日本語学習者が抱く学習法の選好

〜パーマー・セカンダリー・スクールを事例として〜

政策・メディア研究科 HC 言語教育デザインプロジェクト修士2年 石井利恵

キーワード選好、学習スタイル、日本語学習

1. はじめに  

日本語教育の教室では教師が大勢の学習者を相手にするため、一元的な指導をせざるをえない。しかし、学習者中心のクラスを実現するためには、学習者の多様性の認識と学習者が抱く学習法の選好(learning preference)の把握が必要ではないだろうか。「学習者が好む学習法による指導は、その学習者の言語習得に有効である」[1]という主張は、日本語教育の現場における実践的な観点として大変興味深い。学習者が個性を持った人間である以上、単一的な指導を懐疑的に捉えることなく指導するのは、学習者の可能性を抑えることにもなりかねない。実際に、大勢のクラスで複数のメソッドを用いることは困難であるとしても、日本語学習者が抱く学習法の選好を把握することは重要であると思われる。学習者の選好に合った授業を行うには、まずその選好がどういうものかを知る必要がある。Banner and Rayner (2000)は、言語教育には効果的な指導と学習において必要とされる要素が少なくとも2つあるとしている。それらは、1.生徒個人が学習目標を達成しようという考えに集中し、学習を進めていること、2.教師が学習者の学習方法に気づいて対応しているということである。効果的な教室運営にはこれら2点に注目する必要があるという。このような視座からも、学習者が抱く学習法の選好に関する教師の認識は重要であると考えられる。以上のことから学習法の選好に関する研究を進め、研究成果を日本語教育の現場に還元することは意義深いと考えられる。

本研究ではカナダのバンクーバー[2]、リッチモンド市にあるパーマー・セカンダリー・スクールをフィールドとし、質問紙調査法を用いて、日本語学習者が抱く学習法の選好を明らかにする。それによって、教師が学習者の学習法の選好を的確に把握し、各自の学習能力を最大限に発揮できる、学習者主体のクラス運営の実現に貢献したいと考える。その際、渡辺(1997)を参照し、Tクラスでの学習法、U教師との関係、Vクラスで学習する際のサイズ、W語彙、発音の学習、X自宅で学習する場合、Y日本人、日本の環境との接触場面での学習の6点に関して学習法の選好を明らかにすることを課題とする。青木(2005)や、渡辺(1997)Hayashi and Cherry (2004)を参照し、「学習法の選好」(learning preference)を「個人が日本語を学ぶ際に好む方法」と定義する。preferenceの訳語を渡辺(1997)や青木(2005)Hayashi and Cherry (2004)では「好み」としているが、「好み」という語は、個人的な好き嫌いを連想させるように思われるため、研究のための術語としてはふさわしくないとも思われかねない。そこで、本研究では広く学問分野で使用されている「選好」をpreferenceの訳語として用いることとする。学習法の選好と深く関係のある学習スタイル(learning style)に関しては「個人が、新しく難しい学問的情報を、どのように集中し、理解し、内面化し、記憶にとどめるか、を示したもの」[3]というDunn and Dunn(1993)の定義を採用する。Willing1988)や渡辺(1997)によれば、「学習スタイル」とは認知スタイルの知覚過程の研究を原点として研究され始めたものである。認知スタイルは1940年代から「心的」[4]現象に関して研究されてきたものであるが、「学習スタイル」は学習活動において個別の差異を説明するために心的、身体的、感情的な領域を包括したものであるという。なお、本研究における日本語学習者とは日本語を母語以外の言語として、日本以外の学校で体系的に学習している学習者をさすこととする。

 

2. パーマー・セカンダリー・スクールの日本語学習者が抱く学習法の選好

 本章では、まずパーマー・セカンダリー・スクールを調査対象にした理由と調査対象者の内訳について記した後、同校の日本語学習者が抱く学習法の選好を詳細にするために行った調査方法と授業観察の方法および調査結果を記述する。最後に、パーマー・セカンダリー・スクールの日本語クラスを取り巻く環境について授業観察をもとに述べる。具体的には、教室環境や授業運営の方法、教師の日本語学習歴や日本語教育歴などについてである。

 

.1 パーマー・セカンダリー・スクール

本項では、パーマー・セカンダリー・スクールを調査対象にした理由、調査対象者の内訳、について記す。本研究ではバンクーバー、リッチモンド市にあるパーマー・セカンダリー・スクールの日本語クラス[5]の学習者計97人に質問紙による調査を行った。英語圏であるバンクーバーを調査対象にしたのは、1.著者が英語が堪能なこと、2.バンクーバーに渡航・滞在経験が複数回あり、現地の情報に通じていることによる。パーマー・セカンダリー・スクールを事例にした理由は、1.ブリティッシュ・コロンビア州にカナダの約半数にあたる日本語の学習者がいること[6]、2.同校はバンクーバーのあるブリティッシュ・コロンビア州で日本語学習者が最多であること、3.同校の卒業生(日本語を同校で学習)から、同校の日本語の教師を紹介してもらえたこと、による。調査対象者の内訳は表1と表2のとおりである。本研究では、リッチモンド市は中国系移民がマジョリティーなので、調査対象者の母語を英語と中国語に分類し、この2言語以外の言語は非常に少数であったため、「その他の言語」[7]とした。

学年

 
 


母語

 

9年生

10年生

11年生

12年生

中国語

10

9

13

6

英語

16

18

9

6

その他の言語

5

2

1

2

 

 
1 調査対象者の母語と学年の内訳

 

学年

 

性別

 

