2011年度森泰吉郎記念研究振興基金「研究育成費」研究成果報告書

名前: 中村愛実
所属: 政策・メディア研究科 修士課程2年

研究課題名

電子教科書と連携するウェブブラウジング支援システムの研究

研究概要

情報科目の導入や総合学習・調べ学習で資料を探す場面の増加により,中高生が学校でパソコンを使って,学習目的でインターネットを利用する機会が頻繁となった.また教育現場では,電子教科書導入が検討されている.
しかしそうした状況下で中高生を対象としたインターネット情報検索支援はまだ足りていないのが現状だ.
従来の検索エンジンは入力されるキーワードに依存しており、興味・関心・疑問が曖昧で不明確であるほど,キーワードに落とし込むことが難しい.
このような背景を踏まえて,検索・ブラウジングの新たなシステム「学実(まなみん)ねっと」を提案する.
「学実ねっと」とは,総合学習や調べ学習の際に"テーマを探し,所望するWeb資料を探し出しまとめる"という一連のWeb検索・ブラウジングを支援するシステムである.


本システムはユーザーとなる中高生の意見や彼らの検索・ブラウジング行動を観察・分析した結果を積極的に取り入れたユーザー参加型デザイン(上図参考)をもとに構築し、実証実験を行った.

具体的な成果

・検索・ブラウジングの新たなシステム「学実(まなみん)ねっと」を構築
・中高校に訪問し、実証実験を行った
・修士論文”電子教科書と連携するウェブブラウジング支援システム「学実(まなみん)ねっと」の研究” を発表

検索行動を調べる予備実験より被験者が採用するWebページの基準には文字または画像の量の印象によって判断されていることがわかった.
予備実験を踏まえて,本システムは検索キーワード入力の代わりに教科書の索引語を用いて,検索結果を画像率の高さでサムネイル画像を分布し、閲覧したページの中からお気入りのWebページを登録することで、自分だけのWeb資料集をつくることができる特徴を持つシステムを構築した.
本システムによって従来の検索・ブラウジングでは閲覧されにくかった有用なサイトへの出会いがあることが実証実験によって発見され,従来とは違う視点でのブラウジング行動が見られた.
具体的には従来の検索エンジンのインタフェースでは閲覧されたなかった上位5位以上のWebサイトが学実ねっとでは見られ,それらのページがお気に入り登録されたことにより,検索の視野を広げ,従来では発見できなかった必要とするWebサイトへ導く機会を作ることができた

実証実験の結果から従来の検索の前に学実ねっとを利用することで検索する前段階のテーマ探しを支援できることがわかり、学実ねっとは学習目的での検索支援において有効であり,新たな検索体験を与えることに貢献するという結果が示唆された.

外部への発表

中村愛実,小川克彦:電子教科書と連携するウェブブラウジング支援システム,ヒューマンインタフェースシンポジウム2011, HI 学会, 2011-9.
ORF2011にて小川克彦研究室より出展

今後の予定

インタラクション2011参加予定、実験結果を踏まえてサービス改善に努める