「LEDを用いたタンジブルな照明機器の研究開発」

政策・メディア研究科 修士課程1年 80925220 平本  知樹


1.研究概要


本研究はLEDの「省エネ、熱線・紫外線が出ない、小型、軽量」などの特徴を活かし、タンジブルかつ持ち運べるような照明機器を開発することである。

照明を持ち運ぶことにより、光環境は動的に変化し、それに伴い空間経験も変化する。その使用例についての研究まで行うものであった。


しかし、光熱源そのものをコントロールするのではなく、光の熱源とは図と地の関係にある影をつくるような構造物によっても動的環境をつくれると考えた。また構造物によって使用法が見いだされ、身体と直接関係のある動的な空間体験を生み出すと考えた。


2.研究アプローチ


本研究では普及段階に入りつつある3デジタルファブリケーション(3Dプリンタやレーザーカッターなどのに代表される数値制御マシンを用いた科学技術の総称)に着目した。

パーソナルコンピュータの普及によって、まず出版や音楽・映像において一般化した個人レベルでの制作活動の波は3Dプリンタの登場によって家具や建築にまで及びつつある。これまでWEB上、もしくは非物質環境でしか起こりえなかったOpen Source Softwareなどでの、N次創作の可能性が物質世界でも起こりえるのではないか。

このような状況を踏まえ、LEDを用いたタンジブルな照明機器を始まりとした動的な空間環境の研究はOpen (Re)Source Furnitureという動的な構造物によるプロジェクトを通して実験・研究を行っている。


本制作ではCNCマシンを用いて、600×600(mm) の様々な厚さの板から大小様々なピースを切り出し、それらを組合せ家具や玩具、建築まで構築していく。また、そのピースの図面データは一部オープンソースにし、CNCマシンさえあればどこでも切り出せるようにしているところである。ピース化してあるので、組み足すことや組み直すことによって構造物を動的に変化させることができる。また、組み合わせデータがそのままログとして保存し、これもオープンソースにする技術を開発中である。このように科学技術を用いて、物質世界と非物質世界の境界を横断するための研究である。


本研究では以下のような学外研究発表を行っている。

また今後もいくつかの研究成果発表を国内外で行う予定である。


[1] Open Research Forum 2009(以下、ORF):六本木アカデミーヒルズ40

  :2009 11/23,24

[2] 可能世界空間論:NTTインターコミュニケーションセンター(以下、ICC)

  :2010 1/16~2/28


以下に上記、展覧会の画像を示す。

http://web.sfc.keio.ac.jp/~ttomoki/mori-09.pdf