2012年度森基金研究成果報告書

氏名:花房真理子
所属:政策・メディア研究科 修士課程2年
所属プログラム:CB
所属プロジェクト:インターリアリティ
学籍番号:81125098
ログイン名:mrkhnbs


研究課題名

物語と場所における構造的カップリング : 観光振興に向けたアニメ聖地巡礼の理論構築



研究概要

近年、アニメファンがアニメ作品のロケ地やアニメ作品ゆかりの地へ探訪する「アニメ聖地巡礼」という動向が注目され始めている。アニメ聖地巡礼は、これまでの発地主導や着地主導の観光とは異なる「旅人主導」の次世代ツーリズムとして、とりわけ地域の観光振興という観点から高い期待が寄せられている。特に2000年以降になると、アニメ聖地巡礼による観光振興が成功したケースも複数誕生し、このような背景から、アニメによる観光振興に期待を寄せ、アニメによる観光振興を実施する地域が全国各地で確認されるようになった。しかしながら、アニメによる観光振興への取り組みが活発になる一方で、それを懸念する声も聞かれるようになった。地域の伝統的な文化を破壊するのではないかという疑問、アニメの人気が衰退するとともに観光客が減るのではないかという持続性への懸念など、多くの課題を抱えている。さらには、企業や自治体が観光振興を目的としてアニメを用いることに対して、アニメファンが嫌悪感を抱き、不買行動や地域へのマイナス評価を下すといったケースもあり、成功事例をそのまま模倣するかたちで、アニメを用いた観光振興を行うことが難しい状況にある。このような課題を克服するためには、観光振興を結果として引き起こすに至ったアニメ聖地巡礼そのもののメカニズムを明らかにすることが重要であると考える。そこで、本研究では、アニメファンが観光振興とは異なる目的でアニメのロケ地を訪問しているにも関わらず、その活動が結果として地域の観光振興に貢献しているという現象についての理論構築を目指す。



活動報告

本年度は国内6箇所のフィールドワークを行った。地域住民やアニメファン、アニメ制作者など、各地域で各関係者にインタビューを行い、定性データを取得した。

  • 2012年8月31日〜 神奈川県藤沢市江ノ島
  • 2012年9月7〜10日 埼玉県秩父市
  • 2012年9月13〜17日 富山県南砺市城端
  • 2012年9月22〜25日 滋賀県犬上郡豊郷町
  • 2012年10月4〜6日 石川県金沢市湯涌温泉
  • 2012年10月7〜9日 長野県小諸市
  • 2012年10月12〜14日 埼玉県秩父市
  • 2012年10月16〜20日 富山県南砺市城端
  • 2012年12月1〜3日 埼玉県秩父市

    対外発表
  • 花房 真理子, 「地域の伝統文化の継続におけるアニメ舞台探訪の可能性」, コンテンツツーリズム研究会 第2回総会, 2012年11月