2011年度 森泰吉郎記念研究振興基金　研究成果報告書

政策・メディア研究科　修士一年　長瀬雄貴

地域資源における環境分野の問題分析と保全体系の確立

■主題

本研究は、石垣島のサンゴ礁保全という既存の環境問題に対し「サンゴ礁を地域資源として保全・有効活用する」といった新しい視点を取り入れた研究を行う。

石垣市や八重山支庁ではサンゴ礁保全のための補助事業として、沈砂地や勾配修正等を行う水質保全対策事業やグリーンベルト苗の提供、サトウキビの葉殻全面

マルチ等の赤土流出総合対策開発事業等を行っている。しかし現状では行政の補助事業に対し農家の参加率は0.1%以下と非常に低い数値を示している。これはサン

ゴ礁を保全することが農家の収益に直接結びつくことが明確に示されていないからである。このように現状ではサンゴ礁保全と地元の活性化が直接結びついていない

ために対策が浸透していない。

そこで本研究では、サンゴ礁が地元の経済にもたらす効果を検証し、有効活用することで地元が活性化していく仕組みを提案する。サンゴ礁を地域資源として定義す

ることで地元の中でどのような位置づけになっているかを明らかにする。

■ 概要

今年度は、サンゴ礁を取り巻くステークホルダーを明らかにし、保全体系の確立について定量的に調査・分析するための仮説構築として、既往研究の収集、既存データ

の収集、地元住民へのヒアリング、行政へのヒアリングを行った。

　

　フィールドワーク実績

　2011年9月1日〜10日　　石垣島フィールドワーク

　2012年2月21日〜29日　 石垣島フィールドワーク

　ヒアリング対象

　WWF、石垣島市役所、石垣島商工会、エコツアーりんぱな、観光協会、魚湧く会、環境省、富野住民

■ 活動成果

本フィールドワークによって、サンゴ礁を取り巻くステークホルダーを整理し、仮説構築をすることができた。また、地域資源をステークホルダーごとに整理することで、

保全体系の確立を目指すモデルの初版を作ることができた。