研究課題名: 「湘南ビーチマネー:コンセプト主導の次世代地域活性研究」
慶應義塾大学政策・メディア研究科
西田亮介
概要
本年度の森基金によって、湘南の地域通貨ビーチマネー(http://www.eco-surf.com/ )のアクション・リサーチを実施した。主催団体であるEcoSurferと57の加盟店に対する半構造化インタヴューを実施した。その結果、ビーチマネーという地域通貨を社会システム理論的な観点から捉えると、ビーチグラスの支払いが環境に対する関心や湘南に対する地域愛、住民同士のコミュニケーション的行為に接続可能になっていて、そのことがシステムとしてのビーチマネーを成立させていることが理解できた(詳細については、筆者の修士論文(「ビーチグラスが生み出す創発的秩序の理論構築」,2009年度慶應義塾大学政策・メディア研究科修士論文.)を参照のこと)。このことは従来貨幣流通量などの経済的側面から評価されることの多かった地域通貨研究を、コミュニケーションの観点から見直す必要があるということを示唆している。次年度以降の研究では、今回理論的に検討した対象を、定量的な観点から評価していくことを目指す。
研究成果一覧
□学会報告
西田亮介,井庭崇, 「住民主導の地域活性におけるコンセプトの機能と重要性」, 第81回日本社会学会全国大会報告, 2008.
西田亮介,井庭崇, 「住民による創発型地域活性を促進するメカニズム —湘南ビーチマネーを中心に—」, 第27回社会・経済システム学会報告, 2008.
□雑誌等論文
西田亮介, (2008).「社会における創造力を考える」『思想地図』vol.2, NHK出版, 所収.
西田亮介,「湘南と創発型地域活性インフラ—ボトムアップによる地域活性の可能性 —」,『α-SYNODOS』2008年5月10日号.
□対談
井庭崇, 西田亮介, 堀直也「創造力による新しい地域活性の構想:創発型地域活性へ」2008年11月21日@慶應義塾大学ORF