「討論型世論調査による選好変化分析」報告書

渡邊兼盛(慶應義塾大学DP研究センター)

 

本研究は、1994年の実施以来、世界20カ国以上の国で40度以上行われている討論型世論調査に関するものである。討論型世論調査(以下DP)とは、通常の世論調査に加え、世論調査の回答者の中から参加者を募り、討論フォーラムを開催し、十分な情報と討論に基づく世論の聴取をすることが目的とされている、世論調査の新しい手法である。国内では、2009年以降3度の実施があり、そのうち2度は、著者の所属する慶應義塾大学DP研究会(現、慶應義塾大学DP研究センター)によるものである。

 本研究では、これまでのDP研究と同様に、参加者の選好変化の分析を行った。本研究の扱う事例は、著者たちが企画した神奈川県藤沢市の総合計画策定過程におけるDPである。詳細は著者の所属するDP研究会(現センター)が作成した報告書がアップされている、藤沢市のウェブページ内の「藤沢のこれから、集中討論(http://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/kikaku/page100162.shtml)」、DPについての詳細は、DP研究センターのウェブサイト(http://keiodp.sfc.keio.ac.jp/)を参照されたい。

 

活動履歴

 本研究は、研究として紙に印刷して終わるのではなく、ORFでの発表や2011129日には、松下政経塾との共催でシンポジウムを行うなど、実社会に結びつくものである。さらに、研究センターは日本で初の全国規模のDP527日から3日間かけて行う。

 

謝辞

 DPの研究には膨大な費用が必要になる。選好を分析するためには、アンケートの集計からはじめなければならない。通常の学業と別に、このような研究を行うことは、とりわけ学部生には、時間的にもモチベーション的にもしんどいものである。彼らは本基金がなければ「タダ働き」させられてしまうところであった。最終的には、本基金によって、彼らに補助を与えることができ、誰ひとりとして離脱することなく、その結果として、DPは成功を収め、2010121日付で、大学全体が認めるセンターとして承認されるに至った。本基金に大変感謝するしだいである。

20112月末日