2011年度 森泰吉郎記念研究振興基金「研究育成費」成果報告書

「アフリカ・コンゴ民主共和国教員育成大学との協働による教育プログラムの構築」

 

慶応義塾大学 政策・メディア研究科 修士課程2年

氏名:代田 有佳理

学籍番号:81025888 

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【1.研究概要

本研究はコンゴ民主共和国キンシャサ市内にある教員育成大学「I.S.P. Teachers' College」との協働にて、私立「Acadex」小学校へ向けた教育プログラムの提案を行なうこと目的とする。これまでの活動を通して、現地に沿い・根付く教育カリキュラムを構築するに当たり、現地の小学校の現状の把握することと、現地の視点を交えた教育カリキュラム(指導法も含む)を考案することは必要不可欠であるということが明らかとなっている。しかし、インターネット環境が整っておらず、言語の問題も生じてしまため「Acadex」小学校の教師との直接的な連携が困難であることから、細かな意見交換が可能となるISP教員大学の教育科の学生との協働体制の構築を試みる。日本とコンゴの良さを織り交ぜた教育カリキュラムを協働して考案することで、インターンとしてコンゴ人学生が定期的に「Acadex」小学校へ赴き授業を実践・提供する可能性が期待できると考えている。

 

※補足※

合宿に参加している教員育成大学ISPの学生は英語科から抜擢された生徒であり、英語での意見交換が可能である

 

.活動日程】

·           2011年 4月〜7月 研究計画の構築・情報収集・質問紙作成

8月〜9月  アフリカ・コンゴ民主共和国へのフィールドワーク(約1ヶ月間)

9月〜12月 データの整理・調査結果の分析

·           2012年 1月〜2月  研究論文テーマの具体化と執筆準備

 

【3.活動報告】

 8月・・・私立「Acadex」小学校にて教員大学生との合宿

 9月・・・教員大学ISPにて滞在、教員大学生と議論・私立「Acadex」小学校の授業調査

現地では、関係性の構築なしに、調査を行なうことは難しく、 教員大学生と「人」としての相互理解を深めた上で本題に対する活発な議論を行なうことが可能になる。現地到着後約2週間は私立「Acadex」小学校近辺で教員大学生と寝食を共にし、互いの生活や習慣を肌で感じるための合宿プログラムを通して、言語や個人としての価値観について理解し合うディスカッション等を行ない、研究者としてではなく、一個人としての親睦を深め、気兼ねなく話し合える関係を構築した。また、「Acadex」小学校の生徒を対象に日本人学生が準備したワークショップを協働して行っている様子を観察し、互いの強みや良さを調査することが出来た。

 

 

【4.活動成果】

実際に生活を共にして関係性を培う中で、互いが受けてきた教育や良いと考えている教育について議論することで以下の理解を深めることが出来た。

        教育に対する問題意識と理想に関する議論と共有

        日本人とコンゴ人の指導法に活かせる強みの考察

        Acadex」小学校の授業風景の観察・調査

 これまでは日本人によるカリキュラムの考案とワークショップを中心に「Acadex」小学校へ活動を行っていたが、ISP教員大学学生と連携を取ることで、段取りを話し合った上でワークショップを展開することが出来た。日本人学生が考案した遊び感覚のワークショップ案と、コンゴ人学生の細やこども達への対応により、互いの良さが活きたワークショップが完成し、現地に根付き、日本の視点を織り交ぜた教育プログラム実現の可能性に対する期待が高まった。

 

 

【5.今後の展望】

現地へのフィールドワークを通し、自身が考えているよりも更に現地の教育への意識と関心が高いことを知った。そして合宿でのワークショップを始め、教員大学の学生と考えを率直に意見交換が行なえたのは関係性の構築に重きを置いた結果であることを強く感じた。なぜなら、互いの良さを活かした協働作業を行なうには、相手への理解を示し尊重できなければ、相手の良さは見えてはこないからである。今後は「Acadex」小学校の成長と共に、ISP大学の学生との協働による教育カリキュラムの考案と実践を行なっていくためにも、関係性を深めることに焦点を当てた研究を行なう予定である。