2011年度森泰吉郎記念研究振興基金 研究成果報告書
研究課題名:情報コミュニケーション技術の浸透と家族関係の変容
申請者:政策・メディア研究科後期博士課程 槌屋 洋亮

研究概要

本研究では、開発下のベトナムを対象として、情報コミュニケーション技術の利用が、人々の生活の改善につながるための条件を明らかにする。具体的な検討課題は次の諸点である。すなわち、開発下のベトナムにおいては、家族の諸アクターが生活上の課題を解決するために、どういった認識を持ってコミュニケーション技術を如何に利用しているか。その利用の過程で、伝統的とされ、戦争の間も維持され、現在も根深く残存している、儒教意識や互州関係を基にした家族内の諸アクターの意識・行動等にいかなる変化を及ぼしているか。本研究ではこの点を、ベトナム中部のフエ市に在住する、特に高齢者を抱える世帯内における女性の情報コミュニケーション技術の利用と意識についての調査から明らかにする。

2011年の活動内容と成果

昨年度に引き続き2011年9月にベトナム中部フエ市にてフィールドワークを行った。今回のフィールドワークでは、20代前半の学生を中心に15人へ2時間程度のインタビューを行った。また、フエ経済大学が主催するICT関連のセミナーに参加し、現地の技術者・ICTに関心を寄せる研究者等と情報共有を図った。またフエ医科大学を訪問し、フエ医科大学が進めている障害者支援プログラムにおけるICT活用の現状等について把握した。

また、2011年8月には、韓国、釜山の東亜大学にて開催された「日韓次世代学術フォーラム 第8回国際大会」にて、昨年度までの成果を「情報コミュニケーション技術の浸透と家族関係の変容」というタイトルで発表した。今後は、2011年9月のフィールドワークの成果をまとめた査読論文を執筆し、投稿を進める予定である。



2012.02.28