 

 

9年生

10年生

11年生

12年生

男子

18

14

11

11

女子

13

15

12

3

合計

31

29

23

14

表2 調査対象者の性別と学年の内訳

 

ブリティッシュ・コロンビア州にあるリッチモンド市はエレメンタリー・スクール(小学校、中学校)が7年間あり、セカンダリー・スクール(高校)が5年間という制度になっている。ブリティッシュ・コロンビア州には、Provincial Testといわれる12年生が受験する州のテストがあり、日本語も試験科目として選択できる。このテストはセカンダリー・スクールでの学習成果を測定するもので、その結果は大学の入学に影響する。そのためパーマー・セカンダリー・スクールの日本語も、Provincial Testを考慮して指導されている。

 

.2 質問紙調査と授業観察の方法

本項では、まず質問紙調査と授業観察、次に分析の方法について記す。本研究ではWilling (1988)渡辺(1997)Hayashi and Cherry (2004)を参考に集団法による質問紙調査と授業観察による調査を行った。質問紙は渡辺(1997)Hayashi and Cherry (2004)同様に、Willing(1988)で使用された質問紙を本研究の内容に合わせたもの[8]を用いている。これらの先行研究で使用された質問紙を参考にした理由は、以下の2点が本研究にも当てはまるからである。すなわち、これらの研究が1.仮説検証のために行われた研究ではなく、学習者の学習法の選好の実態を明らかにするための研究であること、2.調査対象者の学習法の選好を明確にすることによって、学習者主体の学習を可能にすることを研究の趣旨としていることである。さらに、Willing (1988)の質問紙は渡辺(1997)Hayashi and Cherry (2004)でも参考にされていることからも、有用性があると考えたことも挙げられる。質問項目は表3に挙げられている選好を明らかにするように本研究の課題にあてはめて作成した。表3の6つの課題は渡辺(1997)を参考にしているが、渡辺(1997)の質問紙に本研究の意図と一致しない点や不明瞭な点があるため、本研究に合わせて質問の番号や課題の表現は一部、変えてある。

 

質問項目

課題

Q1〜Q

クラスでの学習法

Q~Q12

教師との関係

Q13~Q17

クラス学習の際の形態

Q18~Q22

語彙と発音の学習

Q23~Q26

自宅での学習法

Q27~Q29

日本人や日本の環境との接触場面での学習法

表3 質問項目と課題

 

.3 調査結果

本節では、まずパーマー・セカンダリー・スクールでの調査の結果を記述する。次に、その結果と先行研究をふまえ、調査対象者やパーマー・セカンダリー・スクールの環境および教育などの背景も考慮して分析する。

 

..1 調査対象者全体の質問別にみる調査結果

調査結果については、まず全質問項目Q1~Q29の平均値を算出した。算出方法はWen-ta et al(2006)Willing(1988)を参考に、質問紙の回答の Strongly disagreeを1、Disagreeを2、Slightly disagreeを3、Partly agree を4、Agreeを5、Strongly agree を6として数値化して平均値を算出した。

6つの課題にそって、Q1〜Q29の結果をまとめると以下のようになる。

T「クラスでの学習法」について    

Q5「視聴覚教材を用いた学習」(5.65)に関する選好が最も高い。これは29の質問全体でも最も高い値である。次にQ3「ゲームによる学習」(5.10)が高く、ついでQ4「会話による学習」(4.93)が高くなっている。Q7「自分の教科書を持つ」(4.56)ことに関する選好も、少々高くなっている。その他の項目を見ると、Q1「読んで学習」(4.38)Q6「ノートにすべてを記入して学習」(4.24)Q2「聞いて学習」(3.78)といった学習に関する選好は低くなっている。授業では、視聴覚教材を用いた後に、それらの教材についての質疑応答やそのような教材を用いた語彙の発音練習などの新出語彙の練習をすることから、視聴覚教材がパーマー・セカンダリー・スクールではインタラクティブな活動を導くきっかけの役割を果たしている。F先生によると、授業で行うゲームは1種類のみで、カルタのように対になっているカードを用いたものである。F先生は語彙が書いてあるカードを持ち、学習者が先生から配布されたピクチャーカードが示す語彙を言い、正解の場合にはその学習者のカードは増えていくというゲームである。

U「教師との関係」について

Q8「教師がすべてを説明」(5.36)が最も高く、次にQ11「教師が間違いを指摘」(5.11)を好んでいる。Q10「自分の興味のあることについて話すのを教師が手伝う」(4.56)は少々好み、Q12「教師が学習者に自身の間違いを発見させる」(4.22)Q9「問題を付与」(4.10)は選好の度合が低い。

V「クラス学習の際の形態」について

Q17「クラスで校外学習」(5.43)に関する選好が最も高く、次にQ16「クラス全体での学習」(4.71)、ついでQ15「小人数のグループでの学習」(4.57)の選好が高くなっている。Q14「ペアで学習」(4.34)はあまり選好せず、Q131人で学習」(3.75)29問全体の中で最も、選好が低い。大勢での学習や、インタラクティブな学習を好むことがうかがえる。Q14はインタラクティブだが、あまり好んでいない。その理由として、少人数やクラス全体での学習との比較で低くなったことが考えられる。

W「語彙と発音の学習」について

Q18「新出語彙の学習を好む」(5.39)が最も高く、次にQ21「日本語の語彙を聞いて学習する」(5.27)が高い。Q19「語彙の音と発音練習」(5.12)Q20「語彙を見て学習」(5.07)は好んでいる。Q22「日本語の語彙をロールプレイなどの活動で学習するのを好む」(4.62)は若干好んでいる。「クラスでの学習法」と「クラス学習の際の形態」でインタラクティブな活動を好むという傾向がうかがえたが、ここではそういった要素が強いQ22はあまり選好しないという結果になっている。

