2009年森基金成果報告書
政策・メディア研究科
修士2年 孫瀟 (80825669)
○研究テーマ
『実名制SNSの提供する環境がネット上の利用者の行動に与える影響 ~中国大学生向け実名SNSを対象として~ 』
○研究の概要
2008年12月まで、中国のインターネット利用者は2.98億に達しており、大学生利用者は32.8%を占めている。(CNNIC,2009)大学生利用者はchatroomやBBSなどところで匿名でコミュニケーションを行い、それによりネットで知り合った友達に騙されたりする事件が頻発している。そこで、多数の大学生利用者は近年間流行している実名制SNSを参加し、よりよい交友環境を求めている。そして、中国で大学生の中に大きい影響力がある実名制SNS-XIAONEI.COMの事例がある。本研究では、XIAONEIの例を通じて、中国の実名SNSは利用者ネット上の行動に与える影響や提供する環境を研究する。
本研究では、XIAONEIのような実名SNSは匿名より利用者に提供する環境と利用者のコミュニケーションする時に話題を限定された要因や限定される話題は情報シェア状況に与える影響を注目し、実名制SNSに関する調査から中国社会における自由なネット利用状況や利用者ネット上の情報交換など行動を分析する。
○研究対象
中国の大学生向けの実名制 SNS-XIAONEI.COM
○研究目的
大学生向け実名制SNS-XIAONEI.COMを対象として、中国の実名SNSは利用者ネット上の行動に与える影響や提供する環境を研究し、分析する。
○問題意識とその背景
アメリカのソーシャルネットワークサイトFacebookは2004年四月にハーバート大学の学生から創設され、創設最初に大学生であることを保証するためにほとユーザは登録の際に大学のIPアドレスとメールアドレスをチェックされるキャンパスSNSである。ユーザーに実名と本人の写真の使用を奨励しており、ネットでも現実社会と同様の生活を楽しめることを方針としている。一時できにWEB2.0時代の新型コミュニケーションプラットフォームとして若者たちに流行している。中国も2007年頃、中国語版の若者実名SNSサイトxiaonei.comが誕生し、Facebookとほぼ同様な方針で中国のユーザーにサービスを提供している。今xiaonei.comは中国大学生に関するマーケットを独占しているSNSサイトと言われます。
テータ収集により以下のことを分かった
Ⅰ.81%のユーザーは実名制SNSの友達づくりと現実生活の友達づくりが一致性があると考えている 。
Ⅱ.37.9%のユーザーがxiaonei.comの一番の優位点は範囲がひろく、信頼性が高いSNSと考えている 。
Ⅲ.57.1%のユーザーはインターネットを開くと、xiaonei.comを閲覧する習慣がある 。
Ⅳ.他人と深くコミュニケーションすることを目的としてSNSに入ったユーザは、SNSで他のユーザと友達になった後更に深い交流をしていない状況や交流話題を限定される場合が多い →コミュニケーションを表面化されている。
本研究では、XIAONEIの例を通じて、中国の実名SNSは利用者ネット上の行動に与える影響や提供する環境を研究する。
○リサーチクエスチョン
RQ1 利用者はどのような目的でXIAONEIのような実名制SNSを参加するか 。
RQ2 XIAONEIのような実名制SNSは実社会の交流を促進できるか、利用者の行動にどのような限定性があるか
。
○仮説
仮説1XIAONEIのような実名制SNSは利用者に信頼性が高いネット環境を提供する
。
仮説2XIAONEIのような実名SNSは匿名SNSより実社会での「被害」は少ない
。
仮説3XIAONEIでかわされる情報は、争いになるような話題は避けられる傾向にある
。
仮説4実社会での交流を促進するに一定的な効果があるが、交流に範囲や深さについて限 定的である
。
○研究内容
①xiaonei.comの実名性を検証する。xiaonei.comはユーザーに実名と本人の写真の使用を奨励しており、ネットでも現実社会同様の生活を楽しめることを方針としている。しかし、実際にはどれほどの利用者が実名を使っているかについての統計がない。そのため、本研究において、xiaonei.comの本部所在地である北京地域を中心にフィールドワークを通して、「xiaonei.com」の実名の信用度を明らかにしたい。
②xiaonei.comのような実名SNSサイトと匿名SNSの安全性・信頼性の比較研究を行う。実名SNSサイトの実名性が保障されるため、利用する際に安全性・信頼性が匿名サイトよりはるかに高い。しかし、実名SNSサイトが匿名サイトと比較する時、どれほどの安全性があるのかに関する研究が多くない。そのため、本研究では、実名SNSサイトと匿名サイトのそれぞれのユーザへのアンケート調査を実施し、詐欺にあった経験などのデータを収集することにより、実名SNSサイトの高安全性を検証したい。
