研究課題名:地域コミュニティ活性化のための、フォトアルバム自動作成メディアの開発
所属:環境情報学部
氏名:田島悠史

1.プロジェクト概要
本研究は、地域のコミュニケーション機会を復活させるメディアの開発を行うものである。本メディアは地域におけるコンテンツ体験の共有を目指しており、ユーザのコンテンツ体験を画像で撮影した際に、写真を所定のアドレスに送信するだけでスライドショーを生成する。生成されたスライドショーは地域の集合場所に設置され、ネットワークによって繋がっている出力機器(モニタなど)で再生される。これにより、地域コンテンツの利用促進や地域の内外のコミュニケーションの促進、地域の集合場所の復権に繋げることによって、地域コミュニティの活性化に繋げてゆく。

今回はその中から、全く新しいメディアを開発するのではなく、代表的なソーシャルメディアの一つであるtwitterを活用した。具体的にはアートイベントの運営にtwitterを積極的に用いた。さらにtwitterのコミュニティへの効果を分析することによって、地域コミュニティにどのような影響を与えるのかについて考察した。 2.目的 本研究の目的は、twitterのどのような使い方によって、地域のコミュニケーションが活性化するのかを明らかにするものである。これを通して、今後は地域コンテンツの利用の促進や、外部イベント主催者と地域住民、外部観光客と地域住民のコミュニケーションの機会を増やすことを発展的な目標として考えた。今回はみなとメディアミュージアム2010(以下、MMM2010)を通してtwitterの実証実験を行った。 3.研究の背景 現在、日本の各地域でコミュニティ活性化のために、アートイベントが注目されている。大地の芸術祭や瀬戸内国際芸術祭を始めとする現代芸術を用いた野外アートイベントもその一つである。しかし、こういった野外イベントは普通の美術展と比べ広範に渡ることが多く分かりづらい。そのため、外部の鑑賞者は十分に楽しめないという声もある。また、平成の大合併やモータリゼーションによる中心市街地の消滅によって、地域のコミュニティに危機が生まれている。これは芸術作品に限らず、地域に根ざした商店街などにも同様の影響を与えている。 また、アートイベントのようなイベントは地域住民とのコミュニケーションが重要になってくるが、昨今地域とのコミュニケーション不足によるトラブルが多発している。地域住民以外に対しては、一部の例外的な協力者を除き、十分な理解を得ない場合も多い。地域コミュニティに対する活性化の働きの乏しい、外部の主催者による地域イベントも多い。 このように現状の地域コンテンツには外部と内部のコミュニケーションに問題が生じているものは少なくない。よりコミュニティを活性化するためには、外部と内部のさらなるコミュニケーションが必要となる。 4.MMM2010について MMM2010は、2010年7月24日から9月5日まで開催され、そのうち7月24日から8月8日までは「プレ展示期間」とされ作家による現地作業が頻繁に散見された。8月8日から9月5日までは「本展示期間」と設定されていた。MMMの出展作家は18歳から25歳までの作家が大半を占める。作品のジャンルとしては、「メディア」という言葉をタイトルに冠していることから、映像作品やメディアアートが多い。その他全体的に現代アート作品が多く、一般的な油画作品などはごく一部に限られた。 5.研究方法 具体的な研究方法としては、1)公式アカウント(minatom_m)の分析、2)ハッシュタグによる関連ツイートの収集と分析、3)リストを活用した参加作家のツイートの収集と分析の三つが挙げられる。これらを通して、作家と地域、作家と作家、地域とスタッフなどのコミュニケーションに変化があるかどうかを観察した。 6.成果 結果として、twitterの活用によるコミュニケーション機会の向上、およびコミュニケーション(特に地域-地域外間のコミュニケーション)機会の向上による、地域の魅力の再発見などが観察され、ソーシャルメディアの適切な使用が、地域や地域コミュニティの活性化に繋がることが証明された。まず1)について、フォロワーが264人、フォロイーが209人(2011年2月22日現在)を記録し、アートイベントにおける重要な役割を担った。また、公式アカウントでは、MMMに関係するツイートなどを定期的に検索、収集していた。そのため、「実際には出会わなかったが、関心のあるユーザ」を繋げるような事例が散見された。次に2)について、#mmm2010というハッシュタグを用いることで、MMMに関心のあるユーザにアクセスしやすい状況を作った。結果、「#mmm2010と検索して来た」という観光客も現れるなど、一定の効果があった。最後は3)について、twitterを愛用している作家がハブとなり新しいコミュニケーションを生む、ということが観察された。 上記研究成果は『地域系アートイベントにおけるコミュニティ内でのツイッターの効用 「みなとメディアミュージアム」を事例として 』(田島悠史、小川克彦)というタイトルで地域活性学会が発行している学会誌、「地域活性研究vol.2」(2010年3月)に事例研究報告としてまとめられ、掲載が決定している[1]。 今後は、twitterによる独自のつながりの分析を行うとともに、今回の分析を踏まえた独自のメディアの開発を考えている。 [1]『地域系アートイベントにおけるコミュニティ内でのツイッターの効用 「みなとメディアミュージアム」を事例として 』田島悠史,小川克彦 地域活性研究vol.2 2010.3