X「自宅での学習」について

Q23~Q26では、Q25「自宅で、聞いて学習」(4.94)に関する選好が最も高く、その次に高いのがQ23「自宅で、読んで学習」(4.41)である。Q24「自宅で、書いて学習」(3.97)は全体でも選好せず、特にQ26「自宅で、本で学習」(3.88)は全体でも非常に低い値になっている。「自宅での学習」に関しては4問全体でも低くなっており、自宅学習を好まないことが明らかになった。これは自宅では1人学習なので、「クラス学習の際の形態」のQ131人で学習」が29問全体の中で見ても、選好が低いこととも一致している。

Y「日本人や日本の環境との接触場面での学習法」について

Q28「日本人の言語行動を観察する」(5.33)を好む値が非常に高い。Q27「日本人の友人がいれば彼らと日本語で話す」(4.84)Q29「日本食レストランで、日本語で注文する」(4.75)も選好が高い。「日本人や日本の環境との接触場面」については、全体的に好むということがみられる。

 

2.4 パーマー・セカンダリー・スクールの日本語クラスを取り巻く環境       

本節では、最初に調査対象であるパーマー・セカンダリー・スクールの日本語クラスでの授業観察で明らかになったことを述べる。具体的には、教室環境や授業運営の方法および教師の背景などである。同校では、日本語の学習は9年生から、漢字の学習は10年生から始まるというカリキュラムになっている。

はじめに、パーマー・セカンダリー・スクールの日本語クラスにおける教室や学習環境について授業観察をもとに記す。日本語のクラスは4クラスあり、週に2回の授業が行われている。

次に、教室環境を作り出すうえで多大な影響力を持つ教師について述べる。パーマー・セカンダリー・スクールでは1人の教師[9]がすべての日本語クラスを教授している。F先生は日系三世の男性で日本語は体系的には学習した経験がないが、1年間日本にJETプログラム[10]で滞在しており、その間に日本語をゼロから習得した。F先生は同校でフランス語も指導している。フランス語は、セカンダリー・スクールで外国語として学習し、ケベック州にも学習のため滞在していた。このように、自身の日本とケベック州での言語習得経験からか、学習者に体験型の授業をすることを指導方針としているようである。具体的には、テレビやマンガ、歌などの多様なメディアを用いて指導するようにしていると言っていた。授業で、日本のテレビを見せたり、日本での体験や日本文化についてもしばしば学習者に話したりしているとのことである。同校で使用されている教科書は『おべんとう』といい、オーストラリアのNelson Thomson learningという出版社が作成しているものである。教科書の内容は名前のとおり、食べ物やテーブルマナーなどが中心である。F先生は内容的に『おべんとう』のみでは十分でないと自作教材も多用している。自作教材の内容は日常生活や旅行など学習者が興味を持ちやすく、実際の生活で使用できるようなものが主となっている。文体は、普通体が多く使われており、日本人が友人同士で用いるようなインフォーマルな語彙や会話場面が多い。また、自作の4コマ漫画を挿入して、絵とともに言葉を帰納的に習得させようとしている意図も感じられる。授業は基本的に『おべんとう』とF先生の自作教材を用いて行われる。同校では、『おべんとう』を授業ごとに貸出しており、学習者は自分の教科書を持っていない。

以下に、9年生から12年生の授業を観察にもとづき述べる。9年生の日本語クラスでは、教科書の「ごはんとおかず」と「テーブルマナー」という章を学習した。F先生がこれらの章で新しく学ぶ文型を用いた例文を読み、学習者はそれに続いて音読していた。そして教科書の語彙を確認しながら、F先生が日本での実体験や日本文化の話をするという形式であった。次に10年生のクラスでは、漢字の学習を行った後にOHPによる学期末テストの対策をしていた。学校を訪問した時期は学期末だったため、学期末テストの対策が授業で行われていた。具体的にはF先生がOHPに日本語の文を書き、それを学習者が訳したり指定された形に語彙を変換したりするなどの練習である。11年生のクラスでは、テスト対策用のワークシートを、12年生のクラスではコンピューター室でProvincial Testのリスニングとスピーキングの練習問題を解いていた。学期末テストやProvincial Testの対策をしていたクラスもあったが、平常通りの授業を行っていたクラスやF先生の指導方針と指導方法を見ると、全体的に文法訳読法というよりは、日本で実際に放送されたテレビ番組などの視聴覚メディアをとおして、日本語のみならず文化をも学習者が体験的に学習できるような授業づくりを目指しているように思われる。

これは、授業運営だけでなく、教室の環境にも現れている。日本語の指導が行われている教室の壁には日本の伝統的な風景の写真やポスターなどが貼られており、マンガも教室に常に置いてある。宿題としても体験的かつ主体的に日本語の学習ができるように厚紙やお菓子などで町を作り、そこに日本語で表示を付けるという宿題が提出されていた。授業観察からはF先生が日本のテレビ番組やマンガを用いた大人数での指導や、学習者に会話の練習をさせる指導をしていることが明らかになった。これは、学習者が視聴覚教材および大人数での学習や会話の練習を好むという点で、F先生の指導法は学習者の選好とおよそ一致しているように感じられた。

