2010年度 森泰吉郎記念研究振興基金「研究育成費」研究成果報告書
研究課題名:「ヴァナキュラー建築の壁と屋根の構法における持続可能性に関する研究―コンゴ民主共和国キンボンド地区を対象に-」
近藤卓
慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 修士課程2年
学籍番号:80925953 ログイン名:takk
1.研究概要
本研究は、材料や労働力が限られた環境の中で実現しているアフリカ(コンゴ民主共和国)の現地の建物の構法を調べることが目的であり、最終的にはそこから持続可能性を発見することが期待されている。
2.活動報告
本年度は、研究をより深化させることを目標にしながらも、研究計画書の改定や微調整を必要に応じて行い、2010年夏には約2週間のフィールド調査をコンゴ民主共和国において実施した。
具体的な活動スケジュールは以下の通りであった。
2010年8月27日-9月10日 |
コンゴ民主共和国における集落・材料調査 |
|
|
|
|
|
|
3.研究成果概要
(1)フィールドワーク調査による資料収集
場所:コンゴ民主共和国
期間:2010年8月〜9月
調査目的:コンゴ民主共和国の住宅で主に使われている建設用材料について、サンプリングを行い、実験のため日本に持ち帰る。
調査手法:材料学の専門家の協力の元、建材についての強度や性質を国内での材料実験にて計る。
(2)日本国内の材料実験によって、コンゴ民主共和国の建材(焼成レンガ、鉄筋、木材)の強度や性質を計る。
(3)実験結果のまとめから、考察を加える。
4.今後の展望
実験の結果では、アフリカの材料の特性が日本のそれと比べると全く異質なものであった。特に鉄筋は、おそらく含鉄量が多いことが予測され、日本の最も上質な鉄筋の引張力とほぼ同じであるという実験結果を得られた。
そのことから、コンゴ民主共和国の建材の生産過程を知る必要があるということが分かった。また、木材は日本のそれよりも圧縮・引張力共にかなり強いという結果が分かり、現地では木材を切るために完全乾燥を行っていな
いということに気付いた。焼成レンガについては、日本国内の水準から比べると、非常に脆く弱いということが分かり、現地の人々が強い材料であると勘違いしているということも判明した。
この結果を受けて、アフリカの建物の構法のなかに、木材や鉄筋を使ったものに新たな持続可能性が生まれるという可能性を期待できるという知見を得ることが出来た。