課題:外国につながるこども支援者の
研修プログラムの開発
氏名:崔 英善(ちぇ よんそん)
所属:政策・メディア研究科修士1年
研究成果
外国につながるこども支援者の研修プログラムの開発のため、以下の活動を行った。
■団体の立ち上げ:外国人親たちの学習教室
●団体の目的
短期的には、外国人親たちが自分のこどもの学習支援ができるようにすること。
中期的には、外国につながるこども全般の支援者(バイリンガル)に育成すること。
●立ち上げ時期:2009年4月
●2009年度の活動回数:12回
表1.外国人親たちの学習教室の紹介
項目 |
内容 |
備考 |
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目的 |
短期:自分のこともの学習支援 中期:外国につながることもへの支援者の育成 |
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構成員 |
指導者:5名 |
計:13名 (筆者含む) |
全員日本人、退職した小・中学校の教諭 |
学習者:8名 |
全員外国人・女性 |
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活動 |
@ 小・中学校の教科学習 (日本の学校システム等も) A
日本語学習 B 子育ての話合い |
外国人親の教育意識高揚 国語・算数・理科・社会、 こどもたちの支援のための日本語 外国人親たちの悩みの所在把握 外国人親の活用(中期目標)方法の模索 |
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日時 |
第2・4週目の日曜日各2時間 |
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場所 |
神奈川県さがみはら国際交流ラウンジ |
JR横浜線淵野辺駅より徒歩3分 相模原市の予算より場所提供受けている |
■外国につながるこども支援関連の講座の受講・参加(合計:20回以上)
●目的:関連講座の現状やカリキュラムの学び
1. 多分化コーディネーター養成講座
主催:東京外国語大学多言語・多文化教育研究センター
期間:2009年4月〜2010年2月13日のうち、15日間
2.日本語浜松国際交流協会・浜松大学共同:日本語教師養成講座の発表大会
日時:2009年12月13日
3.専門職教育と成人の学習セミナー
主催: 実践研究東京ラウンドテーブル実行委員会
日時:2010年1月10日
■外国につながるこども支援関連の海外調査
1.韓国ソウル市教育委員会訪問:韓国に外国につながるこども支援現状調査
期間:2009年12月23日〜12月30日
■研修プログラムの開発に向けての実践
●養成講座の実施の決定
講座名(仮称):外国につながるこどものバイリンガル指導者のための養成講座
● 主催:外国人親たちの学習教室
協力:さがみはら国際交流ラウンジ
後援:相模原市・相模原市教育委員会(予定)
●実施時期(予定):・2010年5月〜9月の間、合計48時間程度
・週一回、一回2時間
●実施場所:さがみはら国際交流ラウンジ
●受講者の募集対象:バイリンガル(当初(条件なし)より変更。より具体性かつ今後の重要性を意識)
●受講者数(予定):10名〜20名
●運営方法
1)運営委員会の結成:2010年2月1日
メンバー:崔 英善(外国人親たちの学習教室代表)
村田清(さがみはら国際交流ラウンジ代表)
張躍英(さがみはら国際交流ラウンジ副代表)
鈴木雅次(ネパール支援会代表 前教員)
2)運営委員会の開催:カリキュラムの作成等の活動:合計5回(2010年2月26日現在)
●講座の全体図
外国につながるこどものバイリンガル指導者のための養成講座
概要
1.
