2009年度 森泰吉郎記念研究振興基金「研究育成費」研究成果報告書

 

研究課題名:「日本のガバナンス分野における開発援助に関する研究

 -インドネシアBKPMを事例に-

 

竹澤理絵

慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 修士課程1年 

学籍番号:80924946、ログイン名:rt

 

1.研究概要

 

本研究の目的は、1990年代より国際的に重視されるようになったガバナンス分野における開発援助に着目し、その中でも特に日本の政府開発援助(ODA: Official Development Assistance)によるキャパシティー・ディベロップメント(CD: Capacity Development)支援の可能性と国際援助コミュニティーにおける位置づけを明らかにすることである。具体的な事例としては、新しい援助の試みである平時の警察分野支援を実施しているインドネシア共和国において、日本の「国家警察改革支援プログラム」を分析する。CD支援の重要な要素の一つとして本邦技術研修事業と帰国研修員にも着目していく。

 

(修士論文の研究計画概要は上記の通りである。)

 

2.活動報告

 

 本年度は、研究計画書の改定や微調整を必要に応じて行い、研究をより深化させることを目標にしつつ、秋学期には約4ヶ月間のフィールド調査を実施した。今回のフィールド調査は、ガーナ共和国において行った。ガーナ共和国は途上国、とりわけアフリカ地域の中でも高いガバナンス指数を有しており、また本邦技術研修に毎年100名以上の研修員を派遣している。そのため、こうした帰国研修員の方々から直接に話を聞くことで、研修事業がガバナンス支援において果たしている役割を質的データをもとに分析することを目的とした。また、フィールドに身を置くことで前提知識として本邦技術研修や帰国研修員の方々に対する理解をより深めることにも主眼をおいた。本調査を実施するにあたっては、独立行政法人・国際協力機構様にインターンとして受け入れて頂き、多大なるご協力を頂いた。

 

具体的な活動スケジュールは以下の通りである。

20095月−6

研究計画の作成、文献調査

20097

フィールド調査準備

20098月−12

ガーナ共和国におけるフィールド調査 JICAインターンを経験)

20101月−現在

収集資料の整理、調査報告書の執筆(執筆中)

 

3.研究成果

(1)フィールド調査(インタビュー調査)による資料収集

    場所:ガーナ共和国

期間:20098月〜12月(約4ヶ月間)

調査目的:途上国に対するCD支援において、本邦研修事業の効果と可能性について、生の声をもとに考察を行うため。

調査手法:主に帰国研修員へのインタビュー調査(約60名に1時間前後のインタビュー実施)

 

※具体的なフィールド調査結果に関しては、研究の特性上、多くの帰国研修員などの個人情報が含まれるため、今回のウェブ上での公開は控えたい。

 

(2)現在、フィールド調査で収集したインタビュー資料などをもとに、報告書を執筆中である。

 

(3)国際協力機構(JICA)においてインターンを経験したことで、『開発援助の現場』という研究における新たな視点を得ることが出来た。

 

4.今後の展望

 来年度以降はこれまで行った文献調査やフィールド調査の資料を元に、不足している終資料収集のため更なるフィールドワークを行いたい。また、本格的に修士論文の執筆に取り掛かる予定である。

 

 

 

2009年度の研究活動及び研究成果は、基金創設者である森泰吉郎様と基金を運用して頂いた慶應義塾大学湘南キャンパス研究支援センター様のおかげである。御基金のご支援無くしては、長期間のフィールド・調査を実現することは出来なかった。

ここに厚く御礼申し上げます。