2013年度 森泰吉郎記念研究振興基金 研究成果報告書
研究課題名: シャーガス病治療薬スクリーニングのための細胞構築

政策・メディア研究科 修士課程1年 先端生命科学(BI)プログラム
福澤玲奈 (fukuzawa@sfc.keio.ac.jp)

研究成果
Trypanosoma cruziは主に中南米で蔓延するシャーガス病の原因原虫として知られている.現在,推定1,000万人がシャーガス病に感染しているとされているが,慢性期の患者の治療法は未だ十分に確立されていない.T. cruziはすべての生物に共通しATP供給の役割をもつ解糖系において,初めの7ステップを担う酵素がペルオキシソームに類似した”Glycosome”と呼ばれる固有の小器官に含まれるという特殊なシステムをもつ.Glycosome由来の酵素は特殊な構造や反応系をもち,シャーガス治療薬のターゲットとして有望視されている.治療薬開発の分野において膨大な化合物ライブラリのスクリーニングは重要なステップであり,効率的な抗寄生虫薬のスクリーニングツールを開発することはシャーガス病の治療法の確立につながると考えられている.そのため本研究では,T. cruzi 解糖系をターゲットとしたスクリーニングツールの構築を目的として大腸菌細胞におけるT. cruziの解糖系酵素によるパスウェイの再構築に取り組んだ.解糖系構築のため,我々はT. cruzi由来の遺伝子で構成された解糖系オペロンのデザインと構築を行った.選択した10個のT. cruziの解糖系遺伝子をOGAB (Ordered Gene Assembly in Bacillus subtilis)法を用いてプラスミド状に集積して人工オペロンを構築し,さらにそのオペロンをゲノムDNA上の解糖系遺伝子がすべて欠損され,プラスミド状に集積されている大腸菌株への導入に成功した.


2013年度研究業績

ポスター発表

1. ◦福澤玲奈,松井求,冨田勝,板谷光泰, 大規模な比較ゲノム解析から見えるKinetoplastidとBacteria間の水平伝播の考察, 第36回分子生物学会, 2013年, 兵庫県
2. ◦福澤玲奈,松井求,冨田勝,板谷光泰,大規模な比較ゲノム解析から見えるKinetoplastidとBacteria/Archaea間の水平伝播の考察, 第5回生命情報科学若手の会, 2014年, 千葉県
3. ◦福澤玲奈,松井求,冨田勝,板谷光泰,大規模な比較ゲノム解析から見えるKinetoplastidとBacteria/Archaea間の水平伝播の考察, 第8回日本ゲノム微生物学会年会, 2014年, 東京都
口頭発表
1. ◦福澤玲奈,松井求,冨田勝,板谷光泰,大規模な比較ゲノム解析から見えるKinetoplastidとBacteria/Archaea間の水平伝播の考察, 第8回日本ゲノム微生物学会年会, 2014年, 東京都