3. 考察

本章では調査結果をまず以下の観点からまとめる。T「クラスでの学習法」、U「教師との関係」、V「クラス学習の際の形態」、W「語彙と発音の学習」、X「自宅での学習」、Y「日本人や日本の環境との接触場面での学習法」である。そして、質問紙調査で有意性のあった学習法の選好と学年、母語、性別との関係性について考える。

 

.1 6つの課題と学習者の選好

 本節では本研究の課題である上記の6点を扱う。

 

..1クラスでの学習法

 「クラスでの学習法」に関する質問はQ1〜7である。質問紙で明らかになった結果と授業観察から学習法の選好に関してまとめる。この7つの質問のうち比較的平均値が高いのは2.3.1でも述べたとおり、Q~5である。これらはゲームや会話、視聴覚教材による学習であり、特にQ3「クラスで、ゲームにより学習することを好む。」とQ4「クラスで、会話により学習することを好む。」は能動的な学習法であると考えられる。これらの選好が高いことからインタラクティブな学習や体験型で楽しく学習できる方法に関する選好が高いと考えられる。パーマー・セカンダリー・スクールの日本語クラスは、インタラクティブで体験型の学習の特徴を取り入れたクラスであり、学習者のニーズと教師のスタイルが一致していると思われる。一方で平均値の低いQ1、2、6は「読む」、「聞く」、「ノートに記入」といった受身型の学習法であると同時に、テスト対策時に頻繁に用いられる方法でもある。実際に、学期末テストやProvincial Testの対策の授業ではこれらの学習が頻繁に行われていた。これらの学習がテスト対策と同義になり、選好が低いということも考えられる。Q7「自分の教科書を持ちたい」の平均値はやや高くなっているが、これはパーマー・セカンダリー・スクールの日本語クラスでは、教科書は貸出しという形式で全学年の間で共通であるため、学習者の自分の教科書を持ちたいという気持ちの反映と捉えられる。以上をまとめると、「クラスでの学習法」については、視聴覚教材およびゲームなどの能動的な学習で、インタラクティブに、楽しく学習できる授業を好むと考えられる。

 

..2 教師との関係

「教師との関係」に関する質問はQ~12である。Q8の「教師にすべてを説明してほしい」の選好の度合は、「教師との関係」の中で最も高い。Q11「自分の間違いを教師にすべて指摘して欲しい」が次いで高くなっており、その後にQ10「教師が学習者の興味のある話を1人でするのを手伝う」が高くなっている。Q8「教師にすべてを説明してほしい」とQ11「自分の間違いを教師にすべて指摘して欲しい」の内容から考えると、学習者は権威主義的な教師を選好しているようにも推測できるが、F先生の人柄や指導スタイルおよび学習者と教師との関係を考慮すると、学習者の日本語についての正確な知識を習得したいという強い関心がこういった結果として現れたとも考えられる。F先生は多様なメディアを用いて指導するように心がけており、その際には自身も含めクラス全体に一体感と楽しい雰囲気を作るようにしているようである。学習者の視聴覚教材に関する選好が高いのは、教材そのものに関してのみでなく、こういった指導法も含んだ結果であり、学習者がフレンドリーな教師を選好しているという解釈が可能である。Q9「教師に自習課題を与えて欲しい」とQ12「教師が学習者に自分の間違いを発見させるのを好む」は平均値が低い。これらの結果から、間違いの指摘を含む説明は教師が中心になって行うことを学習者が期待し、学習者が内省的に行う学習活動は好んでいないことがうかがえる。Q12「教師が学習者に自分の間違いを発見させるのを好む」に関しては、学習者は自身の間違いを発見できるほどの日本語力には至っていないことに起因するとも考えられる。

Q10「教師が学習者の興味のある話を1人でするのを手伝う」は教師と学習者の双方の行動である。Q10の平均値がQ8「教師にすべてを説明して欲しい」およびQ11「自分の間違いを教師にすべて指摘して欲しい」とQ9教師に自習課題を与えて欲しい」およびQ12の「教師が学習者に自分の間違いを発見させるのを好む」の中間であることも、間違いの指摘を含む説明は教師が中心になって行うことを学習者が期待し、学習者が内省的に行う学習活動は好んでいない根拠となると思われる。さらに、パーマー・セカンダリー・スクールにおける日本語クラスの活動は、通常の授業では教師がユーモアをまじえ、教科書や日本文化などの話をする和やかなクラスである。一方で、自習や自分で間違いを発見するような活動はテスト対策やペーパーワークといったF先生の日本語クラスでは珍しい、静かに集中して行う活動である。F先生の説明や指摘は、学習者に語りかけるように行われ、実際に学習者との会話を交えて行う。このことから、Q8「教師にすべてを説明して欲しい」やQ11「自分の間違いを教師にすべて指摘して欲しい」はインタラクティブであると考えられる。

F先生の人柄や、F先生の常に学習者を楽しませようという話し方、それを学習者が好んでいると見える態度などから、「教師との関係」については、調査対象の学習者はフレンドリーな教師を選好し、教師と共に楽しく学習するといった形式を好むと考察できる。

 

