サーバシステムをはじめ、仮想マシンを用いて構成された仮想クラスタにおいて、データセンタの電力消費や計算機資源について考慮しながら運用を行うことは非常に重要な課題である。
これまでのシステムにおいて、仮想クラスタを単位としたライブ・マイグレーションを実現するためには、仮想化ドメインをまたいだ仮想クラスタ内におけるネットワーク構成の動的な変更が大きな課題となっている。
そこで本研究では、異なる仮想化ドメイン間で動的にネットワーク経路を変更し、仮想クラスタ内の通信を保ったライブ・マイグレーションを実現する。本システムによって、物理サーバのおかれる環境や消費電力など様々な要因を考慮しながら仮想クラスタをより柔軟に運用することが可能になると考える。
研究成果
今年度における本研究の成果は、実験用ネットワークの構築とユーザ管理用アプリケーションの開発、既存研究の調査実験である。
仮想クラスタを構築・運用するためのソフトウェアとして、ハイパーバイザとして
Linux KVM、 コントローラとして OpenStack
を採用して構築を行った。
また、既存のアプリケーションに利用されている認証基盤と同様の認証基盤を利用できるよう、ユーザ管理用アプリケーションの開発も行った。
現在は、ライブ・マイグレーション時に行われる通信切り替えのための挙動の調査実験を行っている。
今後の予定
本研究は、最終的に大規模な実験を行う必要があることから、本年度を実験ネットワークの構築に充てた。
今後はこのネットワークを利用し、OpenStack
上に提案システムを実装、評価し、
論文として執筆・投稿する予定である。
研究費の使途
仮想マシンを格納し、起動するために必要なストレージマシンの構築やケーブル類の購入費用として支出した。