所属: 政策・メディア研究科 修士課程1年
学籍番号: 81025220
氏名: 波多野 敏明
研究課題: 学習と予測によるDTNルーティング手法の開発

## 概要
近年、遅延や分断に耐えるネットワーク構築手法としてDelay- and Disruption-
Torelant Networking(DTN)が提案されている。
DTNはこれまでのネットワークが想定しなかった高遅延・分断環境での通信網を
想定しており、モバイルアドホックネットワーク、水中通信網、センサーネット
ワーク、深宇宙探査ネットワークなど幅広い分野への応用が期待されている。
DTNの想定する環境では遅延・分断のためネットワークの系に渡って情報を同期
することは困難である。メッセージ転送、ルーティング制御、リソースの名前付け、
セキュリティ、その他の機構すべてに渡って各ノードに高度な自律分散処理が
求められることから、DTNはチャレンジングなネットワークであると言われている。

本研究ではDTN上での多ノードに対するコンテンツ配信機構を扱う。
DTNの各ノードが備えるメッセージ中継のためのストレージをキャッシュとして
扱うことで、ネットワーク全体で自律分散的にコンテンツ配信を行う機能を
提案する。

## 今期の活動
今期の活動として、第一にDTN上でのコンテンツ配信に関する関連研究とDTN上で
のマルチキャストルーティングに関する関連研究についてサーベイを行った。
また、DTN上でのコンテンツ配信に関する新たなアプローチとして、コンテンツの
IDに対してルーティングを行う手法を提案した。
提案した手法のシミュレーションのよる評価を行い、現在は成果としてまとめの
段階にある。
また、日仏情報学連携研究拠点(JFLI)の主催する2nd JFLI Workshop 2010 at Parisの
場で発表を行った。

## 来期以降の予定
来期以降も引き続き、提案手法についてシミュレーションを行いその有効性を評価し、
改善を続けるとともに、論文や対外発表の形式でその成果を示していきたい。

## 助成金の使途
提案手法のシミュレーションのため、シミュレータの部品購入と書籍代として
支出した。