..3 クラス学習の際の形態

Q13~17では、Q17「機会があれば、クラスで日本語の練習のために校外学習に行きたい」が最も選好の度合が高く、次いでQ16「クラス全体での日本語学習を好む」、Q15「小人数のグループでの日本語学習を好む」、Q14「ペアで会話することによる日本語学習を好む」、Q13「日本語を1人で自学自習するのを好む」の順となっている。これは、3.1.1「クラスでの学習法」の考察とも符合する。つまり、調査対象となった学習者は1人での学習を敬遠し、複数で交流しながら学習することを好んでいるのである。Q17「機会があれば、クラスで日本語の練習のために校外学習に行きたい」が最も選好の度合が高いのは、日本語を使用できるような場所へ遠足のようにクラスで行くことはそれ自体が楽しみでもあり、日本語の実践的な練習もできることに起因すると思われる。F先生がクラスで常に実体験にもとづく日本での話をしたり、日本で起こりうる状況のスキットなどの活動を積極的に取り入れたりしていることから、学習者は校外学習で実際に体験による学習を行いたいと思っているのだろうと考えられる。「クラス学習の際の形態」に関しては、ペアより小グループを、小グループよりクラス全体での学習を好んでいる。F先生がクラス全体に対して指導する際は、視聴覚教材を学習者に見せた後に学習者に日本の話をして会話のように質問をするか、日本の話を学習者に語りかけるようにユニークに話すかである。このことから、学習者は大勢で楽しく視聴覚教材などの生教材を用いて学習することを好んでいると考えられる。3人以上の複数または大勢での活動を好むと考えられるため、複数であっても自分対相手が1人のペアでの学習はあまり好まないと推測できる。

 

..4 語彙と発音の学習 

Q18~Q22が該当する。ここでは、Q18「新出語彙の学習を好む」[11]の値が最も高くなっている。これは、新出語彙をビデオや教師自作の副教材に使用されている漫画で学習することによると思われる。他の項目は、Q21「日本語の語彙を聴覚により学習することを好む」、Q19「音と発音の練習を好む」、Q20「日本語の語彙を視覚により学習することを好む」の順で高く、いずれも視覚か聴覚を用いて学習者が生教材などから能動的に学習するような方法を好む。「聞いて学習」と「語彙の音と発音練習」および「見て学習」は、ビデオや漫画、CDおよびテープを使用して日本の歌番組やアニメで学習するので、日本文化にもふれることができ、楽しく学習できると考えられる。Q22「日本語の語彙をロールプレイなどのコミュニカティブな活動により学習することを好む」が最も低かったのは、パーマー・セカンダリー・スクールの日本語クラスでは、スキットをする前に台本を考える宿題が出るため、準備に時間を要するということから学習者の選好が低くなったと思われる。これは現在、同校の12年生であるチンさんの直話からも明らかである。「語彙と発音の学習」については、生教材を用いて楽しく学習することを好むと考えられる。

 

..5 自宅での学習

Q23~Q26である。Q25「自宅で聞くことによる日本語学習を好む」が一番高く、Q23「自宅で読むことによる日本語学習を好む」、Q24「自宅で書くことによる日本語学習を好む」、Q26「自宅で本による日本語学習を好む」[12]の順で選好が高いという結果になっている。ここでは、ストーリー性や日本に関する文化的知識を吸収できる勉強法が選好された結果、「聞く」ことや「読む」ことによる学習の値が高くなった可能性が考えられる。内容を理解するかは関係なく、聞き流すという意味も含めて「聞く」という行為は、学習者にかける負担が最も少ないと推測できる。特に、F先生の授業で聞くのは、F先生の話か日本のテレビ番組なので、聞くスキルを使用する活動は学習者にとって、楽しい活動と同義になっているとも考えられる。次いで「読む」ことが学習者が比較的、容易に実行しやすいことと思われる。「書く」ことはまず、書く内容を考えたのちにそれを表現するための語彙と文法を考え実際に書くという作業なので、学習者への負担が大きいと考えられる。「本で学習」に関しては、パーマー・セカンダリー・スクールで用いられている本は主に教師自作の副教材である。「語彙と発音の学習」で、Q18「新出語彙の学習」が最も好まれており、その学習法としてビデオや教師自作の副教材に使用されている漫画で学習することから、教師自作の漫画や会話文などが記載されている副教材への選好が低いことが「本で学習」の選好が低い要因になっているとは考えがたい。この副教材は文法の説明は、ほぼ記述されておらず、F先生は教科書はほとんど使用しないので、学習者は試験やProvincial Testの対策に自分で参考書や解説書などの本で学習する必要があると思われる。こういった参考書や解説書の使用とそれによる学習がテスト対策であることから、「本で学習」の選好が低くなったと考えられる。「自宅での学習」については全体的に選好の度合が低くなっており、あまり自宅での学習自体を選好しないことが明らかである。自宅で学習する際に用いるスキルに関しては、聞いたり読んだりと情報受容型の学習を好むと思われる。「聞く」と「読む」は「クラスでの学習法」では選好が低かったが、ここでは高くなっている。それは「クラスでの学習法」では、ゲームや会話、視聴覚教材が選択肢にあることから、これらとの比較で低くなっていると考えられる。「自宅での学習」で、「聞く」活動と「読む」活動が好まれることは授業で歌手の歌を聞いたり、漫画を読んだりし、これらのスキルは頻繁に用いているが、「書く」スキルは、あまり体系だって練習していないことが、この結果に影響していると思われる。