本講座の背景義
外国人児童・生徒が全国で52万人を超えるなか、これらの子どもたちへの支援が多くのボランティア、協力者により行われている。
こどもの支援活動は、子どもが成長につれて自立の能力を蓄積していくことが大事であり、指導者はそれを主として支援することが必要である。
さらに、外国につながるこどもの場合は、日本のこどもと違い母国での支援が大事である。特に日本語がほとんどできない初期段階では母国語が可能な指導者による支援は
必要である[1]。子どもたちは完全な日本人になることが必要ではなく、外国人としてのアイデンティの確立も重要である。当然に帰国の可能性もあり、母国での人生も考慮する必要がある。
また、親とのコミュニケーションは子どもの成長にとって必要であるが、親の日本語能力の限界から、いくつかの問題を生じている。
これらを解決する努力が次第に試みられている。
在籍学級での教科学習で母語のわかる人材が指導の補助にあたり、成果を上げているものもある。(梶田正巳,1997)[2]また。このような現状をうけて、相模原市教育委員会も、子どもの指導者として母語を話す外国人のバイリンガル指導協力者をおいている。(表1.) バイリンガルの指導者は日本語指導のみならず、こどもの日常の精神的な安定においても寄与をしている。
このようにバイリンガルの指導者による教育指導の効果はあるものの、現状において指導者自身は日本語や指導方などを研修していることはない。時には指導者が迷ったり不安に陥ることもある。
子どもの成長の支援者として重要な役割を持つバイリンガル指導者が、今後は最低限の能力、指導法を習得し、実践訓練を受けることが必要と考え、今回の養成講座を提案することとした。
表1.相模原市における外国につながるこども支援現状(行政による)
地域の概要 |
日本語指導の概要 |
■相模原市の状況 ・総人口(H22.1.1現在): 712,923人 ・外国人登録者数:(H21.4.30現在) 11,352人 ・外国人登録者数の人口に占める割合は およそ1.5%(全国およそ1.6%) |
■指導者の状況 ・日本語巡回指導講師者数: 21名(選定基準有) ・日本語指導等協力者数(バイリンガル): 34名12言語(面接により受入) (H21.4.6日現在) ■教育委員会の指導体型・形態 ・日本語巡回指導講師: 週1回3時間以内、 最長2年間 ・日本語指等協力者: 週1回 2時間 最長1年間:前半6ヶ月は毎週、後半6ヶ月は隔週 ・母語を使用し、初期日本語指導や学校生活の支援並びに保護者会等における通訳支援など。 (H21.4.6日現在) |
■外国につながるこども ・外国人児童・生徒数(小・中): 小学校:292人、中学校141名 合計433人(全体の0.8%くらい) ・日本語指導必要な生徒数: 約170人 ・国際教室設置校数 (小・中): 小学校:11校 中学校:3校 合計14校 ((H21.4.6日現在) |
2.目的
1)ねらい
子どもが大人になる成長過程で、自立していくための日本語能力、学習言語能力、社会言語能力の習得を、バイリンガル指導者が支援する。
図1.バイリンガル指導者の役割
こども バイリンガル指導者
2)
本講座の特色
@ 外国につながることもの自立を支援する指導者のための養成講座
A バイリンガル指導のできる人材の育成への試み
B 日本人・外国人協働開発型講座(運営メンバー5人の内2人外国人)
C 本講座は入門コースにする。追って中・上級コースも実施
D講座終了後の実践の場の提供(予定):
・相模原市教育委員会
・CEMLA(外国につながる生徒(高校生・中学生)のための学習支援教室
・相模原国際交流ラウンジの子ども学習教室
E教授者と受講者の学び合える講座
F支援の目的に応じた専門コースの設定(日本語指導者コース・教育相談者コース)
G広範囲の広報活動:・市の広報誌活用
・教育委員会(後援予定)の協力を得、委員会登録指導者へ呼びかけ
・ボランティア団体・近隣大学・外国語サークルへ訪問広報
・ネットワークを利用し、神奈川県内に広報
3.カリキュラム
1)カリキュラムの特色
@わかりやすい:バイリンガルの能力を有する指導者(多くは外国人と予想)
Aバイリンガルのメリットの活用:日本語の中で学習言語、社会言語を深く理解するための各教科学習、多文化、教育相談を含む。
B実践を重視した即戦力につながるカリキュラム:
・授業の前半:理論、後半:実践
・講師陣の配置 → 経験豊富な実践者と研究者を配置
C当事者視点に立ったカリキュラム:カリキュラムのバイリンガルへの事前検証等
D参加型カリキュラム:座学からの脱皮
2)シラバスの目指すもの
基礎力、技術力、保健対応力の3本柱をバランスよく習得することが必要である。
図2.講座終了後の習得能力のイメージ
表2.バイリンガル指導者入門コース(実施例:必要に応じて修正・補完)
A 共通コース(全6回):1回、2時間×6回〓12時間
回数 |
時間数 |
日時 |
科目名 |
狙い (図2の番号を参照) |
授業内容 |
備考 |
1 |
30分 |
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オリエンテーション |
