2010年度 森基金 成果報告

政策・メディア研究科

修士課程 2年

80924398

加藤 剛

研究課題

「料理レシピサイトにみる顕示的創作のネットワーク分析」




研究概要

本研究の目的は、インターネット上のコミュニティへの参加のパターンを明らかにすることである。本研究では、事例として料理レシピサイトCOOKPADを取り上げる。COOKPADには、参加者が自由にレシピを投稿できる仕組みのほか、投稿されているレシピにもとづいてつくった料理について、元のレシピ投稿者に報告する「つくれぽ」(「つくってみました」フォトレポートの略)を投稿する仕組みも用意されている。レシピ投稿がコンテンツを充実させる機能を担っているのに対し、「つくれぽ」投稿は、参加者間のコミュニケーションを支援する機能を担っている。

本研究では、どのようにレシピや「つくれぽ」を投稿し、「つくれぽ」を獲得してきたかという、COOKPADへの参加のパターンを明らかにする。まず、レシピ投稿数、「つくれぽ」投稿数、「つくれぽ」獲得数の間に、いかなる相関があるかを分析する。次に、「つくれぽ」投稿と「つくれぽ」獲得の関係性を調べるため、参加者をノード、「つくれぽ」投稿をリンクとしたネットワークを分析する。さらに、参加者個人における「つくれぽ」投稿と獲得のプロセスについてクラスタリングを行い、参加のパターンとして類型化する。

分析の結果、第一に、レシピを数多く投稿することが、必ずしも「つくれぽ」の獲得につながるとは限らないことがわかり、コミュニケーションの活性は、コンテンツの充実さとは別次元の問題であることが示唆された。第二に、参加者個人のレベルにおいて、「つくれぽ」投稿・獲得のプロセスが、4つのパターンに類型化されることがわかった。なかでも、「つくれぽ」を多く投稿している参加者については、一定のペースを保ったまま、もしくは加速度的に、「つくれぽ」の獲得数が増加してきたことが明らかになった。