..6 日本人や日本の環境との接触場面での学習法     

Q27~Q29が当てはまる。Q28「日本人の言語行動を観察する」を最も好み、次いでQ27「日本人の友人と日本語で話す」、Q29「日本食レストランで日本語で注文する」の順で好む。これらの項目の選好の度合いがいずれも比較的高いのは、F先生のクラスが日本文化を強く意識していることや、日本の歌やアニメなどのビデオを見せるなど、日本文化や日本人に関して実際に日本で放送、出版された作品やテレビを教材として用いていることなどが反映していると思われる。2.4で述べた宿題は、日本の街並みを自由に製作するというものであるが、学習者の中にはラーメン屋などを街の一部に組み込んだ作品も見られた。こういった点からも、学習者が日本語そのものの学習のみならず、Q29の質問文「日本食レストランで日本語で注文する」に見られる日本食レストラン自体への関心にくわえ、Q28「日本人の言語行動を観察する」のように日本人を観察することで帰納的に日本文化を学ぶことを期待しているとも考えられる。「日本人や日本の環境との接触場面での学習法」については、日本人や日本文化との積極的な接触を好むということがわかる。

これらの6つの課題に関する選好をまとめると、以下の4つの特徴が挙げられる。

@ 全体的に視聴覚教材[13]と生教材を好む。

(Q345818192021)

A 校外学習や会話などでインタラクティブに楽しく学習することを好む。

(Q341617)

B 日本人や日本文化との接触場面を好む。

(Q135817182227~29

C 教師によりある程度、統制された授業を選好し、自立的な学習はあまり選好しない。               

(Q101112~1423~26

 

 本研究で明らかになった結果のうち、以下の特徴は渡辺(1997)と同様の結果となっている。

@ 自立的に学習することをあまり選好しない。

A 英語以外を母語とする学生は「語彙と発音の学習」を好む。

B 「クラスでの学習法」で「聞いて学習」は好まない。

C 視聴覚教材を好む。

D 教師がすべて説明するのを好む。

E 教師が間違いを指摘するのを好む。

F 新出語彙の学習を好む。

 

.2 学習法の選好と属性(学年、母語、性別)の関係性

渡辺(1997)同様に、学習者の学年、母語、性別に分け有意差検定を行った。有意差のあった項目はQ3「クラスでゲームによる学習を好む」とQ5「クラスで視聴覚教材による学習を好む」である。F先生はゲームをめったに用いることはないが、まれにゲームを取り入れた指導をする。Q3では、9年生が10年生より選好が高く、Q5では11年生が10年生より選好が高いという結果であった。Q3については、9年生という日本語の学習を始めた学年なので、名詞や基本的な日本文化といった視覚による認識が容易な対象を多く学習しており、ゲームによる語彙学習や練習も円滑に行えていることから、このような結果が出たと推測できる。しかし、F先生は学年を問わずゲームはめったに用いていないことをふまえると、9年生は同校の日本語のクラスで最も低学年であることから、座学よりも遊びの要素の強いゲームを頻繁にしたいということの表れとも捉えられる。

Q5「クラスで視聴覚教材による学習を好む」については、10年生より11年生の方が選好が高くなっている。Q5は母語との関係性でも有意差があったので、母語と学年をベースにした二元配置の分散分析を行った。母語に関係なく9年生の選好は4学年で2番目に高いが、10年生では最も低くなり11年生では最も高い値に達し、12年生では11年生と同じか、若干低下している。このことから、9年生では、初めて日本語の学習を開始し、他の言語以外の教科とは異なり、視聴覚教材を多用する授業に新鮮さと興味深さを覚えているのであろうと推測できる。また、Q3同様に、9年生は具象語の学習が多いため視聴覚教材が効果的に活用されているのであろう。しかし、10年生になると抽象語も増加し、視聴覚教材の不明瞭さを認識し始めたり、視聴覚教材の新鮮さも減少し、9年生での選好が高かった反動も手伝って最も低い値にまで下落していると考えられる。11年生になると、視聴覚教材以外の他の教材と比較して、相対的なおもしろさを再発見することや、次の学年である12年生になるとProvincial Testの対策で視聴覚教材を用いて楽しく学習できるのは最後ということに気がついて、視聴覚教材への選好が急上昇すると思われる。最終学年である12年生になると、Provincial Testを意識することもあってか、視聴覚教材への選好は、11年生と同じかゆるやかな下落をみせる。すべての質問をとおして、11年生は多くの項目で10年生より選好が高く、12年生も10年生より多くの項目で選好が高いか、同程度であった。この傾向は渡辺(1997)と一致している。

母語と選好の関係性については、Q5「視聴覚教材を用いた学習」、Q19「語彙の音と発音練習」、Q29「日本食レストランで日本語で注文する」で有意差があった。これらの項目では、いずれも「その他の言語」を母語とする学習者の選好が最も高く、次いで中国語を母語とする学習者、最後に英語を母語とする学習者の順であった。これは渡辺(1997)で、非英語母語話者が英語母語話者よりも「視覚」による学習法を好むという結果とも一致する。「性別による選好の差異では、Q6「ノートにすべてを記入して学習」、Q7「自分の教科書を持つ」、Q19「語彙の音と発音練習」、Q20「語彙を見て学習」さらにQ21「日本語の語彙を聞いて学習する」において有意差があり、女子が男子よりも選好が高かった。これらは視覚と聴覚を用いた学習や教具に関係した項目である。女子が多くの点で男子より選好が高く、「ノートにすべてを記入して学習」するの値も高くなっているのは、渡辺(1997)でも同様である。

