索において,時
間軸に沿って表現されたデータ内容を対象とした情報検索機構が求められてい
る.特に,時系列メディアデータ群を対象としたメディアデータベース構築の
ためには,メディアデータの時間軸に沿って表現された特徴量を,メディアデー
タ全体あるいは部分の印象・雰囲気・変化に応じて計量し,検索クエリとの関
連性を評価する機能の実現が重要である.本研究では,時系列メディアデータ
を対象として,メディアデータの時間軸に沿って検索意図を表現するクエリを,
既存のメディアデータから抽出した時系列特徴量の編集統合処理として生成的
に記述する,時系列特徴量の編集統合機能を有する時系列マルチメディアデー
タベース機構を実現した.
2008年度の研究内容
本システムは,メディアデータの時間軸に沿って連続的な複数の検索意図を表
現したクエリを用いて,時系列メディアデータの内容を対象とした,新たな時
系列メディアデータ検索環境を構築する.本システムの特徴は,時系列特徴量
の編集統合機能として,時系列メディアデータを対象とした,時系列依存相関
量計量機構を有する点にある.本研究は,既存のメディアデータから抽出した
時系列特徴量の編集統合演算子群を用いてクエリを生成的に記述する機能を実
現するものであり,クエリ生成時における時系列メディアデータ間の新たなコ
ネクション・メリットを実現する研究として位置付けることができる.本研究
のアプローチは、次の3項目から構成される。
- 音楽データにおいて,連続的に変化する特徴量間の類似性を算出するための計量空間の設計・実装
- 連続的変化量を用いた楽曲検索を行うためのデータベース演算子セットの設計・実装
- 上記演算子セットを用いた時系列特徴量の編集・統合・可視化機能を有する音楽データベースシステムの構築
本システムの実現により、楽曲の調性特徴量の連続的な変化を計量し,時系列
的関連性に応じたメディア検索が可能となる。今年度は、下記の図のような、
高度な検索機能を有する実働システムを構築し、本研究の実証的な実験を行っ
た。
研究成果
- 国際学会(2件)
- Sahori Imai, Shuichi Kurabayashi and Yasushi Kiyoki: “A Music
Database System with Content Analysis and Visualization Mechanisms”,
In Proceedings of the IASTED International Symposium on Distributed
and Intelligent Multimedia Systems, November, 2008.
- Sahori Imai, Shuichi Kurabayashi, Asako Ijichi, and Yasushi
Kiyoki: “A Music Retrieval System Supporting Intuitive Visualization
by the Color Sense of Tonality”. In Proceedings of the 24th IASTED
International Conference on Applied Informatics, 2006, pp.153―
159.
- 国内学会(1件)
- 今井小帆里, 倉林修一, 清木康: “連続メディアデータ分析・可視化機構
を有する音楽データベースシステムの実現方式”, 情報処理学会研究報告,
iDBフォーラム 2008, 2008年9月.
- 国内デモ発表(1件)
- デモ発表: 平成21年度 文科省科研費“情報爆発時代に向けた新しいIT基
盤技術の構築” 「ストーリー性を有するメディアデータ対象感性検索・分析・
配信アクティブDBSの実現(研究代表者:清木 康)」2009年1/21 学術情報セン
ター