2010年度 森泰吉郎記念研究振興基金 研究者育成費 研究成果報告書

移動空間向け位置情報サービスの構築手法の研究

研究概要

 本研究では,鉄道車両のような移動する空間内に対するサービスを構築する要素として,空間内での居合わせる同乗関係に着目した.GPS内蔵携帯電話の普及により,ユーザの位置と空間の情報を利用する位置情報サービスが多く登場しているが,この構築手法を拡張し,電車における乗客同士の同乗関係の判定手法を検討した.

 鉄道による移動中については,ユーザの位置情報が常に鉄道路線という一定の軌跡を辿る特性を持つため,移動を予測することや補正することができる一方で,誤差も生じやすく,また高速度で安定的な測位が難しい.こうした課題に対して,鉄道の特性によって対処することが本研究の特色である.

研究活動

 本研究では,同乗判定手法の提案と評価を行うとともに,同乗判定機能を利用したサービスの構築を支援するプラットフォームの実装を並行して行っている.

MOBSプラットフォームの構築

電車内向け位置情報サービスの手法として「MOBS(Moving-Object-Based Services)」を提唱している.位置情報サービスは,ユーザの位置情報と地図などの空間情報を比較して,ユーザのコンテクストを推定する技術が利用されている.同様に,サービス開発者が複雑な処理なく同乗関係を取得できるプラットフォームの構築を行った.

JR山手線における検証実験

同乗判定手法の有効性を検証するため,JR山手線で実験を行った.位置情報を記録し続けるGPSロガーを2名~6名が携行してJR山手線に乗車し,「向かいあわせに座っている時」や「1本離れた前後の電車に乗っている時」などの状況において,位置情報の挙動を検証し,同乗判定の有効性を確認した.

修士論文

本研究の成果を「電車向け情報サービスのための同乗判定プラットフォームの研究」と題して修士論文にまとめた.

学会発表

本研究の成果を,以下の学会で報告した.

対外発表

その他の研究成果の対外発表を以下に挙げた.

また,研究成果の公表と関連分野の交流を目的に,以下のイベントを主催した.