4. 今後の展望と課題

 本章では、本研究の結果の今後の可能性と課題について述べる。本研究では、設定した6つの課題、T「クラスでの学習法」、U「教師との関係」、V「クラス学習の際の形態」、W「語彙と発音の学習」、X「自宅での学習」、Y「日本人や日本の環境との接触場面での学習法」と選好の関係を明らかにした。本研究で明確になったことをパーマー・セカンダリー・スクールで、今後どのようにいかして指導するのが効果的かを以下に記す。同校の学習者はフレンドリーな教師のもと、ゲームや会話、視聴覚教材を用いて大勢で体験的に学習することを好んでいる。特に新出語彙の学習は視聴覚教材によって指導されるため、選好が非常に高い。日本の文化的な内容を受容したり、校外学習で実践的に学習することに関する選好も高い。これらを考慮すると、日本の生教材を使用した、新出語彙の学習や会話およびゲームを取り入れたインタラクティブで楽しい授業が学習者の選好と一致し、望ましいものと考えられる。このような授業にくわえ、定期的に日本食レストランや日本に関係のある場所に学習者を連れて行き、日本人と日本語で会話するなどの実践的な場を提供することも有効と思われる。F先生の指導は学習者の選好とおよそ一致しているが、Q3「クラスでゲームによる学習を好む」を約8割の学習者が好んでいることから、よりゲームを取り入れた授業を行うと学習者の選好とさらに符合し、有効であると考えられる。また、Q7「自分の教科書を持ちたい」の選好も4.56と若干高いことから、学習者が独自の教科書を持つようにすることも有意義であろう。

 本研究はカナダのリッチモンド市にあるパーマー・セカンダリー・スクールを事例に学習法の選好を明らかにするために行った。同校は移民が多い地域にあり、大半の学習者は英語と出身国の言語のバイリンガルであるという特徴がある。本研究の結果は、同校と類似の環境にある日本語クラスでは、一定の意味を持つと思われる。英語圏の日本語クラスの学習者が抱く学習法の選好をより明確にするために、さまざまな地域でさらなる調査が必要と考えられる。

 

 

 

 

 

 

 

参考文献・ホームページ

青木久美子(2005)「学習スタイルの概念と理論及びそれに基づく測定方法 欧米の研究から日本独自の研究への考察 学習スタイルの研究」

NIME報告書11   独立行政法人 メディア教育開発センター

http://www.nime.ac.jp/journal/05-11.pdf 2008/04/14

国際交流基金「日本語教育 国別情報 カナダ」http://www.jpf.go.jp/j/japanese/survey/country/2006/canada.html 2008/05/28

渡辺裕司(1997)「オーストラリアのハイスクール生の日本語学習における「好み」」

『日本語教育95号』pp.121-132日本語教育学会

Banner ,G and Rayner, S (2000) Learning language and learning style: principles, process and practice, language Learning Journal, No21, pp37-44

City of Richmond British Colombia, Canada

http://www.richmond.ca/discover/demographics/Census2006.htmAccessed 2008/09/13

Dunn, R. (2003) Synthesis of the Dunn and Dunn Learning Styles Model Research: Who, What, When, Where and so What - the Dunn and Dunn Learning Styles Model and its Theoretical Cornerstone, St. John’s University

Dunn, R and Dunn, K. (1993) Teaching secondary students through their Individual Learning Styles, Needham heights, MA: Allyn and Bacon

Hayashi, M. and Cherry, D (2004 ) Japanese students’ learning style preferences in the EFL classroom, bulletin of Hokuriku University vol.28 pp.83~93

JET PROGRAMME http://www.jetprogramme.org/j/introduction/index.html 2008/09/16

Scoring Key for the Approaches and Study Skill Inventory for Students (ASSIST)

http://www.etl.tla.ed.ac.uk/questionnaires/ASSIST.pdf  2008/12/7

Wen-ta, T., Dornyei,Z., Norbert,S.(2006) A New approach to Assessing Strategic Learning: The case of self Regulation in Vocabulary Acquisition, Oxford University Press

Willing, K. (1988) Learning Styles in Adult Migrant Education, National, Curriculum Resource Centre

 

 

 

 

巻末資料1. 調査依頼書

 

Application for answering this questionnaire

about vocabulary learning preference in Japanese classes

 

2008/06/2,3

Rie Ishii: Student in MA course in Keio University

rieishii@sfc.keio.ac.jp

 

I am a graduate student at Keio University, Shonan Fujisawa campus in Japan studying the education of Japanese as a second language. I am researching students vocabulary learning preference in studying Japanese. The purpose is to find out students learning preference concerning vocabulary acquisition in studying Japanese. I guarantee that your data will be used only for my research. In case of making presentation about this data, I will use a number or alphabet, so individual will not be identified.

 If you agree to help me by filling out this questionnaire, please sign below and go on to the questionnaire.

I really appreciate your cooperation with my research. I hope your study of Japanese will be successful and enjoyable.

 

-----------------------------Agreement -for the questionnaire--------------------------------------

 

 I will participate in this questionnaire about vocabulary learning preference in studying Japanese, which is conducted by Rie Ishii at Keio University.

 

2008/06/2,3                

 Name/

 

       

        

 

巻末資料2. 質問紙

QUESTIONNAIRE ~ vocabulary learning preference ~

Please answer about yourself.

I am (male, female).

My language is (                 ).

I can speak (              ) in addition to English and Japanese.

I am (   ) years old.

 

What is the best description about your vocabulary learning preference in a Japanese class?

1

In Japanese class, I like to learn by reading.

Strongly

agree

Agree

Partly

agree

Slightly

Disagree

Disagree

Strongly

disagree

2

In class, I like to listen to and use cassettes.

Strongly

agree

Agree

Partly

agree

Slightly

Disagree

Disagree

Strongly

disagree

3

In class, I like to learn by games.            

Strongly

agree

Agree

Partly

agree

Slightly

Disagree

Disagree

Strongly

disagree

4

In class, I like to learn by conversations.            

