政策・メディア研究科修士課程2年

真隅絢子、masumi、81025392

提出：2012年2月29日

2011年度　森泰吉郎記念研究振興基金「研究育成費」

研究成果報告書

概要

研究課題名：ロンドン同時多発テロから見る国際テロリズムの変容

渡航期間：11月17日〜11月23日（日本時間）

渡航先：スペイン、マドリード（研究内容の変更により渡航先も変更）

行程：

11月17日（木）	移動日	日本発、スペイン着（現地時間：22:45）
11月18日（金）	活動日�@	事件現場視察
11月19日（土）	活動日�A	書店、図書館における資料収集
11月20日（日）	活動日�B	事件現場、慰霊碑視察
11月21日（月）	活動日�C	図書館における資料収集
11月22日（火）	移動日	スペイン発（現地時間：11:25）
11月23日（水）	移動日	日本着

渡航費用：渡航費（森基金より拠出）、宿泊費（プログラム費より拠出）、雑費（自費）

渡航目的：

私の修士論文の研究テーマは、「9.11以降の国際テロリズムの変容」である。2001年以降欧州で起こったテロリズムを事例に検証を進めている。昨年夏にイギリス、ロンドンにおける視察を行ったこともあり、今回はスペイン、マドリードの事件現場の視察へと赴いた。主な目的は事例が起こった現場の状況とその後の対策設備の視察とまた日本で入手に限界のある資料の収集である。

活動内容（詳細）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

�@ 事件現場、関連施設視察

視察地：アトーチャ駅、国鉄（RENFE）7番線（エル・ポソ駅、サンタ・エウニア駅）、

　　　　M−30モスク周辺地域

　2004年3月11日、スペインのマドリードにおいて列車爆破テロが起こった。事件の実際の現場となったのは、スペイン国鉄（RENFE）のアトーチャ駅、エル・ポソ駅、サンタ・エウニア駅（またアルカラ・デ・エナレス駅発、7番線の列車において）である。また、実行犯のうち主犯格はM−30モスクと呼ばれるモスクに通っていたとされる。今回は上記を順番に巡った。M−30モスクは実際にはスペイン国内最大のイスラム文化センター内にある。国道M−30線近くにあることからM−30モスクと呼ばれている。今回実際にモスクを訪問することはできず、周辺地域の視察のみとなった。2005年イギリスにおけるテロリズムにおいて主犯格はロンドンのフィンズブリーパークモスクに通っていたとされる。昨年の視察の際その周辺地域を訪れたが、M−30モスク周辺とは異なる地域性を持つことがわかった。

その後、M−30モスクを起点にして（実際の事件過程とは異なる）、国鉄7番線に乗車し事件現場をまわった。アトーチャ駅は多くの線の経由地となっている大きな駅である。ただエル・ポソ、セント・エウニア駅は路線上でも最も簡素な駅であることがわかった。ロンドンにおいては事件後、各駅に多くの監視カメラが取り付けられたのはもちろん、不審物への警告や警官による恒常的監視が行われている。しかしマドリードにおいてはそれよりはやや警戒が薄いように感じた。監視カメラは至るところに設置してあるものの警官の監視は少なく（ラッシュ時のみ）、また不審物への警告は特に見受けられなかった。

�A 慰霊碑視察

視察地：アトーチャ駅構内、故人の森（レティーロ公園）

　マドリードにおけるテロの犠牲者を追悼する施設は二箇所ある。一箇所目はアトーチャ駅構内（外観からは隣接しているように見える）円柱状の施設、二箇所目はレティーロ公園内の「故人の森」である。マドリードのテロはヨーロッパで二番目に多くの犠牲者を出すテロリズムであった。それら多くの犠牲者を追悼するために上記施設が設けられ、追悼の式典等もこれら施設において開催されている。ロンドンにおいてはこのような施設が設けられていない。テロリズムへの考え方の差を感じた。

�B 書店、図書館等による資料収集

資料収集のために書店、図書館を訪れた。ただ書店においては特に資料を見つけること

は出来なかった。土曜日（午前中のみ）と月曜日にマドリード内の国立図書館を訪問した。資料収集のためということでライブラリーカードを受け取り、入館することができた。スペイン語ができる訳ではないため、読み込みは難しかったが、スペインにおけるテロリズムの定義等を窺える資料を見つけることはできた（重要部分のみ論文資料として用いる予定である）。ただ安全保障関連の多くの資料が別館にあったが、今回の日程の中でそちらを訪問することができなかったため、資料収集は十分ではなかったと考える。

成果・感想　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　実際の活動日が4日という短い期間ではあったが、研究事例としている事件現場のある程度の視察は出来たと考える。今回の視察で得た観点を、修士論文に直接記載してはいないものの、事件が何故起こったのかということを考察していく上で重要であった。一昨年のロンドン訪問とあわせて、修士論文の執筆に大いに役立てることができた。

　2011年度の研究活動および研究成果は、基金創設者である森泰吉郎様と基金を運用していただいた慶應義塾大学湘南キャンパス研究支援センター様のおかげです。誠にありがとうございました。