③xiaonei.comのユーザの使用満足度を明らかにする。この実名SNSサイトがお互いの交流、仲間作り、情報交換において、どれほどの役割を果たしているのか、どのような限定性があるかと明らかにしたい。そのため、本研究はXiaonei.comの運営する会社の本部を訪問し、できれば、この3年間のユーザの使用満足度に関する資料やデータを分析することにより、この問題を明らかにしたい。それに、筆者周囲の友人(100人)を対象に使用満足度に関するアンケート調査・聞き取り調査を実施し、利用者の立場から実名SNSの諸問題を再認識する。
○スケジュール
2008年 9月~2009年7月 実名SNS サイトにおけるアメリカ、中国、日本の実用性比較(文 献調査)
2009年 2月~6月
事例調査の準備(アンケートの質問事項及び、評価デザイン)
2009年 5月~7月
「xiaonei.com」のユーザの使用満足度と実名調査(アンケート調査)
実名サイトと匿名サイト安全性・信頼性の比較(アンケート調査)
2009年 7月~9月
xiaonei.comの本部所在地である北京地域を中心にフィールドワーク
2009年 10月~12月
調査データの整理、評価、レポート作成
2010年 1月~ 修士論文執筆
○期待される成果
XIAONEIのような実名SNSは匿名SNSより利用者に提供する環境と利用者のコミュニケーションする時に話題を限定された要因や限定された話題は情報シェアー状況に与える影響の課題を明らかにすることで、実名制SNSに関する調査の視点から中国社会における自由なネット利用状況や利用者ネット上の情報交換など行動傾向を分析し、中国社会の自由なネット利用現状における中国ネット利用者の動向を把握する。
○仮説の検証
本研究は以下のような仮説がある
仮説1XIAONEIのような実名制SNSは利用者に信頼性が高いネット環境を提供する
。
仮説2XIAONEIのような実名SNSは匿名SNSより実社会での「被害」は少ない
。
仮説3XIAONEIでかわされる情報は、争いになるような話題は避けられる傾向にある
。
仮説4実社会での交流を促進するに一定的な効果があるが、交流に範囲や深さについて限 定的である
。
2009年 5月~7月
に行った「xiaonei.com」のユーザの使用満足度と実名調査(アンケート調査)、実名サイトと匿名サイト安全性・信頼性の比較(アンケート調査)及び2009年 7月~9月 にxiaonei.comの本部所在地である北京地域を中心にフィールドワークにより、以下の結果を得た。
研究手法
●アンケート調査
対象xiaonei.comのユーザ
有効性指標―安全性、情報のシェア-度、満足度、話題の限定程度などに関する
●インタビュー
対象 xiaonei.comのユーザとxiaonei.comの運営者
研究内容
①xiaonei.comの実名性を検証する。
②xiaonei.comのユーザの使用満足度を明らかにする。
③xiaonei.comのような実名SNSサイトと匿名SNSの安全性・信頼性の比較研究を行う。(実施中)
N=150 (その中の100人分のデータを使用)
調査対象 北京、中国伝媒大学学生 (1年生15人 2年生20人 3年生15人 4年生90 修士10人)
(理系 90人 文系 60人)
調査時間 2009年9月10日
1xiaonei.comに関するユーザ情報の真実性
データにより、77%の人は真実な個人情報を書いている。23%のユーザは部分或いは真実の情報を書いていない。
2xiaonei.comに関するユーザの満足度
(以上はxiaonei.comのユーザは満足度について1から10の間につけた点数)
それによって1~2点をつけたユーザは1人、3~4点をつけたユーザは0人、5~6点をつけたユーザは35人、7~8点をつけたユーザは56人、9~10点をつけたユーザは2人。ユーザはxiaonei.comに対する満足度はやや高いと考えられる。
次は実名SNSサイトと匿名SNSの安全性・信頼性の比較研究を行い現在分かったこと。
問題①xiaonei.comのような実名制SNSは匿名SNSよりも信頼できると思いますか。
問題②xiaonei.comのような実名制SNSに入った後、友たちとの交流が深くなりましたか。
問題③あなたは匿名ネットで他のネットユーザに騙されたことがありますか
問題④xiaonei.comのような実名制SNSで発言、情報シェアーする時に躊躇しますか
以上の結果からRQを考察し、仮説を検証する
RQ1 『利用者はどのような目的でXIAONEIのような実名制SNSを参加するか』に関して、利用者が実名SNSを参加する一番多い理由とは現実生活と繋がっている人の影響を受け、参加する。
RQ2 『XIAONEIのような実名制SNSは実社会の交流を促進できるか、利用者の行動にどのような限定性があるか』に関して、①xiaonei.comのような実名制SNSに入った後、69%のユーザは友たちとの交流が深くなったと考えている。②xiaonie.comは58%のユーザは7点以上の満足度をつけられた。③74%のユーザはxiaonei.comのような実名制SNSで発言、情報シェアーする時に躊躇することも明らかにした。