2011年度森泰吉郎記念研究振興基金 成果報告


慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 修士課程1年先端生命科学プログラム

田中美穂


Chlamydomonas reinhardtii においてオートファジーがトリアシルグリセロール蓄積に及ぼす影響


概要


オイル産生微細藻が蓄積する脂質は次世代バイオ燃料の原料として期待されているが、脂質蓄積機構は明らかにされていない。単細胞緑藻のモデル生物であるChlamydomonas reinhardtiiは窒素栄養欠乏下において脂質を蓄積すると共に、オルガネラやタンパク質を液胞で分解するオートファジーが誘導されることが知られており、これらの関係性を明らかにする事は脂質蓄積機構解明の手がかりとなると期待される。セリン・スレオニンキナーゼである Target of Rapamycin(TOR)はオートファジ ーの負の制御因子であり、ラパマイシン添加により TOR を不活性化することで、オートファジーが誘導される。本研究では、ラパマイシンを用いて窒素栄養欠乏と独立にオートファジーを誘導し、その際の脂質蓄積を調べることで、オートファジーと脂質蓄積の関係を明らかにすることを目的とした。ラパマイシンを添加した細胞の増殖変化を調査してラパマイシンの効果を確かめた結果、細胞壁のない変異株CC503では効果が見られたが、野生株では論文の再現性が得られなかった。ラパマイシンの効果があった変異株では、同時に脂質の蓄積が確認され、窒素栄養欠乏とは独立して TOR の不活性化が脂質蓄積に影響している事が示唆された。また、オートファジーのモニター方法としてオートファジーに必須なATG8のウェスタンブロットの確立も目指している。


PDF春学期報告書

PDF秋学期報告書