2012年度 森泰吉郎記念研究振興基金(研究者育成費)成果報告書

日本の平和構築政策に関する研究

―実施レベルの協働と国内制度の変容―

 

政策・メディア研究科 後期博士課程3年 

本多 倫彬

hndtmk [at] sfc.keio.ac.jp

 

○ 本年度の活動報告の概要                                    

本年度は,博士論文における研究課題である『紛争後の秩序の再構築における日本の役割』に取り組むため、前年度までに進めてきた自衛隊の国際平和協力の実施レベルに特化した検討を踏まえて、研究対象を他のアクターの活動に拡大した。同時に、実施を支える基盤である制度レベルの変容にも焦点を当てた。具体的には、以下の2点を柱に研究を行った。

(1)  自衛隊の国際平和協力活動に係る情報収集・整理

(2)  外務省・JICANGO等の紛争後の取り組みと制度基盤の変容

 

こうした研究を進めるため、文献や公刊資料の調査に加え、インタビューや研修会への参加等を行った。また、これまでの研究成果を基盤としつつも、新たな領域に係る検討となるため、研究成果については漸次、学会報告を含む様々な形で報告し、その際の質疑や指摘を踏まえて修正を行うという形で研究を進めることとした。具体的な報告・発表として、以下を行っている。

 

(1)学会報告

・本多倫彬「変わりゆく日本の平和構築政策―ガバナンス化の視点から―」日韓次世代学術フォーラム第9回国際学術大会、一橋大学(東京)、2012630日。

Tomoaki HONDA, “The two “capacity building assistance”: -Focusing on the deforming aspects of Japan’s international cooperation policy-” International Symposium on Designing Governance for Civil Society, Keio University Global COE CGCS(Center of Governance for Civil Society), Tokyo, February 9, 2013.

 

(2)その他研究会等

・コモン国際情勢研究会、20124 27日。

報告テーマ「平和構築支援における自衛隊の役割に関する一考察」

・慶應義塾大学SFCGRプログラムBBLS2012620日。

報告テーマ「オール・ジャパンの紡ぐ国づくり支援の射程」

・コモン国際情勢研究会、201211 27日。

報告テーマ「2つの能力構築支援」 

 

(3) 発表論文                                    

上記の報告・発表等で得られた示唆、課題等の再検討を経て、本年度は下記の論文を発表した。

・本多倫彬「東ティモール支援における日本の全政府アプローチ―「経済成長を通じた問題解決」の結ぶPKOODA―」『法学政治学論究』第95号、201212月。

※ほか、2点を投稿中(1点査読後修正中、1点査読中)

 

 

○ まとめと次年度の研究に向けて

博士課程1年度に当たる2011年度は、森泰吉郎記念研究振興基金(研究者育成費)を含む研究助成を頂いて海外調査を含めて広範な情報収集を行った。2012年度は、前年度の調査成果を踏まえて、博士論文の骨子となる多くの重要な課題の整理を行い、得られた知見を発表することに研究の多くの時間を費やしたと言える。同時に、こうした作業を通じて博士論文の根幹となる枠組みを構築してきた。

2013年度は、ここまでに得られた成果を踏まえて、それらを博士論文としてまとめていきたいと考えている。

本研究を支援して頂いた森泰吉郎記念研究振興基金の関係者の方々には、改めて感謝を申し上げます。