研究主題:「生物相との関係から見た都市緑地・河川の評価」
1.低・未利用地の時間的変化が生物分布に及ぼす影響
・今年度調査地選定をを行い、来年度より現地調査及び分析を行う。
生物生息空間が減少している都市において、既存のストックを活かしながら、効率的に生物多様
性の保全に取り組むことが求められている。当研究では、コモンデータによる生物の分布情報と、
バッタ類を指標にした現地調査で得られた分布情報から、低・未利用地の時間およびに空間分布
の動態的な変化が、生物の生息・分布に及ぼす影響と効果を明らかにすることを目的とする。特
に、マクロスケールでは、コモンデータを利用して、生物の広域的な分布と低・未利用地の動態
的な分布の関係性、ミクロスケールでは、現地調査の結果を基に、低・未利用地への移入・分布
を規定する要因の影響度が時間変化に伴ってどのように変化するかを、多変量解析を用いて解明 を目指す。
2.東京湾沿岸部埋立地における緑被分類とバッタ相の関係について
・今年度分析及びにまとめを行い、学会論文へ投稿した(採択済・日本造園学会2012年度研究大会論文集
掲載予定)。
本研究は、臨海埋立地の緑地の質を生物の視点から把握することを目的とする。人工地盤である埋立地の緑地環境を、生態的な機能から区分、記述する手法は十分検討されていない。当研究では、緑地構造との関係が密接かつ人工的な空間に生息が期待できる生物としてバッタ類を指標に、生息状況と緑被分布の関係性を明らかにし、当該地域におけるバッタ類の生息予測を行った。調査は、公園や緑道、植栽帯などの計71箇所で出現種と個体数の記録を行った。生息状況と緑被分布の関係性の分析およびに生息予測は、TWINSPANによる出現種の分類を行い、各種群の出現個体数を目的変数、緑被分布に関する数値を説明変数にした一般化線形混合モデルを用いて行った。
キーワード:バッタ類(直翅目), 東京湾, 埋立地, 緑被分布, TWINSPAN,
一般化線形混合モデル