2012年度森基金 研究成果報告書
上皮成長因子シグナル伝達経路の分子イメージング解析
政策・メディア研究科 修士課程1年
新土優樹


研究内容
ERK (extracellular signal-regulated kinase) は最も有名なMAPKの1つであり,そのダイナミックな活性化パターンは,増殖や分化などの細胞運命を制御することが知られている.増殖因子刺激はRaf/MEK/ERKカスケードの活性化を引き起こし,活性化されたERKは核内に移動することで,さらに下流の転写因子へと伝わる.しかしながら,これまでERKの核移行ダイナミクスを1細胞レベルで詳細に解析した研究は少なかった.核内におけるERKの機能を考えると,ERK MAPKシステムを定量的に理解するためには,個々の細胞におけるERKのダイナミックな動態を調べることは重要である.本研究では,EGFPを用いてERKを蛍光標識し,共焦点顕微鏡を用いることで,増殖因子刺激に対するERKの核移行ダイナミクスを定量的に計測した.その結果,刺激に対するERKの核移行ダイナミクスには,細胞間でばらつきが見られることが明らかになった.

なお、本研究は理化学研究所との共同研究のため、図表および詳細な説明は控えさせていただきます。


助成期間中の研究成果
国際学術論文誌
Yuki Shindo, Tadasu Nozaki, Rintaro Saito, and Masaru Tomita. (2013)
Computational analysis of associations between alternative splicing and histone modifications. FEBS Letters. 587(5): 516-521.

学会発表(筆頭著者のみ)
Yuki Shindo, Kazunari Mouri, Kayo Hibino, Masaru Tomita, Yasushi Sako, and Koichi Takahashi.
Live cell imaging of the growth factor-induced nuclear translocation of ERK in PC12 cells. BSJ2012, Nagoya, Japan (Sep. 22-24, 2012)
Yuki Shindo, Kazunari Mouri, Kayo Hibino, Masaru Tomita, Yasushi Sako, and Koichi Takahashi.
Live cell imaging analysis of the growth factor-induced ERK nuclear translocation dynamics in PC12 cells. MBSJ2012, Fukuoka, Japan (Dec. 11-14)