Strongly

agree

Agree

Partly

agree

Slightly

Disagree

Disagree

Strongly

disagree

5

In class, I like to learn by looking at pictures, films, video.   

Strongly

agree

Agree

Partly

agree

Slightly

Disagree

Disagree

Strongly

disagree

6

I want to write everything in my notebook.     

Strongly

agree

Agree

Partly

agree

Slightly

Disagree

Disagree

Strongly

disagree

7

I like to have my own textbook.             

Strongly

agree

Agree

Partly

agree

Slightly

Disagree

Disagree

Strongly

disagree

8

I like the teacher to explain everything to us.   

Strongly

agree

Agree

Partly

agree

Slightly

Disagree

Disagree

Strongly

disagree

9

I like the teacher to give us problems to work on ourselves. 

Strongly

agree

Agree

Partly

agree

Slightly

Disagree

Disagree

Strongly

disagree

10

I like the teacher to help me talk about my own interests.       

Strongly

agree

Agree

Partly

agree

Slightly

Disagree

Disagree

Strongly

disagree

11

I like the teacher to tell me all my mistakes. 

Strongly

agree

Agree

Partly

agree

Slightly

Disagree

Disagree

Strongly

disagree

12

I like the teacher to let me find my mistakes.   

Strongly

agree

Agree

Partly

agree

Slightly

Disagree

Disagree

Strongly

disagree

13

I like to study Japanese by myself (alone).     

Strongly

agree

Agree

Partly

agree

Slightly

Disagree

Disagree

Strongly

disagree

14

I like to learn Japanese by talking in pairs.    

Strongly

agree

Agree

Partly

agree

Slightly

Disagree

Disagree

Strongly

disagree

15

I like to learn Japanese working in a small group.

Strongly

agree

Agree

Partly

agree

Slightly

Disagree

Disagree

Strongly

disagree

16

I like to learn Japanese with the whole class. 

Strongly

agree

Agree

Partly

agree

Slightly

Disagree

Disagree

Strongly

disagree

17

If I have the chance, I’d like to go on an excursion with the class to practice Japanese. 

Strongly

agree

Agree

Partly

agree

Slightly

Disagree

Disagree

Strongly

disagree

18

I like to learn many new words.                  

Strongly

agree

Agree

Partly

agree

Slightly

Disagree

Disagree

Strongly

Disagree

19

I like to practise the sounds and pronunciation. 

 

Strongly

agree

Agree

Partly

agree

Slightly

Disagree

Disagree

Strongly

Disagree

20

I like to learn Japanese words by seeing them.    

Strongly

agree

Agree

Partly

agree

Slightly

Disagree

Disagree

Strongly

Disagree

21

I like to learn Japanese words by hearing them.     

Strongly

agree

Agree

Partly

agree

Slightly

Disagree

Disagree

Strongly

Disagree

22

I like to learn Japanese words by doing some communicative activities such as role play.  

Strongly

agree

Agree

Partly

agree

Slightly

Disagree

Disagree

Strongly

Disagree

23

At home, I like to learn Japanese by reading.       

Strongly

agree

Agree

Partly

agree

Slightly

Disagree

Disagree

Strongly

Disagree

24

At home, I like to learn Japanese by writing.       

Strongly

agree

Agree

Partly

agree

Slightly

Disagree

Disagree

Strongly

Disagree

25

At home, I like to learn Japanese by listening.        

Strongly

agree

Agree

Partly

agree

Slightly

Disagree

Disagree

Strongly

Disagree

26

At home, I like to learn Japanese by studying books. 

Strongly

agree

Agree

Partly

agree

Slightly

Disagree

Disagree

Strongly

disagree

27

If I have Japanese friends, I’d like to talk to them in Japanese. 

Strongly

agree

Agree

Partly

agree

Slightly

Disagree

Disagree

Strongly

Disagree

28

If I meet a Japanese person, I’d like to watch what he/she does and listen to his/her Japanese.

Strongly

agree

Agree

Partly

agree

Slightly

Disagree

Disagree

Strongly

Disagree

29

If I go to a Japanese restaurant, I would like to use Japanese.

Strongly

agree

Agree

Partly

agree

Slightly

Disagree

Disagree

Strongly

Disagree

    



[1] Dunn and Dunn(1993)。ここでは青木(2005:8)から引用。

[2] バンクーバーはリッチモンド市や他の複数の市を含んだ地域の名称である。

[3] 青木(2005:8)

[4] 渡辺(1997:121)

[5]  同校には1学年に1つの日本語クラスしかない。

[6] 国際交流基金ホームページ「日本語教育国別情報」「カナダ」「特徴」

[7] これにはパンジャブ語、タガログ語、韓国語が含まれる。

[8] 本研究で使用した質問紙については巻末資料2を参照。

[9]  本論文ではこの教師をF先生とする。

[10] 「語学指導などを行う外国青年招致事業」(The Japan Exchange and Teaching Programme

[11] Q18「新出語彙の学習」はQ21「聞いて学習」、Q19「語彙の音と発音練習」、Q20「見て学習」、Q22「ロールプレイなどで学習」とはレベルが異なるが、渡辺(1997)にしたがって質問項目をそのまま使用した。

[12] ここで「本」が具体的に示す対象について、複数の候補が考えられるが、ここでも先行研究を追認する目的から、先行研究の質問項目をそのまま使用している。

[13] 視聴覚教材や会話といった項目の選好は基本的に高いが、Q2「聞いて学習」の選好が低いのは「クラスでの学習法」の考察で述べたように、聴解の練習がテスト対策時に用いられることに起因するためと考えられる。