連勇太朗/政策・メディア研究科博士後期課程/81249171

2013年度森基金報告書

Archi-Commonsによるデザインデータベースの構築





□概要

本研究は、インターネットの普及およびコンピュータの演算能力の拡大によって可能となった新たな建築デザインの共有の方法を模索するものである。デザインを要素分解し、要素同士の関連性をシステムに入力することによってデザインリテラシーを外部化するような「デザインデータベース」の構築手法のモデル化を目指す。具体的には、申請者が2009年に考案した建築デザインを共有資源化する方法論Archi-Commonsを実装し、「モクチンレシピ」という実施プロジェクトを通して構築したデザインデータベースの有効性を検証することで研究を進めていく。モクチンレシピは現在、法人会員が13社契約しており、実際にプロジェクトを通して使われている。このようなアウトプットとデータベースの関係性を整理し、課題を明確化し、より有効的な方法論としてArchi-Commonsをアップグレードし提示する。また、関連する理論的整備および、デザインデータベースの歴史的位置づけも合わせて行っていく。


□活動成果



本年度は、今まで2011年から開発を続けてきたモクチンレシピを具体的事例として、実際の開発手順や評価のためのシステムを構築した。上記図は、その内容を簡潔にまとめダイヤグラム化したものである。
左側がリソースデベロップメントという段階で、実際にデザインを資源化するための一連のプロセスである。アイディアそのものを生み出し、そこからアイディアを表現するための記述方式や形式を考え、最終的にメディアとしてアウトプットする流れが示されている。緑色の右側の部分は、実際に資源化されたデザインを使う際のプロセスが示されている。資源化されたデザインを選択し、適応させることができるか条件がチェックされる。問題の場合は、固有の文脈に合わせてアイディアを適応させ最終的に統合しひとつのアウトプットとして生み出される。下部の黄色で表現された部分は、資源化されたデザインをどのように管理・運営していくのかということが示されており、今年度の研究では、この部分がコミュニケーションも含めて非常に重要な役割をしていることが明らかとなった。

http://mokuchin-recipe.jp/


□執筆論文

8月に国際学会"Asian Megacities"で発表し、Best Paeper Awardとして最優秀論文賞に選ばれるなど高い評価を得ることができた。


Study on Design Resource as a Methodology for Area Redevelopment -Case study of renovation project of wooden apartment in Tokyo- <PDFでダウンロードできます>




□活動成果リンク

NPO法人モクチン企画>>>

モクチンレシピ>>>



今後の課題

現在、査読論文を執筆中である。本年度の成果をもとにした来年度以降の展開が重要であると考えている。来年度も引き続き同じ主題で研究を進めたい。