2012年度森泰吉郎記念研究振興基金 研究成果報告書

学籍番号:81125711

政策・メディア研究科修士課程2

王超

森泰吉郎記念研究振興基金申請時の研究課題目

ソーシャルメディアが中国地方選挙に与える影響

概要

目的

 私の修士論文の研究テーマは「ソーシャル・メディアと中国の選挙――中国地方人民代表大会選挙に立候補する独立候補者」である。2011年人民代表大会選挙に出馬宣言をした候補者の実情を調査するために、中国にフィールドワークを行った。それに、資料収集も行った。森泰吉郎記念研究振興基金を頂き、修士論文を執筆する際の経費として役立てた。

行程

85

移動日

日本発、中国着

815

活動日(上海)

復旦大学で独立候補者研究者にインタビューを行った

820

活動日(杭州)

独立候補者Xさんにインタビューを行った

821

活動日(杭州)

独立候補者Wさんにインタビューを行う予定だったが、Wさんは当日キャンセルした

822

活動日(杭州)

独立候補者Lさんにインタビューを行った

94

移動日

中国発、日本着

活動内容(詳細)

フィールドワーク

 815日に復旦大学で中国独立候補者研究者第一人と言われる何俊志先生にインタビューを行った。何俊志先生のインタビューにより、中国2011年中国地方選挙の概観を把握し、ソーシャルメディアがこれから選挙に与える影響を展望できる。独立候補者にインタビューする時の注意事項も教えてくれた。後ほどのインタビューに役立てた。

 上海市の独立候補者について、何俊志先生はすでに先行研究を完成した。それに、何俊志先生より北京地域の研究者も紹介してくれた。この先生たちの研究により、中国独立候補者の北部と南部の発祥地は基本的に調査し終えた。上海は中国の経済の中心であって、北京は経済の中心である。その故に、私は経済が最も豊かで、中央権力より離れてる浙江省を選んだ。浙江省の三大都市の杭州市、寧波市、温州市の独立候補者にインタビュー申請を提出したが、結局3人の返事しかもらわなかった。3人とも杭州市住民なので、8月中旬でフィールドワークをしに行った。

 問題の設定は以下の通りである。

1・出身地と職業は何であろう?

2・選挙に出るモチベーションは何であろう?

3・どうして独立候補者として出馬した?

4・どうしてミニブログを使って、選挙活動を行ったのか?

5・具体的に、参選する活動はなんであろう?ミニブログを使って、誰かあるいは何の組織と連絡してたことあるか?現実中の参選活動もミニブログと関わってた?

6・選挙委員会側はどう反応したのか?

7・次回も参選するつもりなのか?

8・もし万が一当選しても、議会に何もできないことは予測できる。これについて、何かの対策でもあるのか?

 821日にインタビューをする予定だったが当日キャンセルしたWさんに8月上旬で電話インタビューしたことがあるので、この問題に対して、一部の答えはわかってる。3人の答えをまとめると、以下の通りである。

1・出身地から見ると、3人とも地元の人ではないが、杭州に長い時間生活した。それで杭州で出馬することを決めた。しかし、戸籍の関係で、選挙民登録段階で全員止められた。

2・モチベーションから見ると、自分が属される職業・自分の経歴が重要なポイントである。不動産会社に務めているXさんは公衆の不動産問題に目指し、弁護士のWさんは法律の社会化を目指し、ケーキ屋さんのLさんは「城管」問題を目指す。もう一つ共通するポイントは社会に政治参加の権利意識を普及させたいことである。

3・独立候補者として参選する原因のは、社会に政治参加の権利意識を普及させたいである。

4・ミニブログを使った理由は、一つ、社会に政治参加の権利意識を普及させたいである。これは独立候補者の自己PR、選挙区内の有権者との交流ルートの開拓だけではなくて、参選する過程の透明化も人大選挙を規範化を促進した。もう一つ、これも人身安全の保証である。

5・ミニブログは現実生活から離れているが、新聞紙や雑誌など伝統メディアは今ネット事情を常に注意しているので、ミニブログで出馬宣言した後、新聞記者は次々と取材しに来て、各新聞紙でニュースを載せた。インターネットを使えない人でも新聞の影響で独立候補者のことを知った。

 一部の人はミニブログを通じて、法律援助を求めた(弁護士や大学の研究センターも関する法律援助団を成立し、ミニブログで出馬宣言した人にサポートを提供していた。独立候補者たちもお互いに情報をシェアした)。一部の人は政府側の嫌がらせを避けるために、選挙区内の有権者とメディア関係者を除いて、弁護士や独立候補者同士と一切連絡しなかった。

6・選挙委員会ははきり反対することは表せなかったが、決して支持していなかった。そして、委員会自身の選挙に関する法律についての知識不足が見える:選挙方法の諮問については冷たい反応だった。選挙民登録権利に巡る訴訟も法律証拠を見せず、一方的に相手の敗訴を判断した。

 広東省の選挙は早かった、しかも選挙に独立候補者はたくさん現れたので、独立候補者についての対策はわからなかった。江省の選挙は広東の経験を学び、こっそりと選挙を終わらせた。選挙日や選挙区の公布は遅かったので、独立候補者は手も足もでなかった。

7・慎重で判断するつもりですが、できれば参加する。

8・心の用意はすでにできた。できるだけのことをやる。

9・選挙過程に、Lさんはインターネット強い影響力を発揮したが、実際の参選活動はなかった(「暫住証」が持っていなかったうえに、選挙委員会に選挙民登録について諮問しても何の情報も得られなかったので、選挙民登録段階で諦めた。)。XさんもWさんも選挙民登録ができなかったが、Xさんは自薦ビデオやブログをネットにアップロードし、選挙民訪問をしました。Wさんは選挙委員会をを起訴した。

 Xさんは選挙過程中に三日間警察及び国家安全局で軟禁されたことがある。Wさんは警察に殴られたことがある。しかし、これは選挙に出たこそ、ひどい目にあうわけではない。二人ともそもそも公衆利益に熱心する方ので(Xさんの軟禁された最大の原因は新幹線事故の記念活動を組織した。しかも当時温家宝総理は温州に見舞っていたので、Xさんを温州に行かせないように彼の行動を監視した。)、警察は彼らを常に注意していた。

資料収集

 フィールドワークだけは足りないので、資料収集をした。

成果・感想

 実際の活動日は4日という短い期間ではあったが、ファーストハンドの資料を手に入れて、中国地方選挙の実情はある程度の理解はできたと考える。今回の調査で得た事実や観点を、修士論文の執筆に大いに役立てることができた。

 2012年度の研究活動および研究成果は、基金創設者である森泰吉郎様と基金を運用していただいた慶應義塾大学湘南キャンパス研究支援センター様のおかげです。誠にありがとうございました。