2008年度
森基金 研究成果報告書



政策・メディア研究科 修士課程2年
加藤聡一郎 (カトウソウイチロウ)
学籍番号:80724417 ログイン名:sou


研究テーマ
 大都市郊外における次世代型コミュニティ支援の研究



研究概要
 本研究は、ケアシステムの担い手としてのコミュニティの役割に着目し、横浜市地域ケアプラザで行われている地域交流事業に対する詳細な調査研究から、次世代のコミュニティ支援のあり方について考察・提案を行うものである。
 今年度は横浜市と同様に多くの人口を抱える大阪市、名古屋市におけるコミュニティ支援策の現状についても調査を行った。そして三都市の比較から、大都市におけるコミュニティ支援策の特徴と、横浜市および地域交流事業の特異性を明らかにした。


調査概要
◆横浜市
 調査対象:地域コーディネーター、利用者、区役所職員
 調査方法:インタビュー調査
 調査期間:通年
◆大阪市
 調査対象:区役所職員
 調査方法:インタビュー調査
 調査期間:2008年8月11日〜15日
◆名古屋市
 調査対象:区役所職員
 調査方法:インタビュー調査
 調査期間:2008年8月19日〜31日


明らかになったこと
@従来型コミュニティ支援の特徴
 広く実施されているコミュニティ支援の方法には、財政支援(補助金など)、人的支援(ボランティアセンターなど)、活動場所の提供(地区センターなど)の3つがあり、これらはいずれも、「主に市民活動を対象とした取り組みを行っている」、「自発的な利用を前提とした取り組みを行っている」という特徴を持っていること。

A地域交流事業の特異性
 地域交流事業は、「住民間のつながりづくりの段階から関わっている」、「住民ニーズに基づいた取り組みを重視している」、「市民活動だけでなく、住民組織やケアマネージャーなどの地域の専門家も巻き込んだ活動を行っている」という3つの点で特異であり、他の都市では見られない取り組みであること。

B次世代型コミュニティ支援とは何か
A.4つのステップを持ったボランティア資源開発
 1.地域活動への参加のきっかけづくり
 2.住民間のつながりづくり
 3.住民に「自分たちは地域に助けてもらった」という経験をさせる
 4.ボランティア活動を始めるために必要な支援をする
※従来型はこの内の4のみしかしてこなかった

B.ニーズとケア主体との最適なマッチングを図る


C次世代型の成立条件
 ・中学校区単位という比較的狭い範囲毎に整備され、地域に根ざした活動を行っていること
 ・地域のファシリテーターとなる、行政でも住民でもない、専門職員を配置していること
 ・地域に対する積極的かつ継続的なアプローチ