2008年度 森泰吉郎記念研究振興基金 研究成果報告書
政策・メディア研究科 修士2年
80625130 仰木裕嗣研究室所属
深尾 正平
fukao28@sfc.keio.ac.jp
研究題目
「けのび動作における姿勢と力学量の関係」
研究概要
水泳のスタート動作や、泳動作の技術向上において、安定した姿勢制御技術は必要不可欠な要素である。
その中でも、けのび動作は最も抵抗を少なくすることの出来る姿勢であり、水泳における基本技術である。
本研究では、そのけのび動作に着目し、水中映像を用いて、計測、解析を行う。
本研究では、水中カメラで撮影する映像を用いて、運動を解析していく。
水中におけるけのび動作中の抵抗値に関する一般式は
D= 1/2 ρv2 SCd (ρ:液体の密度 v:速度 S:前面投影面積 Cd:抵抗係数 )
であるが、左辺Dは物体の質量mと加速度aで表せ、右辺に関しては、ρが水温によって若干変動するものの、
ほぼ一定とみなす事ができ、これらは加速度センサ・水中映像から算出が可能である。
不明である、SとCdを算出するのが本研究の目的である。
しかし、Cdに関しては、被験者の体表面積や動作中の流速、受動抵抗など、多くの要素が関与してくるため、
計測が難しい。そこで、前面投影面積を前方からの水中映像、及び陸上での撮影などにより求めていく事により、
Cd以外の力学量全てを明らかにする事ができると考える。
Cd以外の力学量を求めることで、Cdの算出も行うことができるため、簡便な実験手法から、
けのび動作の際に関わる全ての力学量を算出する
本年度の研究活動
本年度は,修士論文執筆のため,予備実験・本実験を数度行った.
また,その実験において得た水中映像から,けのび動作中における力学量の推定,算出を行っていった.
本研究において,水中映像から算出する事が出来た力学量は速度v,加速度a,前面投影面積Sの3つであった.
この中で,速度v,加速度aに関しては,Frame-DIAS(DKH社)を用いて側面映像の画像解析を行った後,
数式処理システムMathematica ver.5.2(Wolfram Research社)を用いて算出を行った.前面投影面積Sに関しては,
C++を用いて組んだプログラムを用い,前面映像の解析を行った.
森泰吉郎記念研究振興基金使用用途
主に,実験・解析に必要な機材の調達,及び,データ保存用のHDや書籍の購入などに使用させていただきました.
実験においては,水着や文具関連は消耗品として使用する必要があり,実験の都度,購入する必要があったものが多かった.