2012年度森基金 研究成果報告書 


腸内細菌の機能解析


政策・メディア研究科 修士課程1年 

先端生命科学

山本 優理

Login ID: yuppy 

Student ID: 81225144



研究成果

腸内細菌(腸内フローラ)は動物の腸内に生息している細菌群の総称であり,様々な物質の生産や宿主の代謝・免疫において重要な役割も果たしていることが知られている.特に腸内フローラが生産する代謝物の解析に関する研究はいくつか報告があるが,消化管各部位ごとの代謝物について,細菌叢と代謝物の変動を網羅的に解析し,宿主-細菌間相互作用の解明に焦点をあてた研究は少ない.そこで本研究では,メタボローム解析と腸内フローラ解析を統合したマルチオミクスにより,消化管各部位における代謝物と細菌叢との関係を明らかにすることを目的とした.

 

本研究では,無菌(GF)マウスと,SPFマウスを比較し,腸内細菌による影響,および腸内細菌の影響について調査を行った.それぞれ3匹ずつ実験に用い,消化管を6カ所に分けて内容物を採取した後,イオン性化合物のメタボローム解析と消化管細菌叢の解析を行った.メタボローム解析にはキャピラリー電気泳動質量分析装置を用いてイオン性代謝物の網羅的定量を行い,細菌叢解析には次世代シーケンサー (GS junior)を用いて網羅的16S rDNAの解析を行った.GFマウスとSPFマウスの消化管内容物の代謝物プロファイルを比較したところ,マウス間の違い(腸内フローラの有無)よりも,各マウスにおける消化管各部位ごとの違いの方が大きいという結果が得られ,消化管各部位の代謝物と腸内フローラの詳細なプロファイルと統合解析により,消化管各部位における腸内環境についての新たな知見をえることが出来た.


※本報告書はweb公開であるため,論文発表前の具体的なデータを除いて作成した.


研究業績

国内学会(口頭発表) 1件

マウス消化管内容物のマルチオミクス解析

農芸化学会 2013年度大会

仙台, 2013,3,24-28