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1 |
2時間 |
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授業運営 |
1 |
こども指導・支援者の概論整理や基本素養 |
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2 |
2時間 |
|
日本の教育制度 |
2 |
日本の教育概観 ・受講者の出身国別の教育制度も含む (受講者の講座、事前課題) |
講師・受講者の学び合い |
3 |
2時間 |
|
バイリンガル日本語初期指導法(小学校や未就学児) |
2 |
バイリンガルを生かした日本語指導法 ・こどもの年齢に 応じた指導法 |
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4 |
2 時間 |
|
バイリンガル日本語中期期指導法(中学校) |
2 |
バイリンガルを生かした日本語指導法 ・こどもの年齢に 応じた指導法 |
|
5 |
2 時間 |
|
教育・生活相談 |
3 |
相談の対応法 児童発達論 |
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6 |
2 時間 |
|
教科目指導のための日本語 |
2 |
バイリンガルを生かした、教科指導法等 |
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B 専門コース
T)講座
(日本語指導者コース)(全3回):1回、2時間×3回〓6時間
回数 |
時間数 |
科目名 |
狙い |
授業内容 |
備考 |
7 |
2時間 |
日本語指導実演 |
2 |
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8 |
2時間 |
日本語指導実演 |
2 |
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9 |
2時間 |
教科指導実演 |
2 |
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(教育相談者コース)(全3回):1回、2時間×3回〓6時間
回数 |
時間数 |
科目名 |
狙い |
授業内容 |
備考 |
7 |
2時間 |
相談のケースワーク |
3 |
|
受講者の経験の差を顧慮 |
8 |
2時間 |
親・学校との連携 ケースワーク |
3 |
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9 |
2時間 |
発達障害の ことものケーア |
3 |
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U)現場での実践
時期:表2.のAとBコースが終わった後、2回くらい
場所:・相模原市教育委員会 ・CEMLA
・相模原国際交流ラウンジの子ども学習教室等
C 共通コース(教育相談者コース)(全3回):1回、2時間×3回〓6時間
回数 |
時間数 |
科目名 |
狙い |
授業内容 |
備考 |
10 |
2時間 |
実践報告 (プレゼンテーション・振り返り) |
1・2・3 |
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11 |
2時間 |
リソースの活用 (施設・教材・ネットワーク等) |
2・3 |
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12 |
2時間 |
実践報告・振り返り (プレゼンテーション・振り返り) |
2 |
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4.組織
1)実行体制
本養成講座を実行するための体制を図 に示す。今回はラウンジ登録団体である「外国人親たちの学習教室」がラウンジの協力のもとに主宰する。ラウンジ登録団体の中でこの養成講座に関係の深い「子ども学習教室団体」及び「日本語教室団体」は実践講座、実技練習の場面で参加をする。
2)関係する団体の紹介
@外国人親たちの学習教室
(表1.参照)
Aさがみはら国際交流ラウンジ
個人登録者数:140人
外国人登録者数:30人
Bその他
表4.子ども学習教室
名称 |
会場 |
支援団体 |
ふちのべ学習教室 |
さがみはら国際交流ラウンジ・神奈川県留学生会館 |
インターピープルふちのべ |
フンルンセサ学習教室 |
光が丘小学校 |
葦の会 |
大島学習教室 |
大島団地集会所 |
大島学習教室 |
CICRこども補修教室 |
家庭訪問教室 |
インドシナ難民の明日を考える会 |
CEMLA |
相模女子大学 |
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