森基金研究成果報告

所属:政策メディア研究科修士課程1年武藤研究室所属 氏名:守谷元一
学籍番号:81025561
プロジェクト科目名:ノーベルコンピューティング

 研究内容の変更について
 申請した段階では影を用いた位置検知システムの設計を行う予定であったが、研究を行うにつれてデジタルアナログ変換を行う、マイクロコントローラとLEDの距離が離れ、長距離を単線を用いてつなげる場合、信号以上に大きなノイズが通信中に発生することが判明した。ノイズを取り除くためにはオペアンプによる信号の増幅が必要となるが、その場合、センサーとなるLED1つ、あるいは2つにつき1つのオペアンプが必要となる。オペアンプを動かすためには当然電力が必要となり、各センサー部においても電力供給が必要になってしまうと、効率面、コスト面でも大きな問題が発生してしまうことになってしまうため、研究内容を下記のように変更した。


 研究内容
赤外線を用いた非接触型の脈拍計の作成


脈拍測定原理
赤外線を用いた脈拍計の原理としては、人間の血中に含まれるヘモグロビンが大きく関係している。血中に含まれるヘモグロビンは赤外線、特に近赤外線を吸収する。そのため、血管に対して赤外線を放出しその反射量を測定すると、通常の物質からの反射量に比べて反射量が少なくなる。この原理を利用して、血管が膨張しているとき、すなわち血液量が増大しヘモグロビンの量が増えているときであれば赤外線の反射量は減る。逆に血管が収縮し、血液量が少なくなりヘモグロビンの量も減少した時は赤外線の反射量は増えるといえる。この反射量を測定することで血管の収縮を知ることができるため、人の脈拍を測定することができる。

研究目的
近年、脈拍計は小型化し、一般家庭に普及しつつある。そのため、従来の病院で利用されているような大型の脈拍計ではなく、小型でモバイル可能な脈拍計が発明されている。その一例として、いくつかの携帯電話にも赤外線を用いた脈拍計が搭載されつつある。このように脈拍計が普及された理由として最も大きなものが個人の健康管理である。脈拍は自律神経系によって動いているので、人の感情はもとより、人が自覚できていないような小さな異常によっても変化する。そのため、脈拍を日々測り続け、データを取得することで何らかの病気や異常が体内で発生した場合、その脈拍の変化から患者が自覚する以前に問題があるかどうかを調べることが可能になる。これにより、病気などを早期発見、治療することができるようになり、患者への金銭的、肉体的負担が劇的に減少する。

研究意義
 研究目的でも述べたように脈拍は自律神経系によって管理されているので、本人が意図的に変化させることができない。これは逆にいえば本人の気分などによって自動的に変化してしまうということである。そのため、今から脈拍をとられるというような小さなストレスであっても脈拍に変化を及ぼす原因になってしまっている。これを防ぐためには、非接触で患者が現在脈拍をとられているという実感なく、データを取得することが望ましい。そのためには、接触型では必ず取得されているという実感が生じてしまう。よって、非接触で脈拍を取得することができるセンサーシステムが必要になる。

 現在までの進展状況と今後の予定
現段階では非接触の脈拍計の前段階として通常の接触型の脈拍計を作成している。接触型の脈拍計を作成することで、細かいセンサーや増幅回路に対する見識を深めるともに、非接触型の脈拍計でデータが取得出来た際に比較するためのサンプルデータを取得する。春休中に非接触型のサンプルを作成する予定である。